AUDIOLOGY JAPAN
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39 巻, 6 号
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  • 植田 広海, 柘植 勇人, 柳田 則之
    1996 年 39 巻 6 号 p. 701-706
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    誘発耳音響放射 (EOAE) 及び歪成分耳音響放射 (DPOAE) が中耳圧によってどのように変化を受けるかを, モルモットを使用して検討した。 実験は, 中耳骨胞上の小孔よりチューブを挿入し中耳圧をモニターしながら手動で5mmHg間隔で加圧減圧を行った。 EOAE測定に際してはILO88を使用し, DPOAE測定には自作の測定系を使用した。 EOAEのTEPとDPOAEの2 f1-f2のエコーレベルを指標にした場合, 陽圧負荷時には5mmHg以上では圧負荷にほぼ比例して可逆性に減少する一方, 陰圧負荷の場合はDPOAEは-5mmHgでも可逆性に完全に消失し, TEPも, 高度の減少がみられた。 以上より, モルモットにおいてEOAE・DPOAEともに中耳圧の影響は大きく特に陰圧の場合には反応が極端に小さくなる可能性があり, 動物実験の際には絶えず中耳圧に注意を払う必要があると結論した。
  • 石川 正治, 斉藤 秀樹, 安藤 一郎, 江原 義郎
    1996 年 39 巻 6 号 p. 707-712
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々はこれまでにコンピュータ処理により蝸電図とABRの連続記録および対数時間軸を用いたABRからSVRまでの連続記録の反応動態につき検討してきた。 今回更にこの検討に基づき蝸電図とABR以降の聴性誘発反応の同一時間軸上連続記録にっき検討し以下の結果を得た。 1) 本記録法を用いる事により蝸電図のSP, AP反応およびCM, AP反応をABR以降の誘発反応と連続して記録する事が可能となった。 2) 蝸電図のAP反応を利用することによりABRの判読がより正確に行える可能性がある。 3) 蝸電図CM, SP反応をこれまで報告した, ABR以降の反応と連続して記録検討する事が可能であり, 内耳機能を含んだ聴覚路全体の反応の検討に有用となると思われた。
  • 斉藤 秀樹, 石川 正治, 安藤 一郎, 江原 義郎
    1996 年 39 巻 6 号 p. 713-721
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    連続する聴性脳幹反応 (ABR), 聴性中間反応 (MLR), 聴性緩反応 (SVR) の反応を刺激音, 刺激間隔, 刺激部位に関して検討した。 これらの反応は対数時間軸にて検討した。 その結果, 刺激音の立ち上がり時間の延長に伴い聴性誘発反応の早期成分と中間成分の潜時の延長と早期成分の振幅の減少を認めた。
    刺激音のおよそ40msまでの持続時間の延長に伴いP2成分の振幅の増加が認められた。 周期的刺激とランダム刺激を比較するとSVRのN1成分, P2成分は周期的刺激に比ベランダム刺激は振幅の増加が認められた。
  • 柳田 則之, 中島 務, 草刈 潤, 伊東 善哉, 市川 銀一郎, 山川 卓也, 鳥山 稔, 岡本 牧人, 稲福 繁, 齋藤 春雄, 副島 ...
    1996 年 39 巻 6 号 p. 722-727
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    75歳以上の一般高齢者の聴力を正確に知るために, 厚生省長寿科学「高齢者の聴覚障害に関する研究」班 (平成5-7年度) は, 班員7施設において男77人, 女88人, 合計165人に純音聴力検査を行った。 高齢になればなる程, 特に高音部の聴力障害が認められた。 その程度は, 75-79歳では1kHz 28.6±13.1dB, 4kHz 45.5±18.1dB, 8kHz 66.4±17.0dB, 80-84歳では1kHz 31.4±14.1dB, 4kHz 54.7±17.0dB, 8kHz 72.8±16.7dB, 85-89歳では1kHz 41.1±10.7dB, 4kHz 59.7±12.1dB, 8kHz 82.3±13.2dB, 90-94歳では1kHz 42.5±13.6dB, 4kHz 60.0±16.5dB, 8kHz 87.5±6.3dBであった。
  • 奥野 秀次, 小松崎 篤
    1996 年 39 巻 6 号 p. 728-732
    発行日: 1996/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    骨導蝸電図の臨床応用についての検討の第一段階として, 純粋に伝音成分について検討できる奇形例, 耳硬化症例を対象に検討した。 その結果, クリック音刺激による骨導蝸電図APの潜時に関し, 固着例では潜時の短縮が, 離断例では延長が認められ, 固着と離断が分離された。
    その原因としては伝音障害による内耳に到達するエネルギー量の変化の他に, 骨導刺激を形成する成分の間での位相のずれ, クリックの内の周波数成分間での位相のずれが考えられた。 しかし骨導刺激の各種計測値は個体内・個体間でばらつきが大きいといわれており, 今後詳細でかつ症例を積み重ねての検討が大切であると思われる。
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