AUDIOLOGY JAPAN
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44 巻, 2 号
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  • 泰地 秀信, 伊丹 永一郎, 鹿島 卓也
    2001 年 44 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2001/04/27
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    過渡ひずみを時間波形としてとらえ, パワーレベルで評価する方法について検討した。 理論的検討から, イヤモールドを吸音性にすると過渡特性に優れることが予想された。 そこでイヤモールドの性状の違いにより, 過渡特性がどの程度異なるか調べた。 ソフト, シリコンについてはハードと比べ明らかな過渡特性の違いはないようであったが, スポンジ (ComplyTM Snap Tip) とハードの間には相違があり, スポンジの方が有意に過渡ひずみ (歪度) が小さかった。 デジタル補聴器の過渡ひずみを評価する方法として, 音のON-OFF時に生じる過渡応答を調べることを提唱した。
  • 福元 儀智, 杉原 三郎, 友森 操, 竹内 裕美
    2001 年 44 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 2001/04/27
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年のボリウムのない補聴器では, 補聴器メーカーがコンピュータに内蔵させたフィッティング・ルールで初期設定を行うものであるが, 各メーカーが推奨しているフィッティング・ルールのレスポンスにはルール間に差があり, 実用的ではなかった。
    MCLにはUCL同様, 個人差が存在するため, 従来の聴力レベルのみからハーフゲインルールまたはその改良法で周波数毎の利得を求めるフィッティング方法には改善の余地がある。 そこで会話に相当するであろう65dBSPLの出力音圧をMCLに, 最大出力を示すであろう90dBSPLの出力音圧をUCLになるように補聴器フィッティングを試みた。 インサートイヤホン・SPLメータを使用すると, MCLとUCLが即時に決定でき, ボリウムのあるアナログ型補聴器の約96%に, ボリウムのないデジタル型補聴器においても約87%に再調整が不要であった。
  • 河野 淳, 加藤 朗夫, 清水 朝子, 米本 清, 藤垣 均, 高田 章史, 藤田 和子, 歌田 明, 谷治 弘基
    2001 年 44 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2001/04/27
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    補聴器装用難聴者7名を対象に, デジタル補聴器5機種 (ダナロジック: 163D, リオン: HI-D2, リサウンド: ED5, シーメンス: PRISMA, 日本ワイデックス: C9の耳穴型または耳掛け型) を装用してもらい, デジタル補聴器の有効性について, 聴取能検査および主観的評価を行い検討した。 聴取能検査では7名の平均で, 雑音なしで85.1%が90.3%に, 雑音下S/N比+5dBで50.3%が65.4%, 0dBで38.3%が57.1%, -5dBで28.0%が44.5%といずれも聴取能向上が認められた。 デジタル補聴器の特に雑音下で改善が見られたが, 機種により異なる結果であった。 また主観的評価でも6名が評価しており, デジタル補聴器の有効性は示唆されたが, 個々の評価は機種によって異なり, 機種ごとの適切な検討が必要と思われた。
  • 佐野 肇, 竹内 義夫, 鈴木 恵子, 原 由紀, 岡本 朗子, 松平 登志正, 新田 光邦, 鐵田 晃久, 岡本 牧人
    2001 年 44 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 2001/04/27
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    当科補聴器外来にて, 補聴器をフィッティングし装用に至った症例について, その最終決定時の装用域値, ファンクショナルゲインを, 擬似音場検査システムを用いて測定し検討した。 最終時の装用域値は, 4000Hzを除いて初回フィッティングの目標値としていた30dBnHLにほぼ一致していた。 ファンクショナルゲインは, 装用域値30dBを達成するための利得, POGO, NAL-Rの3者の値と比較すると, いずれとも大きな差は認められなかったが, POGOの値と最も近似していた。 次に, 語音明瞭度検査の結果を良好群と不良群に分けて検討したところ, 良好群の装用域値は4000Hzを除いて30dBフラットであったのに対し, 不良群では250Hz, 500Hzの装用域値が大きい傾向を示した。
  • 高田 敬子, 松平 登志正, 山下 公一, 友田 幸一
    2001 年 44 巻 2 号 p. 114-121
    発行日: 2001/04/27
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    感音難聴124耳を対象に, 67-S語表を用いて語音弁別検査を行い, 語音レベル毎に検査直後に語音の大きさの感じ方 (ラウドネス) を7段階で被検者に評価してもらった。 ラウドネス評定値別に, 語音明瞭度がその耳の最高明瞭度から5%以内であった割合 (最高明瞭度達成率) を求めた結果, 最高明瞭度達成率は, 評定値5 「ちょうどよいが少し大きい」 で最高67.5%となったが, 評定値4 「ちょうどよい」, 評定値6 「大きいがきいていられる」 との間に有意差を認めなかった。 3つの聴力型 (水平型, 低音障害型, 高音漸傾型) 別にみても同様であった。 しかし, ラウドネス評定値別にみた最高明瞭度達成率の分布を聴力型別に比較すると, 異なる傾向を示した。 低音障害型では, ラウドネス評定値が小さい値でも, 水平型, 高音漸傾型と比較して最高明瞭度となる症例が多く存在し, 評定値が大きくなるに従ってゆるやかに最高明瞭度達成率が増加した。 高音漸傾型では水平型, 低音障害型と比較してラウドネス評定値が小さい値では最高明瞭度達成率が低い値を示し, 評定値3から4にかけて最高明瞭度達成率が急激に増加した。 難聴の程度別に比較した所, 40dB以上の高度難聴ではそれ未満の軽度難聴に比較して快適レベルより大きいレベルで明瞭度が低下する傾向がみられた。
  • 小倉 正樹, 川瀬 哲明, 鈴木 陽一, 高坂 知節
    2001 年 44 巻 2 号 p. 122-126
    発行日: 2001/04/27
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    複合音では実際には入力信号に含まれない, 低い周波数のピッチが感じられることが知られており, このような場所情報が得られない音の知覚には特に時間情報が大きな役割を果たしていると考えられている。 ピッチの認知過程において重要な周波数の場所情報と時間情報は中枢において統合されると考えられているが, 場所情報を持たないレジデューピッチと純音の知覚との関わり合いに関しては不明な点が多い。
    我々は, レジデューピッチと純音の知覚との関わり合いを調べるために, missing fundamnental現象を生ずるfiltered trainをマスカーとして, ランダム化最尤適応法を用いてトーンバーストの検知閾変化を求めた。 filtered click trainによるマスキングパターンは純音やバンドノイズのそれより急峻狭小で, 音圧の上昇により幅広な裾野が広がった。 filtered click trainの高域通過遮断周波数の上昇により, マスキング効果が減少した。
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