Full dynamic range compression (FDRC) 補聴器“ED2”は会話音声の音圧レベルにおいて等しく圧縮がかかる。 この論文では, 提示音圧レベルを変え“ED2”の圧縮比と語音聴取能 (単語了解度) の関係について検討した。 対象は11名20耳の軽度-中等度難聴者。 圧縮比 (1:1, 1.5:1, 3:1), 音声の提示音圧 (50, 65, 80dBA), 提示音声には各条件25個の単語を使用した。 単語了解度の平均は, 50dBAの1:1, 1.5:1, 3:1それぞれで43.1, 77.6, 84.3%, 65dBAではそれぞれ78.8, 90.8, 93.6%, 80dBAではそれぞれ89.2, 93.0, 90.1%であった。 提示音圧50, 65dBAの圧縮比1:1と1.5:1の間にそれぞれT検定にて危険率0.01%, 1.55%の有意差がみられた。 提示音圧が低い場合, 圧縮比を増し, 鼓膜面音圧を大きくすることにより有意に単語了解度が向上し, 補聴器“ED2”におけるFDRCの有効性が示唆された。
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