本研究では感音難聴者の音声聴取特性の評価指標として損失情報量を用い, 年齢層, 聴力型, 平均聴力レベルの各要因に関して, 子音部, 母音部の各音節毎に検討した。また子音部は有声と無声子音に分類して検討した。その結果, 子音部の損失情報量の値はほぼ1-2ビット, 母音部は0.5-1.0ビット, であることが認められた。さらに, 有声と無声子音による分類は定性的傾向として認められ, 有声子音はほぼ1.5ビット, 無声子音はほぼ1ビットであった。要因毎には年齢層, 聴力型群において母音部の損失情報量の値の差異が顕著であった。しかし, 平均聴力レベル群では損失情報量の値の差異は認められなかった。さらに各音節毎の音声聴取特性の変動から, 各音節の損失情報量の値はどの要因においてもほぼ同じ値となるが, 各群の音節の差異は区々であった。これらの結果より, 感音難聴者の音声聴取特性は, 年齢, 聴力型による検討を行うことが必要であると考えられた。
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