AUDIOLOGY JAPAN
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42 巻 , 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 山口 忍, 川野 通夫, 藤沢 直人, 中島 志織, 藤木 暢也, 塩見 洋作, 内藤 泰, 本庄 巖
    1999 年 42 巻 6 号 p. 667-673
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    就学前幼児6例の人工内耳装用経験に基づき, 初回マッピングとその後のマップの調整や装用状況について調べた。 初回マッピングでは, T/Cレベルを幼児の表情や行動の変化によって測定するが, 先天性難聴幼児5例中4例がCレベル測定時に目を覆ったり部屋の電気がピカピカしていると視覚刺激のように感じ, その後の2回目のT/Cレベル測定を嫌がり, 内2例はヘッドセットを装着することも嫌がって, 終日装用まで時間がかかった。 このことから幼児のT/Cレベル測定では, 目を覆う反応の前に見られる身体接触を求めるなどをCレベルとして次の電極の測定に移り, 測定刺激が不快レベルにならないよう慎重にする必要があると考えられた。 また, マップ作製後の装用では, 感度調節ツマミを最適感度レベルより低い値にして, 装用時の音への反応を観察しやすくすることが, マップの調整に有効であった。
  • 内山 勉, 伊集院 亮子, 天道 文子, 森 美和子, 徳光 裕子
    1999 年 42 巻 6 号 p. 674-681
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    聴覚ならびに精神発達に障害のない月齢12ヵ月-43ヵ月の幼児96名を対象にスピーカ法による幼児聴力検査を行い, 検査によってえられた聴力閾値について検討を行った。 その結果, 月齢と聴力閾値には相関関係があり, 月齢とともに聴力閾値の分布範囲は縮小していた。 つぎに対象児を月齢6ヵ月間隔 (12-17ヵ月, 18-23ヵ月, 24-29ヵ月, 30-35ヵ月, 36-43ヵ月) ごとにまとめ, 0.5k, 1k, 2k, 4kHzの周波数ごとに聴力閾値を集計し, 聴力閾値の累積度数分布について検討を行った。 その結果, 累積度数85%に相応する聴力レベル値が, すべての周波数で6ヵ月間隔ごとの聴力閾値分布の変化に対応していた。 そこで, 各周波数で6ヵ月間隔ごとの聴力閾値の累積度数85%に相応する聴力レベル値を各月齢範囲の正常範囲の限界値とすることは, 実用的観点から有用と思われる。
  • 佃 朋子, 工藤 典代
    1999 年 42 巻 6 号 p. 682-688
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    母体の風疹感染が原因と思われた難聴例20例につき報告した。 患児は1982年から1997年に出生しており, 風疹流行に伴い1987年前後に集中していた。 母体は妊娠2ヵ月から7ヵ月に風疹に罹患していた。 三主徴については, 3例は白内障, 動脈管開存症を合併しており, その他の17例は難聴のみであった。 難聴の程度は, 妊娠初期の感染ほど高度であり, 妊娠4ヵ月以降の罹患例では聴力に左右差がみられ, 一側性難聴も3例あった。 患児の難聴の程度を確実に診断するためには, 正確な聴力検査の可能となる学齢期までは経過観察を行う必要があると思われる。 先天性風疹症候群の予防には, 風疹ワクチン接種の徹底と, 妊娠前の抗体検査が重要と思われる。
  • 吉川 智子, 大山 健二, 永渕 正昭
    1999 年 42 巻 6 号 p. 689-696
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Nucleus 22人工内耳装用の1名の児童を対象として, 失聴直後から術後18ヵ月までの7年間の構音について, 聴覚的・音響的分析を行った。 対象児は4歳時に髄膜炎により失聴し, 9歳時に20本全ての電極を挿入した。 結果は, 人工内耳装用により, 構音はF0値とそのゆらぎ幅のみが改善され, 聴覚的分析, F1-F2フォルマントパターン, F2遷移率およびVOT値は改善されなかった。 以上の結果から, 1) F0は基本的なレベルであるために, 改善されやすかったと考えられた。 2) 構音の問題としては, 母音の中性化, フォルマント周波数の近接があげられ, 音響分析の結果から舌の挙上や前後運動などの構音器官の運動制御, 喉頭調節などに留意した指導がのぞまれた。 3) 術時年齢や失聴後の聴覚活用及び構音指導の有無が, 構音の改善に関与すると推察できた。 4) 失聴後のすみやかな聴覚補償により, 既に獲得された構音の損失を最小限にする必要がある。
  • 立木 孝, 南 吉昇
    1999 年 42 巻 6 号 p. 697-703
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1965年Maherによって始めて報告されてから, 現在までの間に文献に見られたループ利尿剤による難聴の症例57例をまとめて紹介し, その臨床経過, 転帰, 特に聴覚障害の特徴, 病態について考察した結果を述べた。 本症の聴覚障害が内耳血管条の機能的障害によるものであることは既に多くの実験的研究などから明らかにされているが, 人の本症聴覚障害の実態は必ずしも明確ではなかった。 今回著者の経験例を考察し, 多数の報告例を検討して, 本症の聴覚障害には次のような特徴があることを述べた。 (1) 急激に発生すること, (2) 両側性, 内耳性であること, (3) 回復すること, (4) 障害は全周波数型であること, (5) 再発しうること, の5点である。
    この特徴は, 原因が血管条にあるのではないかと推測される他の疾患の成因を考察する上で役に立つと結論した。
  • 沈 衛東, 加我 君孝, 山田 勝士
    1999 年 42 巻 6 号 p. 704-709
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ラットの両側頸動脈の血流遮断を行い大脳血管障害のモデルを作成し, 急性期における聴性脳幹反応 (ABR) と脳組織の変化を調べた。
    ABRはクリックで刺激し, 経時的に約8時間記録した。 記録終了後, 脳は灌流固定し, 脳全体の連続組織切片を作成した。 結果は以下の通りである。
    1) ABRのP1成分の振幅の著しい増大傾向を認めた。 P2, P3, P4の振幅の変化は認めなかった。
    2) ABRのP1, P2, P3, P4の潜時の変化は認めなかった。
    3) 脳の組織学的検索では, 海馬のCA1, CA4におけるニューロンの部分的脱落と変性を認めた。 しかし, 他の部分については特別な変化を認めなかった。
  • 中島 務, 植田 広海, 三沢 逸人, 伊藤 彰英, 冨永 光雄, 朝日 清光
    1999 年 42 巻 6 号 p. 710-716
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1972年から1998年までの27年間に突発性難聴発症から2週間以内に名大耳鼻咽喉科を受診し, 固定時まで聴力の経過が追えた一側性突発性難聴1739人を対象として耳鳴, 耳閉感と聴力の経過との関係につき検討した。
    耳鳴有は1542人 (88.7%), 耳鳴無は197人 (11.3%), 耳閉感有は833人 (47.9%), 耳閉感無は906人 (52.1%) であった。 耳鳴無の124人 (62.9%) に耳閉感があり, 全体の比率より有意に高かった。 耳鳴有の症例は耳鳴無の症例に比し初診時聴力は悪い傾向にあったが, 固定時聴力にはほとんど差は認められなかった。 耳閉感の有無は聴力回復の程度と関連を認めなかった。
  • 間 三千夫, 硲田 猛真, 藤村 聡, 齊藤 優子, 嶽 良博, 榎本 雅夫
    1999 年 42 巻 6 号 p. 717-721
    発行日: 1999/12/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年, ハウリングを抑制するデジタルフィードバックサプレッション付き高度難聴者用補聴器 (以下DFS) が開発され, 我が国には1992年伊丹らにより報告された。 そこでDFSが, 高度感音難聴児に対しハウリングを抑制することでどの程度装用利得を上げることができるのかについて臨床的に検討した。 90dBHL以上の先天性高度難聴児15名26耳を対象とした。 対象耳の聴力レベルは平均106.3dBHLであった。 DFSにより従来の補聴器より1kHzで10.5dB, 2kHzで12.0dB, 4kHzで19.2dB利得を上げることができた。 聞き取りの場面の内容では, 1-2mでの環境音, 会話が改善していた。 6ヵ月の使用で, 新版K式検査において言語・社会領域の改善は見られなかったが, 発話レベルでは改善が見られた。 またDFSによる聴力の悪化は認めなかった。 以上から, 従来の補聴器で充分な装用閾値が得られない場合, DFSを装用してみる価値は充分あると結論した。
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