AUDIOLOGY JAPAN
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42 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 西山 彰子, 立本 圭吾, 土井 玲子, 中尾 美穂, 鈴木 敏弘, 志多 真理子, 小宮 精一
    1999 年 42 巻 4 号 p. 229-236
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    高音急墜型難聴の場合, 会話域の音に反応が得られることから難聴を疑われず診断が遅れ, その後の対応に苦慮することが少なくない。 そこで今回我々は, 小児の両側高音急墜型難聴28例に対して, 本症の現状を把握する目的で, 診断までの経過, 聴力像, 既往歴, 構音障害, 補聴器装用などについて調査し検討した。 確定診断の平均年齢は7.1歳であった。 構音障害は約3分の2に認められた。 補聴器は半数の症例で装用開始した。 難聴に関連するリスク因子については, 新生児仮死などの周産期異常と遺伝性因子の頻度が高かった。
  • 和田 仁, 湯浅 有, 小池 卓二, 川瀬 哲明, 高坂 知節
    1999 年 42 巻 4 号 p. 237-242
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    これまで, 耳小骨筋反射がCMや中耳インピーダンスに及ぼす影響は報告されているが, 耳小骨振動に及ぼす影響については明らかにされていない。 そこで, 我々は, 耳小骨各部位の振動速度を直接計測することが可能なレーザドップラ振動計を用いて, モルモットおよびウサギの対側刺激による耳小骨筋収縮前後での, 耳小骨の振動挙動変化を計測した。 そして, 刺激音圧の増大に伴い, 耳小骨振動振幅が減少し, また, 耳小骨振動の周波数が低いほど, 振幅の減少量が大きいことを明らかにした。 さらに, 反射前後で, 耳小骨の振動様式に生じる変化を推察した。
  • 加藤 栄司, 東野 哲也, 柊山 幹子, 定永 正之, 小宗 静男
    1999 年 42 巻 4 号 p. 243-248
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    剣道が聴覚障害の原因になり得ることが指摘されているが, 個々の例で因果関係が証明された報告はない。 今回, 剣道の稽古直後に発症した一側性急性感音難聴が治療により回復した症例を経験した。 本例の難聴病態にはTTS (temporary threshold shift) が長時間かけて回復した機序が想定されるが, 剣道が直接の原因となった感音難聴臨床例として貴重な例である。 また, 本症例を契機に宮崎医科大学剣道部員学生ボランティア17例を対象に純音聴力検査を施行し, 面打ち前後のオージオグラムの変化を測定した。 面打ち前に高音域dip型聴力障害を示した例が2例あり, この2例にのみ面打ち後のTTSが陽性であった。 これは, 試験的面打ちによるTTSの評価が剣道家の 「剣道難聴」 受傷性判定に有用である可能性を示すものと考える。
  • 麻生 伸, 藤坂 実千郎, 木村 寛, 大屋 美香, 十二町 真樹子, 大井 秀哉, 渡辺 行雄
    1999 年 42 巻 4 号 p. 249-253
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    先行する一側高度感音難聴が発症した後に一定の期間をおいてメニエール病様の前庭および蝸牛症状を発症するものを遅発性内リンパ水腫 (DEH) という。 この発症メカニズムを解明する目的で一側高度難聴症例の対側耳を調査した。 一側高度難聴の患者404名について, 高度難聴の発症年齢, 発症時期, 対側耳の難聴の有無, 聴力レベルなどを調べた。 高度難聴404名の60%に少なくとも1周波数以上で30dB以上の難聴を対側耳に認め, 20%は平均60dB以上であった。 50名がDEHと診断され, このうち26名は対側耳に変動性聴力障害を認める対側型であった。 一側高度難聴症例は対側耳に難聴を来す危険群と言える。 DEHは高度難聴に偶然合併したメニエール病ではなく, 先行耳と何らかの関連性のある疾患である可能性が高い。
  • 和田 匡史, 佐藤 斎, 土屋 乃里子, 藤崎 俊之, 高橋 姿
    1999 年 42 巻 4 号 p. 254-258
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    脳表ヘモジデリン沈着症はくも膜下の出血によりヘモグロビン由来の鉄が脳表に沈着するため感音性難聴, 小脳失調, 錐体路徴候を呈する稀な疾患である。 本症に伴う両側急速進行性の感音性難聴の1症例を報告した。 症例は43歳男性, 両側難聴と歩行障害を主訴に受診, 初診時に右中等度, 左軽度の感音性難聴を認めた。 語音聴力検査, 自記オージオグラムでは後迷路性難聴が, 電気眼振検査では末梢および中枢性平衡障害が疑われた。 MRI, T2強調画像で脳表に低信号を認め本症と診断された。 出血源は諸検査にても不明であったため止血剤の投与を行ったが, 難聴は2ヵ月の経過で進行し両側聾となった。 本例の難聴は末梢および中枢の複合病変ではないかと推測された。 診断にはMRIが有用で, 原因不明の進行性感音性難聴には本症も念頭におく必要があると思われた。
  • 第二報・検診の対応と療育の成果について
    森田 訓子, 平岩 幹男
    1999 年 42 巻 4 号 p. 259-263
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    三歳以降に発見された難聴児症例や難聴児の保護者に対するアンケート調査を実施した。 その結果, 難聴に対する認識不足や健診・医療関係者の対応の仕方など人に関する問題が明らかになった。 難聴発見後の治療教育の成果に関しては, 言語能力について高度難聴と中等度難聴で明らかな差が見られた。 高度難聴については乳児や1歳6ヵ月児等もっと早期の聴覚検診の整備・充実が必要である。 しかし中等度難聴は三歳児聴覚検診における発見の意義が大きかった。 今後, 健診行政機関や医療機関の関係者に対する難聴発見のための啓蒙と治療教育機関との連携の充実が重要な課題であると考えられた。
  • 岩崎 聡, 大蝶 修司, 新木 五月, 星野 知之
    1999 年 42 巻 4 号 p. 264-269
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    多彩な中枢神経症状を呈し, 高度聴覚障害を伴ったミトコンドリア脳筋症の1例を報告した。 症例は21歳女性で, 17歳から頭痛, 嘔吐出現し, 翌年痙攣発作を認め, この頃難聴を自覚し, 両耳感音性難聴と診断された。 20歳で全身痙攣発作が再びあり, 急激な聴力悪化の印象を持ったが, 純音聴力検査で著しい聴力の低下は認められなかった。 純音聴力は両耳50dB, 最高語音明瞭度0%, 誘発耳音響放射無反応であったが, ABRの波間潜時延長は認められなかった。 音感覚は残存するが, 語音, 環境音の認知ができず, 聴覚失認の状態と思われた。 また, 自発言語・書字言語はある程度保たれた。 PET検査から脳血流と脳ブドウ糖代謝率が前頭葉と大脳深部核を除き, 高度に低下が認められ, また左聴覚野領域では著しい低下がみられるも, 右側頭回領域と前頭葉の運動性聴覚領域は若干保たれていた所見が認められた。 本症例の難聴は内耳と聴皮質障害により生じた高度聴覚障害と結論した。
  • 小山 幸子, 桜井 淳, 中川 雅文, 徳丸 隆太
    1999 年 42 巻 4 号 p. 270-279
    発行日: 1999/08/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    双極子追跡法を用いて頭頂部緩反応N1成分の周波数特異性について検討した。 刺激音には, 500, 1000, 2000, 4000Hzの4種類のトーンバーストを用いた。 刺激音周波数が高いほど, 得られたSVRの潜時は短縮し, 振幅は縮小する傾向が見られた。 また, 周波数が高いほど双極子の位置は側頭部のより深部に推定された。 これらの結果は過去にMEGを用いた結果と類似していた。
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