AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
47 巻 , 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 増田 正次, 井上 泰宏, 佐藤 美奈子, 神崎 晶, 滝口 洋一郎, 山下 大介, 栗田 昭宏, 藤岡 正人, 小川 郁
    2004 年 47 巻 4 号 p. 207-213
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Audera® は, 周波数特異性の高い振幅/周波数変調音を用いて他覚的に聴性定常反応 (Auditory Steady-State Response; ASSRと略) 閾値を測定し, その結果をもとにオージオグラムに近似した聴力像を推定することを目的とした検査機器である。(1) 被検者の年齢, (2) 覚醒状態, (3) 測定周波数, の条件を設定すれば Audera® が最適な振幅/周波数変調音を発生し, 聴力レベルの推定値を表示する。今回我々はこの Audera® を用いて聴力正常成人のASSRを測定し以下の結果を得た。1. 被検者が睡眠時には聴力レベルが正常であることを推定することが可能であった。2. 被検者が覚醒時には, 250Hz, 1kHzに限り聴力レベルが正常であることを推定することが可能であった。3. 被検者が睡眠しているにもかかわらず, 被検者覚醒時用の設定を用いても250Hz, 500Hz, 1kHzで聴力レベルが正常であることを推定できた。一方高音部では, 測定状況により, Audera® の聴力レベルの推定精度は変化することが分かった。
  • 青柳 優, 鈴木 豊, 渡辺 知緒, 伊藤 吏
    2004 年 47 巻 4 号 p. 214-221
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    変調周波数追随反応 (AMFR) の成立機序について波形の形態, 反応波形のパワースペクトルに関するシミュレーション, および反応周波数の振幅とその周辺周波数の noise level (背景脳波) との関係をもとに検討した。反応波形の形態は40-Hz AMFRはサイン波に近いが, 80-Hz AMFRは slow ABR が連なった様な形を示した。40-Hz AMFRが睡眠時に反応出現性の低下をみるのは反応の振幅低下によるもので, 80-Hz AMFRでは反応自体は覚醒・睡眠時とも変化しないが, 睡眠時に noise level が低下するため反応として記録されるものと考えられた。以上より, 起源として40-Hz AMFRはMLR, 80-Hz AMFRはABRが最も有力ではあるが, 蝸牛神経核も80-Hz AMFRの起源の候補の一つと考えられた。
  • 増田 佐和子, 鶴岡 弘美, 間島 雄一
    2004 年 47 巻 4 号 p. 222-227
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    三重県の新生児聴覚スクリーニングにおける現状と問題点を把握し, 耳鼻咽喉科医が行う精査と支援体制を整えるために実態調査を行った。その結果, 県内の分娩取り扱い産科施設の56.6%が新生児聴覚検査機器を導入または予定していた。問題点として産科医からは精査および療育体制の不備が指摘され, 耳鼻科医からは情報提供と, 統一された精査システムが求められていた。また耳鼻科医の間で知識や経験に格差があることが示された。スクリーニングにより耳鼻科に紹介される児は増加傾向にあり, 21名のうち一側, 両側難聴はそれぞれ7名に認められた。これを受けて日本耳鼻咽喉科学会三重県地方部会では耳鼻科医のための手引きを作成した。今後, 手引きを検証し耳鼻科医に情報提供を続ける一方, 産科との連携, 療育体制の整備などを進めていく必要があると考えられた。
  • 松平 登志正, 伊保 清子, 浅野 和江, 岡本 牧人
    2004 年 47 巻 4 号 p. 228-233
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    耳科学的正常者を対象に, 三種類の聴覚検査用骨導受話器の骨導語音了解 (聴取) 域値に相当する振動の力のレベルを求め, IEC 60645-2 (1993) の基準レベルおよびJISTI201-2 (2000) が勧告する暫定基準レベルと比較した。3受話器ともJISの勧告値に近い値が得られたが, 受話器問に3~4dBの有意差 (p<0.05) が認められた。受話器間差の主な原因として, 周波数特性の受話器間差と1受話器については高音域の気導放射音の発生が考えられた。骨導語音聴力レベルの基準値を規定するには受話器の周波数特性を規定するか, 受話器ごとの基準レベルの設定が必要と考えられた。
  • 荒井 真木, 岩崎 聡, 林 理佐子, 橋本 泰幸, 名倉 三津佳, 武林 悟, 水田 邦博, 峯田 周幸
    2004 年 47 巻 4 号 p. 234-240
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    内服治療等により効果のみられなかった耳鳴患者26名に対し, TCI (Tinnitus Control Instrument) を使用したTRT (Tinnitus Retraining Therapy) 療法を行った。そのうち6名は2週から3ヵ月で治療の中止を希望した。今回は6ヵ月以上治療を継続できた20名を対象とした。1ヵ月に1回TCIのノイズの種類と大きさの調整を行った。55%がスピーチノイズを選択した。最初の3ヵ月前後に調整条件の変動が見られた。TCIの自覚的治療効果評価法では55%が有効, 25%がやや有効, 20%が不変, 悪化は0%であり, 有効率は80%であった。平均聴力レベルが21~40dBの群では70%が有効と答えた。選択したノイズと自覚的評価とは関係が見られなかった。耳鳴の大きさと気になり方は治療開始後3~4ヵ月で有効群において改善が認められた。しかし, ラウドネスバランス検査による耳鳴ラウドネスは有効群でも改善は見られなかった。
  • 黒田 生子, 別府 玲子, 服部 琢, 瀧本 勲
    2004 年 47 巻 4 号 p. 241-250
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    聴覚障害発症年齢の異なる (幼年期・青年期) 中途失聴者2例の人工内耳装用効果について, 述後2年半までの臨床場面の対話 (narrative) 分析により質的検討を加えた。特に日常生活場面で装用者自身に主観的に感じられる人工内耳装用の効果を中心に検討を行った。その結果, 以下の点が明らかとなった。
    1. 中途失聴成人の人工内耳装用においては, 音声コミュニケーションにおける音韻の聴取改善に留まらず発話者の「情動」の伝播, 理解とそれに伴う「メタコミュニケーション (発話における真の命題)」理解に改善効果が認められた。またそれには, 発話の超分節的要素 [リズム, アクセント, 間 (ま), 有声休止など] の理解改善が大きく貢献していることが示唆された。
    2. 自然環境音の聴取改善により,「生命の躍動感」や「情緒性」とも結びついた社会文化的な聴覚経験 (「うぐいすの声」で春の訪れを感じるなど) の回復を招き, 装用者のQOLの向上に役立つことが示唆された。
    3. 難聴発症年齢の差異が過去の聴覚概念の形成に影響し, 人工内耳装用後の聴取回復過程に質的影響を及ぼす可能性が示唆された。
  • 今村 俊一, 本田 英幸, 水越 昭仁, 矢崎 裕久, 増山 敬祐
    2004 年 47 巻 4 号 p. 251-257
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    急性低音障害型感音難聴274症例中のグリセロールテストを施行後に予後判定が可能であった131例について, グリセロールテスト結果と聴力改善の関係を検討した。
    グリセロールテストは静注法で, 2周波数以上で10dB以上の閾値の改善を検査陽性と判定すると77例53%が陽性であった。グリセロールテストによる聴力改善周波数が多いほど最終的な聴力予後が良い傾向が認められた。
    治療として, 96例にイソソルビドが投与されていた。274症例全体では, イソソルビド投与は, 聴力の改善に対する有意な影響は認めなかった。しかし対象をグリセロールテストで3周波数以上の改善がみられた症例に限定すると, イソソルビド投与例の聴力の改善が未投与例に比較して有意に良好であった。
    この結果は内リンパ水腫の関与が強く疑われる症例ほどイソソルビドの投与が有効であり, 予後も良い傾向であること示唆している。
  • 佐藤 宏昭, 村井 和夫, 岡本 牧人, 喜多村 健
    2004 年 47 巻 4 号 p. 258-262
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    平成12~14年の全国疫学調査登録例を対象として, 急性低音障害型感音難聴の診断基準を満たす一側性典型例317例 (平均37.8歳) と高音域の基準を満たさない非典型例91例 (平均56.0歳) の疫学的特徴を比較検討した。両者の疫学的特徴には類似点 ((1) 女性に多い, (2) 発症時期は春~夏に多い, (3) 低音域の聴力悪化レベルに差はない, (4) 初診時聴力レベルは予後と相関する) も多いが, 相違点 ((1) 非典型例では中高音域の聴力悪化レベルが典型例より大きい, (2) 年齢と予後との相関の有無の相違, (3) 発症から受診までの日数と予後との相関の有無の相違) もあり, 両者の病態は異なる可能性が示唆された。
  • 和田 匡史, 佐藤 斎, 壁谷 雅之, 土屋 乃理子, 藤崎 俊之, 高橋 姿
    2004 年 47 巻 4 号 p. 263-267
    発行日: 2004/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    Fabry 病はα-galactosidase A活性の遺伝的欠損または低下により生ずるX染色体劣性のスフィンゴ糖脂質代謝異常疾患である。血管の内皮細胞や平滑筋細胞をはじめ全身の細胞のライソゾームにスフィンゴ糖脂質が蓄積することにより被角血管腫, 四肢末端痛, 低汗症, 角膜混濁, 脳血管障害, 腎障害, 心障害など様々な症状を呈する。
    今回, 聴覚障害を伴った Fabry 病の2症例を報告した。症例1は51歳男性で2度の突発難聴を認め, 慢性腎不全で経過観察中に Fabry 病と診断された。症例2は47歳女性で高音障害型感音難聴を認めた。いずれもSISI検査, 自記オージオメトリーで内耳性難聴を呈した。難聴の発症機序として蝸牛栄養血管へのスフィンゴ糖脂質の蓄積の関与が考えられた。腎障害など全身症状のある原因不明の感音難聴には本症も念頭におく必要があると思われた。
feedback
Top