語音明瞭度や難聴の種類の違いが, 日常生活の理解度に違いをもたらすかを検討した。 対象は, 30dB-60dBの難聴者で以下の3通りにわけた。 1. 感音性難聴者を語音明瞭度別に3群。 2. 語音明瞭度が同等な感音性難聴, 混合性難聴, 伝音性難聴の群。 3. 聴力レベル別に2群。 方法は質問紙法を用い, 理解できる, 理解できないのいずれかを選択させた。 聴力レベルの10dBの差による理解度への影響と, 語音明瞭度の40%の差による理解度への影響は, ほぼ同等であった。 聴力レベル, 語音明瞭度が同等な場合の, 感音性難聴と伝音性難聴の比較では, 複数での会話やスピーカからの音にたいして, 伝音性難聴のほうが理解度が良好であった。 聴力レベル, 語音明瞭度, 難聴の種類のすべてにたいし影響をうける項目は, 5人くらいの会議, マイクを使った講演会, 劇場などの音であった。 これらの項目は, コミュニケーションのハンディキャップ評価のために, 有効性の高い質問であると考えられた。
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