感音難聴児154名の聴力を長期に経過観察した。 聴力低下は303耳中91耳 (30%) にみられ, 観察期間が長くなるにつれ出現が高くなる傾向がみられた。 周波数毎の聴力低下は2kHz, 4kHz, 8kHzにおいて高率で, また連続する周波数でも2kHzから4kHzにわたるものが最も多く, やはり高い周波数への注意が臨床上重要と考えられた。 聴力型では高音漸傾型が多かったが, 低下例は高音急墜型で51.3%, 次いで高音漸傾型, 谷型に多く出現した。 聴力型の変化は水平型から高音漸傾型, 高音漸傾型から急墜型, 急墜型から漸傾型への移行が多かった。
難聴の推定原因は, 原因不明77例50%を占め, 次いで遺伝性であった。 聴力低下例は, 遺伝性, 先天性を合わせるとその56.1%に出現し, 胎児期, 周産期においてもそれぞれ50%と高頻度であった。 推定原因と聴力型および低下周波数との間で特定の傾向はみられなかった。
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