AUDIOLOGY JAPAN
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47 巻, 2 号
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  • 桑島 秀, 阿部 俊彦, 佐藤 尚徳, 佐藤 宏昭, 村井 和夫
    2004 年 47 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 2004/04/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    当科において治療を行った突発性難聴症例310例を対象に予後の予測に関して検討を行った。治療は原則としてデキストラン製剤の点滴と副腎皮質ステロイド剤, 循環改善剤の内服を行った。また, 初期治療により改善がみられなかった症例や初診時聴力レベルが高度であった症例198例に対し高気圧酸素療法を併用した。全症例の予後は治癒107例, 著明回復97例, 回復72例, 不変34例であった。年齢, 治療開始までの期間, 初診時聴力レベル, めまいの有無は予後予測の因子と考えられた。治療開始後5周波数平均聴力レベルが10dB以上改善するまでの日数をみると7日以内に改善した例は, 8日以降の例に比べ有意に予後良好であり, 治療開始後の聴力の回復過程により予後が左右されると考えられた。
  • 佐野 肇, 新田 光邦, 小野 雄一, 橋本 大門, 岡本 牧人
    2004 年 47 巻 2 号 p. 92-100
    発行日: 2004/04/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    突発性難聴309症例において, 対側の聴力がどのように分布していたか, 対側聴力は予後因子であるかどうかについて検討した。
    対側聴力の分布については Grade 3と4で明らかな違いは認められなかったが, 各年代で年齢変化を超える症例の割合を調べたところ両群で差がみられ, Grade 4群においてその割合が高い結果が得られた。
    次に対側聴力が予後因子であるかどうかについて, Grade 3, 4のめまい有り, 無しの4群に分類し, 目的変数 (従属変数) を改善率, 説明変数 (独立変数) を年齢, 対側聴力, 聴力型, 初診時聴力 (患側) として重回帰分析を行った。その結果, 対側聴力は Grade 4めまい有り群においてのみ対側聴力が悪いほど改善率が良いという当初の予想と反対の結果が得られ, その以外の群では有意な寄与は認められなかった。結論として対側聴力は突発性難聴の予後因子ではないと考察した。
  • 名古屋大学の治療例からの検討
    冨永 光雄, 沼田 信次郎, 杉浦 淳子, イシダ イエーダマリア, 中島 務
    2004 年 47 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2004/04/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    名古屋大学では1972年から今日まで, 発症から2週間以内に来院し, 固定時まで聴力の経過が追えた突発性難聴症例のデータをコンピュータに入力してきた。患者数は男994人, 女845人のあわせて1839人であった。年齢分布に有意な男女差はなかった。
    聴力の回復は, 10~19歳が最もよく加齢するごとに乏しくなる傾向がみられたが, 9歳未満の症例においても悪い傾向を認めた。めまいは, 男26.3%, 女33.9%に伴っており, 有意に女にその合併が多かったが, 聴力の回復に男女差はなかった。初診時聴力レベルや治療中の聴力レベルと固定時聴力レベルの相関係数を求めたところ, 高周波音域では, 全般的にその相関係数が高く, 4000Hz, 8000Hzでは第21病日で相関係数0.95であった。1~4病日の聴力レベルと5~7病日の聴力レベルが同様であれば, 固定時聴力レベルに有意な差は認められなかった。
  • 聴力の予後に及ぼす因子の検討
    中島 務, 冨永 光雄, イシダ イエーダマリア, 内田 育恵, 寺西 正明, 戸田 潤二, 喜多村 健, 中村 美詠子
    2004 年 47 巻 2 号 p. 109-118
    発行日: 2004/04/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2001年に発症した突発性難聴症例を対象に全国調査が行われた。二次調査により2815例の調査票が得られた。このうち一側性の突発性難聴確実例で発症日, 初診時および固定時オージオグラムがすべて記載されていた1285人 (男性600人, 女性685人) を対象に, 聴力の予後に及ぼす因子について検討した。1285人の5周波数の初診時平均聴力レベルは, 57.4±24.9dBで固定時平均聴力レベルは33.3±23.6dBであった。多変量解析を用いて検討を行い, 初診時聴力レベル, 来院までの日数, 年齢, めまいの有無, オージオグラムの傾きが独立的に予後に関係していることが示された。耳鳴, 耳閉塞感の有無と予後との間には関係は認められなかった。治療法として複数の方法が組み合わされていた例が多かったが, ビタミンは91.8%, ATPは87.2%, ステロイドは85.3%, プロスタグランディンは32.6%, 高気圧酸素療法は11.1%, 星状神経節ブロックは7.9%の症例に用いられていた。
  • 西村 忠己, 天白 奈里, 岡本 雅典, 山下 哲範, 細井 裕司
    2004 年 47 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 2004/04/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    デジタル補聴器とアナログ補聴器の補聴効果を, 聞こえに関するアンケートを用いて検討した。難聴者37名 (平均聴力レベルは50.8±10.2dB) に対し, 両補聴器を検査上ほぼ等しい補聴効果が得られるように適合し, 1週間の試聴後に装用効果をアンケートで評価し比較した。その結果, 難聴者全体では両補聴器の補聴効果に優劣を認めないものの, 平均聴力レベルが50dB以下のグループではデジタル補聴器の方が雑音下の聞き取りが良好であった。一方平均聴力レベルが50dBより大きいグループでは, 語音明瞭度の良いグループでデジタル補聴器の方が雑音下の聞き取りが優れていたが, 語音明瞭度の低いグループでは, 多くの項目でアナログ補聴器の評価が高くアナログ補聴器の方がより優れた補聴効果が得られることがわかった。以上の結果から, 補聴器を適合する際それぞれの難聴者に応じた最適な補聴器の種類の選択が必要であると考えられた。
  • 福田 章一郎, 問田 直美, 福島 邦博, 片岡 裕子, 西崎 和則
    2004 年 47 巻 2 号 p. 126-130
    発行日: 2004/04/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    両側外耳道閉鎖症・小耳症の2症例に骨導型に改造した耳掛け形デジタル補聴器を装用させその効果を検討した。2症例とも乳児期より従来の骨導補聴器を装用して当園で定期的な療育を受けた結果, 言語および聴能の発達は順調であった。
    しかしながら, 療育を通して聴覚活動が進むにつれ環境音に対するうるささを認識するようになり, また集団での補聴器装用時の聞き取り改善を訴えるようになったため, 装用効果の改善を目的として骨導型に改造したデジタル補聴器の装用を開始した。デジタル補聴器装用後, 2症例ともにうるささが軽減し, 雑音下での語音明瞭度が改善した。
    伝音難聴児の場合は, 強大音が響くといった訴えは少ないが, 集団での補聴器による聞き取りの改善を訴えるようになった時点で感音難聴児と同様にデジタル補聴器の検討をするべきと考えられた。
  • 安達 直城, 神田 幸彦
    2004 年 47 巻 2 号 p. 131-138
    発行日: 2004/04/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    当ヒアリングセンター補聴器外来において新規にデジタル補聴器をフィッティングし, 安定し満足した状態で使用している84名の外来統計と臨床効果について検討した。年齢は70歳代が最多で次に80歳代, 聴力は50dB台, 40dB台, 60dB台の順に多くみられ, 最多器種は身体障害者福祉法対応型であった。聴力を4分法の平均値で3群に分け, それぞれI群 (50dBHL未満), II群 (50dBHL以上70dBHL未満), III群 (70dBHL以上) とし, 50dBSPL, 60dBSPL, 70dBSPLの提示音圧で各群を音場語音弁別検査で比較した。補聴器装用前後では, I群の提示音圧50dBSPLで明瞭度が22.1%改善した。II群では, 60dBSPLで32%, III群では60dBSPLで34%とそれぞれ改善した程度が大きかった。今回の結果から, 各群において, 必要な利得を入力音圧に応じて選択的に与えることが可能な点が, デジタル補聴器の一つの利点と考えられた。
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