AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
44 巻 , 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 伊丹 永一郎, 杉浦 公恵, 鹿島 卓也, 真後 理英子
    2001 年 44 巻 3 号 p. 127-134
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    補聴器のフィッティングは補聴器の調整とその評価を繰り返し, 装用者に最適な補聴器とその増幅特性を探し当てる行為といえる。 補聴器装用評価として行う語音明瞭度検査の結果やアンケートなどから得られる装用者自身の試聴体験から, 調整ヒントを得て再調整を行う。 しかし, 比較的静かなフィッティング環境では補聴器の増幅特性に満足できても, 日常生活では期待したほど音声を捉えることができず, 補聴器の役割に疑問を持つ装用者も少なくない。そこで, 様々な日常生活環境に適したプログラム設定および評価を目的に, 補聴器装用評価援助装置FiVES (ファイブス) を開発した。 このFiVESを用い, 語音明瞭度検査を行うことで, 環境騒音下でのききとりが相互に把握できた。 そして, 環境騒音下でよりよく聞こえる増幅特性を作成することができ, その実用性が示唆された。 また, 環境騒音での最大出力の設定も妥当と思われた。
  • 吉川 智子, 工藤 貴之, 池田 勝久
    2001 年 44 巻 3 号 p. 135-141
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    両側の難聴, 耳鳴, 耳閉感および浮動性めまいを主訴とし, 慢性腎不全, 単純血管腫, 被角血管腫および左心室肥大などの全身症状を呈するFabry病の40歳の男性症例を報告した。 症例は, 歪成分耳音響放射 (DPOAE) のDPレベルの低下により内耳性難聴が, 聴性脳幹反応 (ABR) のI-V波間潜時間隔の延長から後迷路性難聴が, そして眼振検査により末梢性および中枢性平衡機能障害が診断された。
    検査所見から, 内リンパ水腫の存在は示唆されず, ステロイド依存性難聴との鑑別が問題になると思われた。 難聴発症の機序としては, 血管条および脳幹における神経細胞にグリコスフィンゴリピドが蓄積したことによる病理変化との説明が可能であろう。 また, 続発的な症因として, 慢性腎不全による影響も考えられた。
  • 西岡 奈美江, 馬場 朱美, 山口 忍, 川野 通夫, 内藤 泰, 児嶋 久剛, Nobuya Fujiki
    2001 年 44 巻 3 号 p. 142-146
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    3歳11ヵ月に右耳に人工内耳埋込み術を施行した先天性重度難聴児1名の人工内耳装用前後のコミュニケーション活動の発達を, 音声を伴わない口形模倣の回数, 音声模倣の回数, 音声発話時間及び構音の変化について分析した。 本児は3歳0ヵ月より両耳に補聴器を装用し難聴児通園施設へ通園したが, 音声表出はほとんど観察されなかった。 しかし, 人工内耳を終日装用するようになって, 6ヵ月目には音声発話時間が人工内耳装用前の10倍以上になり, 母音は全て構音された。 7ヵ月目には, 音声発話時間が一度減じるが, 減じたときに音声を伴わない口形模倣の回数が飛躍的に伸び, これら音声を伴わない口形の模倣は, 後に音声模倣に転じた。 また構音は29ヵ月目に17種類の子音が観察された。 人工内耳が, 重度難聴児の表出言語の発達に寄与する事を, 一例の経時的観察によって確認する事が出来た。
  • 福田 章一郎, 問田 直美, 福島 邦博, 西崎 和則, 井口 郁雄
    2001 年 44 巻 3 号 p. 147-155
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    感音難聴児154名の聴力を長期に経過観察した。 聴力低下は303耳中91耳 (30%) にみられ, 観察期間が長くなるにつれ出現が高くなる傾向がみられた。 周波数毎の聴力低下は2kHz, 4kHz, 8kHzにおいて高率で, また連続する周波数でも2kHzから4kHzにわたるものが最も多く, やはり高い周波数への注意が臨床上重要と考えられた。 聴力型では高音漸傾型が多かったが, 低下例は高音急墜型で51.3%, 次いで高音漸傾型, 谷型に多く出現した。 聴力型の変化は水平型から高音漸傾型, 高音漸傾型から急墜型, 急墜型から漸傾型への移行が多かった。
    難聴の推定原因は, 原因不明77例50%を占め, 次いで遺伝性であった。 聴力低下例は, 遺伝性, 先天性を合わせるとその56.1%に出現し, 胎児期, 周産期においてもそれぞれ50%と高頻度であった。 推定原因と聴力型および低下周波数との間で特定の傾向はみられなかった。
  • 岩崎 聡, 渡邊 高弘, 林 泰広, 長井 伸子, 星野 知之
    2001 年 44 巻 3 号 p. 156-162
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アナログ補聴器を使用している9名に対し, デジタル補聴器 (クラロ21dAZ) を装用し, 主観的評価 (アンケート) と客観的評価 (雑音下, 非雑音下の語音明瞭度検査) にて比較検討した。 デジタル補聴器はすべてのアンケート項目と雑音を負荷した条件下の語音明瞭度 (右90度, S/N比±5dB; 180度, S/N比-5dBの条件時) で良好な結果が得られたが, アンケートの日常生活度以外は有意差が認められなかつた。 個々でみるとうるささについての改善度が最も良かった。 又アンケートのうるささのスコアと雑音下語音明瞭度改善度とは右90度, S/N比0dB, -5dBの条件下では相関が認められた。 非雑音下最高語音明瞭度はアナログ補聴器が良い結果を示したが, 有意差はなかった。 又個々でみても, アンケートと非雑音下語音明瞭度の結果は異なる傾向が認められた。
  • 松田 太志, 関谷 芳正, 高橋 真理子, 村上 信五
    2001 年 44 巻 3 号 p. 163-170
    発行日: 2001/06/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Tinnitus Retraining Therapy (以下TRTとする) は, Jastreboff PJによって1990年に提唱された耳鳴の神経生理学的システムに基づいた治療法で, 臨床応用が始められた比較的新しい治療法である。 平成11年12月から平成12年9月までに名古屋市立大学付属病院耳鼻咽喉科の耳鳴外来および関谷耳鼻咽喉科医院を受診し, 3ヵ月以上経過を追えた39名 (男性17名, 女性22名) についてTRTを施行し, その有用性について検討した。 6ヵ月における耳鳴苦痛度の改善率は, アンケートにおいて100%, Visual analogue scale (VAS) において77%, Tinnitus Handicap Inventry (THI) において74%であった。 また, 3ヵ月以上の前治療歴を持つ治療に抵抗性の耳鳴に対しても, アンケートで100%, VASで88%, THIで80%の耳鳴苦痛度の改善を認めた。 TRTの耳鳴り治療に対する有用性が示唆された。
feedback
Top