突発性難聴309症例において, 対側の聴力がどのように分布していたか, 対側聴力は予後因子であるかどうかについて検討した。
対側聴力の分布については Grade 3と4で明らかな違いは認められなかったが, 各年代で年齢変化を超える症例の割合を調べたところ両群で差がみられ, Grade 4群においてその割合が高い結果が得られた。
次に対側聴力が予後因子であるかどうかについて, Grade 3, 4のめまい有り, 無しの4群に分類し, 目的変数 (従属変数) を改善率, 説明変数 (独立変数) を年齢, 対側聴力, 聴力型, 初診時聴力 (患側) として重回帰分析を行った。その結果, 対側聴力は Grade 4めまい有り群においてのみ対側聴力が悪いほど改善率が良いという当初の予想と反対の結果が得られ, その以外の群では有意な寄与は認められなかった。結論として対側聴力は突発性難聴の予後因子ではないと考察した。
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