AUDIOLOGY JAPAN
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38 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 柳澤 晴子, 阿瀬 雄治, 原 晃, 草刈 潤
    1995 年 38 巻 6 号 p. 759-767
    発行日: 1995/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴覚系の周波数選択能について, 結合音耳音響放射 (DPOAE) と心理物理学的同調曲線 (PTC) の関係を検討した。 DPOAE複合音 (f1, f2) の幾何平均は1k, 2k, 4kHzで, 2音の比f2/f1を1.2, f2レベルはf1のそれに対し-10dBに設定し, DPOAE入出力曲線を求めた。 またPTCは0.5k, 1k, 2k, 4kHzの検査音を閾値上10dBで与え, マスカー音 (純音) の中央に呈示する同時マスキング法を用いた。 DPOAEのf1をPTCの周波数に該当させ, DPOAEの検出範囲のf1音圧レベルをマスキングレベルに一致させたところDPOAEの検出周波数はPTCの変曲点に近似した。 DPOAEは蝸牛のactive processに関わるものと考えられており, PTCの変曲点は内耳障害では不明瞭になる。 このふたつが一致することは, 聴覚系の周波数選択能に大きな意味をもつと考えた。
  • 澤田 正一, 柿木 章伸, 竹田 泰三, 齋藤 春雄
    1995 年 38 巻 6 号 p. 768-772
    発行日: 1995/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    以前, 予報としてメニエール病における蝸電図dominant-SPと血漿ADHに相関があることを報告したが, 症例が少なく, 第2種の過誤を犯している可能性があるため, 症例を2倍以上に増やし再検討した。Dominant-SPは, 蝸電図検査時の血漿ADH値と相関は無く, Dominant-SPを示す症例でも血漿ADHが正常を示すものもみられ, 直接的な相関があるとは考えにくい。しかし, 血漿ADHが常に高い群では, SP/APが統計的に高い傾向があるため, 何らかの相関関係があることは間違いないと思われる。
    Dominant-SPは聴力が改善しても容易に正常化しないことから, 近年, カリウムイオンの上昇あるいはそれによって起こる有毛細胞の障害によると考えられている。我々は, -SPの上昇は, 血漿ADHの上昇によって起こる内リンパ液の蓄積が引き起こした何らかの有毛細胞への障害, または膜の透過性の変化を反映していると推察した。
  • 三島 丈和, 芳川 洋, 安藤 一郎, 西嶋 隆, 市川 銀一郎
    1995 年 38 巻 6 号 p. 773-779
    発行日: 1995/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    白色雑音および純音を負荷強大音として使用し, 強大音によるNITTSのEOAEに及ぼす影響を検討した。 白色雑音100dBを5分間負荷したものは, 負荷終了直後の4秒間を含めEOAE波形に有意な変化を認めなかった。 一方90dBnHLの1kHz純音を3分間負荷した場合には, 聴力閾値上昇が数分間続いた例にEOAEの振幅の抑制が認められた。 ordinary TTSとEOAEの振幅の抑制とは, 深い関係がある事が示唆された。
  • 岡田 慎一
    1995 年 38 巻 6 号 p. 780-785
    発行日: 1995/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    学校健診をきっかけに耳鼻科医または当センターを受診し, 機能性難聴を疑われた (健診難聴例) 6-15歳の学童32例について, 検討した。
    32例中26例 (81%) が, 純音聴力検査によって正常聴力を確かめることができ, しかもほとんどが1, 2回の受診であった。ただし, 標準的な純音聴力検査の方法では難聴の結果を示すことが多く, 正常値を得るには, 多くの例で測定法に工夫を加えた検査が必要であった。残りの6例は純音聴力検査では, 正常値が得られず, 他検査により聴力正常が確かめられた。
    純音聴力検査で正常値を得た例と得なかった例とでは, 自記オージオメトリー, 語音聴取域値検査結果で異なる傾向を示した。
    健診難聴例では, 初期の段階で純音聴力検査実施に努力すべきことを述べ, 当施設の経験から検査実施上の工夫を紹介した。
  • 西山 耕一郎, 設楽 哲也, 岡本 牧人, 平山 方俊, 佐野 肇, 樋口 彰宏, 新田 健太郎
    1995 年 38 巻 6 号 p. 786-791
    発行日: 1995/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々は風疹罹患後に急性難聴をきたした2症例を神経耳科学的に経験したので報告する。症例1は37歳男性で, 病院受診3週間前に患者の第1子が風疹に罹患した。風疹罹患2週間後に高度難聴をおこした。発症より3日後の聴力検査にて5分法平均39dBの感音性難聴を認めた。血清学的診断にて風疹ウイルス補体結合反応の抗体価は16倍でありIgM抗体価も陽性であった。症例2は37歳の男性で, 病院受診3週間前に発疹が出現し皮膚科にて風疹と診断された。風疹罹患後1週間後より耳鳴と耳閉感を自覚していた。発症より7日目の聴力検査では, 5分法平均14dBの難聴を認めた。風疹赤血球凝集抑制反応抗体価は, 最初の週の8倍から1週間後には128倍にまで上昇した。これらの症例は発症より4週目には聴力は改善した。これらより我々は, 風疹は突発性難聴の原因の一つと推定した。これらの症例とは別に我々は, 131例の突発性難聴患者の風疹IgM抗体価を測定した。これらの症例は全例IgMは陰性であった。
  • 石川 史人, 小嶋 知幸, 蔵内 隆秀, 加我 君孝, 斎藤 陽一, 石川 貞夫
    1995 年 38 巻 6 号 p. 792-802
    発行日: 1995/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    事象関連電位 (以後P300と記す) の単一反応毎の振幅再現性, 波形の特徴, 推定潜時を適応型相関フィルタを用いて解析した。健常成人6名に聴覚オドボール課題を連続3回以上試行し覚醒時記録を対象とした。結果, P300の振幅再現性は6名の平均振幅で有意差は無く2名のみ最終試行で有意な振幅低下が見られた。P300単一波形は下降脚が急峻な陽性の非対象波形で持続時間約200ms, ピーク潜時ジッターは平均22ms, SD, 22msであった。
  • 鈴木 陽一, 伊勢 友彦, 浅野 太, 曽根 敏夫, 大山 健二, 高坂 知節
    1995 年 38 巻 6 号 p. 803-816
    発行日: 1995/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    感音性難聴による補充現象を補償するレベル圧縮機能が装備されている補聴器では, 難聴者に, 健聴者と同等のラウドネスを与えるように補聴器の利得が決定されることが望ましい。そのためには, 健聴者および難聴者について, 音のレベルに対するラウドネスの成長-ラウドネス関数-を正確に推定する必要がある。そこで本論文では, 評定尺度法を用いてラウドネス関数を算出する方法について検討した。まず, 域値から不快レベル付近におよぶ広い範囲のラウドネス関数の測定にふさわしい評定語について検討した。ついで, 2段階評定尺度法を用いて, 健聴者と難聴者のラウドネス関数の測定を行った。2段階評定尺度法の1段階目の判断値を1段階評定尺度法の結果と見なすことにより, 2段階評定尺度法と1段階評定尺度法の結果の比較を行った。その結果, 2段階評定尺度法の方が分散が小さく, 高精度の見積りが可能であることを明らかにした。
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