AUDIOLOGY JAPAN
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39 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 伊東 善哉, 阿瀬 雄治, 照沼 積, 和田 哲郎, 米納 昌恵, 吉江 晴英, 立原 成久, 草刈 潤
    1996 年 39 巻 4 号 p. 249-254
    発行日: 1996/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    学生ボランティア・人間ドック受診者および老人ホーム入園者について標準純音聴力検査に加え, 18kHzまでの高音域純音聴力を測定したところ, 8kHzまでは60代以降で聴取域値上昇が顕著になるのに対して, 9kHz以上の高音域では, 30歳未満と30代との比較ですでに後者の聴力が明らかに悪かった。 そして, この高音域の聴力の悪化は, 70代まで着実に進行し, 70代以降は100dB SPLの音圧でもほとんど聴取不能となつていた。 また, 非糖尿病群と糖尿病群とを比較した結果, 糖尿病患者での聴力障害の検出には, 高音純音聴力検査よりも標準純音聴力検査で1-8kHzの聴力レベルを測定する方が有用である可能性が示唆された。
  • ILO92と当科製の比較
    川島 宣義, 阿瀬 雄治, 草刈 潤
    1996 年 39 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 1996/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    DPOAE (歪成分耳音響放射) の測定は, その測定用プローブに大きく影響されるがプローブの特性の研究は十分ではない。 そこで今回我々はILO92製と当科製のプローブ中のイヤホンとマイクロホンの入出力関係を調べてみた。 イヤホンに関しては供給電力の電圧一定で周波数を変化させた場合と, 周波数一定で電圧を変化させた場合の出力音圧を測定し, マイクロホンに関しては入力音の音圧一定で周波数を変化させた場合と, 周波数一定で音圧を変化させた場合の出力電圧を測定した。 マイクロホンの性能に関わるノイズフロアーは約-20から0dBSPLであり両者のマイクロホンの性能は実用に耐えるものと考えられたが, イヤホンの出力は約10kHz以上の高周波で低下し, DPOAE測定に微弱であると考えられた。 これらのことから両者プローブともイヤホンの改善が今後の研究に必要であろうと考えられた。
  • 増田 佐和子, 鶴岡 弘美, 鵜飼 幸太郎, 坂倉 康夫
    1996 年 39 巻 4 号 p. 263-267
    発行日: 1996/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当科補聴器外来を受診した, 良聴側の平均聴力レベルが40dB以内の軽度難聴者67名を対象とした。 聴力, 年齢, 職業の有無, 補聴器に対する意欲の有無などの背景因子と補聴器装用の可否について検討したところ, 職業を持ち, 意欲のある患者の場合は装用に至る率が高く, こういった患者では積極的に補聴器適合を行うことは有意義なことであると考えられた。 最終的に適合した補聴器の特性を検討したところ, 最大出力音圧レベルと平均聴力レベルの間には有意な相関が見られたが, 不快閾値との間には相関は認められなかった。 音響利得と平均聴力レベルとの間には有意な相関が見られ, 多くの例で音響利得はハーフゲインを下回るものであった。 平均聴力レベル10dBごとの最大出力音圧レベルの平均値は, 諸家の報告とほぼ一致するものであった。
  • 水野 正浩, 伊藤 健, 加我 君孝
    1996 年 39 巻 4 号 p. 268-273
    発行日: 1996/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    メニエール病長期観察例 (両側例8例16耳, 一側例22例22耳, 合計30例38耳, 平均観察期間10年) の聴力図に基づき, メニエール病の聴力についての分析結果を述べた。
    聴力型については低音障害型は経過の短い例に, また水平型は経過の長い例に多く認められた。 最大の特徴は低周波数領域における変動性難聴で, 平均変動幅は25-30dBであった。 聴力変動は82%に認められた。
    観察期間中に約40%に難聴の進行が認められた。 難聴の進行は, 初診時に高周波数領域の聴力が保たれていた例では高周波数領域で, 高周波数領域の聴力が既に低下していた例では中周波数領域でそれぞれ認められた。
    メニエール病の聴力は, 一般に始めに低音難聴, 次いで低音部と高音部の難聴, 最後に水平型難聴となる。 低音部の聴力変動は長期間続き, 最終観察時にも50%で変動が確認された。
  • 井上 泰宏, 神崎 仁, 小川 郁, 小形 章, 吉原 重光, 佐藤 靖夫
    1996 年 39 巻 4 号 p. 274-278
    発行日: 1996/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    誘発耳音響放射 (EOAE) は, 内耳性難聴では平均聴力レベルが40dBを超えると誘発されなくなることが知られているが, 後迷路性難聴では, そのような症例においてもEOAEが誘発され得ることが報告されている。 我々は聴神経腫瘍症例95例を対象に聴力レベルとEOAE誘発の有無との関係を検討し, さらにメニエール病確実例50例から得られた結果と比較した。 メニエール病確実例では, 平均聴力レベルが40dBを超える症例のうちEOAEが誘発されたのは3例であったが, 聴神経腫瘍症例では5例でEOAEが誘発され, うち3例の平均聴力レベルは60dBを超えていた。 しかしながら, 聴神経腫瘍症例のEOAE誘発例の平均聴力レベルとメニエール病確実例におけるEOAE誘発例の平均聴力レベルとの間に統計学的有意差は認められなかった。
  • 廣芝 新也, 岩永 迪孝
    1996 年 39 巻 4 号 p. 279-283
    発行日: 1996/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    インターフェロン治療を行ったB型またはC型肝炎患者62症例を対象に難聴, 耳鳴等の聴覚障害の出現頻度について調査した。 また, インターフェロン網膜症, 血中脂質濃度と聴覚障害出現との相関性について検討した。 聴覚障害を認めたのは10例でいずれも症状は軽く, 投与中または投与中止後に回復した。 聴力が低下した症例1例では, BekesyがI型からII型に変化しており障害部位として内耳が考えられたが, 他の症例についてはBekesy, SISIとも投与前と比べ変化はなく, 障害部位は不明であった。 また, インターフェロン網膜症, 血中脂質濃度と聴覚障害発症の間には明らかな相関関係は認めず, 血管病変との関連も否定的であった。 インターフェロンによる聴覚障害には血管病変とは別の機序が関与している可能性が示唆された。
  • 設楽 仁一, 小寺 一興, 鈴木 真澄
    1996 年 39 巻 4 号 p. 284-290
    発行日: 1996/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    補聴器におけるデジタル圧縮は, 母音にくらべ子音を強調する。 デジタル圧縮の効果を, 語音明瞭度検査の結果を解析し検討した。 対象は20名の感音性難聴者で, 50語の単音節 (57s語表) を用いた。 デジタル圧縮を作用させることによって単音の語音明瞭度が改善した。 語音明瞭度の改善は, 主として母音よりも子音によるものであった。 ほとんどの子音で異聴傾向が改善し, とくに無声子音の/s/および有声子音の/g, /z/で著明であった。
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