AUDIOLOGY JAPAN
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37 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 1994 年 37 巻 1 号 p. 1-38
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 植田 広海, 山本 寧彦, 新井 路子, 斎藤 勲, 柳田 則之
    1994 年 37 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    モルモットにおいて, 中・内耳操作時におけるクリック音刺激による誘発耳音響放射 (TEOAE) の変化を観察した。 Bulla開放後, 全体のエコーパワー (TEP) は軽度増大したが, 2-4kHzのエコーパワー (FEP2-4) と4kHz以上のエコーパワー (FEP4-) は有意の変化を示さなかった。 2kHz以下のエコーパワー (FEP-2) は, 有意に増大し, その原因は中耳共振周波数の変化によるものと考えられた。 一方, 頂回転破壊後TEPは徐々に低下したが, FEP-2が最も早期に低下し始め, その後横ばいとなった。 次に, FEP2-4, FEP4-の順で破壊前に比し有意に低下した。 基底回転を穿刺すると全例すべての周波数域でエコーパワーは消失した。 このことよりクリック音刺激によるTEOAEは, ある程度周波数特異性を持つと結論した。
  • 実測推移行列および損失情報量による解析
    山岸 豪敏, 牧嶋 和見, 吉田 雅文, 大鶴 徹
    1994 年 37 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究では, 年齢層を一般に高齢者と考えられる65歳以上と35-64歳, 10-34歳の3群に分類し, 語音明瞭度の比較を行った。 解析方法としては, 語音明瞭度検査は正聴率を評価指標としているので, 発音された音節は完全である (例えば発音の明瞭さ, SN比等) との仮定のもとに成立すると考えられる。 しかし, 受聴した音節を判断する時には音声伝達の過程に騒音などの種々の障害や聴覚に障害があれば異聴したり, 「多分これではないか」 などの判断の曖昧さが関与すると考えられる。 そこで, 受聴する立場から評価する方法として, 語音明瞭度検査の結果から, 情報理論を援用した平均実測推移行列で表し, さらに損失情報量を解析して音声聴取特性の定量的評価値とした。 その結果, 子音部と母音部共に年齢層が高くなるにしたがって, 異聴の分布が大きく, 発音された音節を受聴した時の曖昧さが大きくなる傾向があった。
  • 圧縮比, 音圧レベルと語音聴取能の関係
    河野 淳, 加藤 朗夫, 田中 豊, 小泉 理華子, 舩坂 宗太郎, 間 三千夫
    1994 年 37 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Full dynamic range compression (FDRC) 補聴器“ED2”は会話音声の音圧レベルにおいて等しく圧縮がかかる。 この論文では, 提示音圧レベルを変え“ED2”の圧縮比と語音聴取能 (単語了解度) の関係について検討した。 対象は11名20耳の軽度-中等度難聴者。 圧縮比 (1:1, 1.5:1, 3:1), 音声の提示音圧 (50, 65, 80dBA), 提示音声には各条件25個の単語を使用した。 単語了解度の平均は, 50dBAの1:1, 1.5:1, 3:1それぞれで43.1, 77.6, 84.3%, 65dBAではそれぞれ78.8, 90.8, 93.6%, 80dBAではそれぞれ89.2, 93.0, 90.1%であった。 提示音圧50, 65dBAの圧縮比1:1と1.5:1の間にそれぞれT検定にて危険率0.01%, 1.55%の有意差がみられた。 提示音圧が低い場合, 圧縮比を増し, 鼓膜面音圧を大きくすることにより有意に単語了解度が向上し, 補聴器“ED2”におけるFDRCの有効性が示唆された。
  • 星野 聖
    1994 年 37 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    難聴者における子音明瞭度の改善を目的として, ほぼ実時間で動作可能な適応型子音強調ディジタルフィルタを設計した。 併せて, 模擬難聴者による音声知覚実験により, 加工音声の補聴効果について検討した。
    信号処理系では, ヒトの聴覚フィルタに合わせて, 複数個の帯域通過フィルタをあらかじめ作成しておき, 短区間スペクトルのピーク周波数に合致したフィルタ特性を自動選択することにより, 時変的に子音部のホルマント遷移と帯域雑音とを増幅した。
    補聴効果の検討は, 原音声と加工音声とで, 正当率と異聴とを対象にして行った。 模擬難聴の被験者を用いて聴取実験を行ったところ, 破裂音のように, 子音部の出わたりに知覚上の特徴を持つ子音では, 明瞭度の有意な改善が認められた。 しかし摩擦音では, 一部の帯域の急激な増幅により破裂性が生じ, 破裂音への異聴を増加させた。 ほかの子音では, 異聴傾向は減少したものの, 明瞭度の顕著な改善は見られなかった。
  • 大沼 直紀, 岡本 途也
    1994 年 37 巻 1 号 p. 64-73
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴覚障害児の聴能を評価するための実際的な方法を開発する目的で, 数唱及び親族呼称で構成された2種類の簡易な単語聴取検査法を考案した。 数唱聴能検査を聴覚障害児76名に実施した結果, 平均聴力レベル90dB以下の聴覚障害児は, 音韻のスペクトル情報の識別が可能な分節的な聴能が期待でき, 一方, 平均聴力レベル113dB以上の重度な聴覚障害児は音声の音響的リズムパターンの韻律的特徴を弁別する超分節的な聴能のレベルにとどまる傾向がみられた。 しかし, それらの中間の平均聴力レベル (90-110dB) の聴覚障害児の聴能の水準は広範に分散することが明らかになった。 また, 親族呼称了解度検査を聴覚障害児381名に実施した結果, 韻律的情報と音韻のスペクトル情報の特徴を組み合わせた検査語の異聴傾向に着目することにより, 聴覚障害児の聴能を評価する実際的な観点が得られた。 特に同口形異音情報の特徴をもつ/オジイサン//オニイサン//オジサン/の語群内での異聴傾向を拠り所に, 子音の聴覚的識別のレベルが評価できた。
  • 大久保 英樹, 川島 宣義, 阿瀬 雄治, 原 晃, 草刈 潤
    1994 年 37 巻 1 号 p. 74-79
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    モルモットの結合音耳音響放射をanoxia負荷前後で測定し比較検討した結果, 以下の結論を得た。 刺激音の条件は, 周波数を4.0kHz・4.8kHzに固定し, それぞれの音圧レベルL1・L2を様々に変化させた。
    1. 60dBSPL以下の刺激音圧レベルでは2f1-f2はanoxia負荷後すみやかに消失し, 酸素依存性の高いactive processに由来することが考えられた。 またこの中で最大音圧レベルの2f1-f2はL1が60dBSPL, L2が50dBSPLの時に得られた。
    2. 60dBSPLより大きい刺激音圧レベルでは, 2f1-f2は負荷後徐々に低下し1時間以降はほぼ不変で較正装置内で測定したものと同様なことから, 徐々に低下する成分は嫌気性代謝に由来しその後残存しているものは機械的な歪音である可能性が高かった。
    3. 蝸牛のactive processを鋭敏に反映する2f1-f2を得るためには, 刺激音圧レベルを適切に設定する必要があると思われた。
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