感音難聴124耳を対象に, 67-S語表を用いて語音弁別検査を行い, 語音レベル毎に検査直後に語音の大きさの感じ方 (ラウドネス) を7段階で被検者に評価してもらった。 ラウドネス評定値別に, 語音明瞭度がその耳の最高明瞭度から5%以内であった割合 (最高明瞭度達成率) を求めた結果, 最高明瞭度達成率は, 評定値5 「ちょうどよいが少し大きい」 で最高67.5%となったが, 評定値4 「ちょうどよい」, 評定値6 「大きいがきいていられる」 との間に有意差を認めなかった。 3つの聴力型 (水平型, 低音障害型, 高音漸傾型) 別にみても同様であった。 しかし, ラウドネス評定値別にみた最高明瞭度達成率の分布を聴力型別に比較すると, 異なる傾向を示した。 低音障害型では, ラウドネス評定値が小さい値でも, 水平型, 高音漸傾型と比較して最高明瞭度となる症例が多く存在し, 評定値が大きくなるに従ってゆるやかに最高明瞭度達成率が増加した。 高音漸傾型では水平型, 低音障害型と比較してラウドネス評定値が小さい値では最高明瞭度達成率が低い値を示し, 評定値3から4にかけて最高明瞭度達成率が急激に増加した。 難聴の程度別に比較した所, 40dB以上の高度難聴ではそれ未満の軽度難聴に比較して快適レベルより大きいレベルで明瞭度が低下する傾向がみられた。
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