突発性難聴の初診時聴力とその臨床像を明確にするため, 初診時のオージオグラムで125Hz-8kHzの7周波数の閾値が60dB-69dBの間に含まれている症例を除外し, 7周波数全てが60dB未満の群, 全てが70dB以上の群, さらに聾の群に分け, この3群間に臨床像の違いが存在するか否かを検討した。
初診時の聴力の低下している群ほどめまいの随伴例, 温度眼振反応低下例 (以下CP例と略す) の割合が多く, 治癒率も低かった。しかし難聴の軽度な例でも予後が不良なもの, 高度な例でも予後が良好なものも認められ, 初診時の聴力レベルのみでは予後を予測することは困難で, 他の予後に影響する因子を考慮に入れながら, 注意深く聴力経過を観察する必要があると思われた。また聾の例でも, 多少なりとも聴力の改善が認められるものが少なくないので, 病初期の治療は十分に行うべきであると考えた。
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