AUDIOLOGY JAPAN
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47 巻, 6 号
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  • 両耳融合の観点から
    富澤 晃文, 木下 眞理, 加藤 大典
    2004 年 47 巻 6 号 p. 617-623
    発行日: 2004/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    人工内耳と補聴器を併用する聴覚障害児4名の聴取様態について, 両耳聴の観点から検討した。人工内耳側―補聴器側間では, 装用閾値だけでなくラウドネスの上昇特性も異なっていた。1kHzハイパス/ローパスフィルタによる両耳ひずみ語音検査の結果, 人工内耳側にハイパス語音, 補聴器側にローパス語音を呈示した際に, 両耳聴による聴取成績の向上が顕著にみとめられた。一方で, 逆の帯域フィルタ条件における聴取成績は低く, 語音聴取においては, 人工内耳側は高音域に, 補聴器側は低音域に優位であることが分かった。主観的な日常のきこえについては, 3名が両デバイスを併用した方がよくきこえると評価していた。これらの結果は, 人工内耳と補聴器の音情報が異質であるにも関わらず, 両耳への併用によって単一の音韻が知覚されたことを支持した。両デバイスの併用を好む聴覚障害児においては, 両耳融合が生じていたと考えられる。
  • 電話コミュニケーション指導が有効であった3症例の検討から
    佐藤 紀代子, 杉内 智子, 渡辺 尚彦, 調所 廣之, 大氣 誠道, 吉野 公喜
    2004 年 47 巻 6 号 p. 624-634
    発行日: 2004/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    「電話コミュニケーション指導」を行った重度聴覚障害児3例の電話での会話の改善状況を3か月ごとに1年間分析した。その結果, 3名は指導初期ではきき取れないことが多く,『あいづち』や無言などの『不適切応答』で応答し, 会話が成立しにくかった。しかし, 指導によってきき取れない時には『きき返し』『要求』『確認』などの「ストラテジースキル」を使うようになり, 1年後には補助なしで会話が成立するようになった。これらの「ストラテジースキル」は電話の相手である指導者の語りかけによって導かれ, まず『きき返し』などの容易なスキルが使用され, 後期に思考をはたらかせていく『想像』や『集約確認』などの高度なスキルが観察された。
    重度聴覚障害児の音声コミュニケーションは健常児とは異なり, ストラテジースキルを頻繁に用い, お互いの発話を確認し伝え合うという特有なパターンを示した。本法のようなコミュニケーションを用いた言語指導が思考を育て, 重要なストラテジースキルを獲得させる指導方法になると考えられる。
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