AUDIOLOGY JAPAN
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48 巻, 4 号
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  • 柴田 康子, 岸本 真由子, 服部 琢, 中山 博之, 加藤 敏江, 森河 孝夫, 浅見 勝巳, 荒尾 はるみ
    2005 年 48 巻 4 号 p. 245-251
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    純音聴力検査もしくはヘッドホン法による気導聴力が測定されている健聴成人7例, 難聴児6例に対してASSRを測定し, 0.5・1・2・4kHzの4周波数で純音聴力レベルとの比較検討を行った。各周波数ともASSRの方が10-20dB程度高い閾値を示すが, 特に難聴例では比較的相関が見られた。この結果をもとに乳幼児で難聴の進行が疑われた例, 重複障害例, 左右の聴力型が異なる例などに従来の聴力検査に加えてASSRを測定し, 診断, 補聴器装用などに有用な結果を得た。今後自覚的聴力検査に限界のある乳幼児, 重複障害例などに対し他覚的聴力検査の一つとして有用と考える。
  • 加藤 敏江, 中山 博之, 浅見 勝巳, 服部 琢, 柴田 康子, 森河 孝夫, 荒尾 はるみ, 別府 玲子
    2005 年 48 巻 4 号 p. 252-259
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    今回, われわれは2歳台と3歳台に Nucleus24 の装用を開始し, 2年から4年経過した先天聾人工内耳装用児7名を対象に, 語音聴取能と言語能力の発達の個人差およびそれに関与する要因を検討した. 当センター作成の語音聴取検査と, 新版K式発達検査およびWISC-III知能検査を経時的に実施した。その結果, 語音聴取能と言語能力の発達には大きな個人差が認められた。語音聴取能と言語能力は相互関連的に伸び, 両方とも急速に発達するものと, 緩慢だが確実に発達するものと, 非常に発達が不良なものに大別された。経過が良好な症例には, 装用前に発語があり, CI装用後のコミュニケーション方法は音声言語が有効だった。しかし, 経過が思わしくない症例は, 発達障害など言語獲得の阻害要因を併せ持っていた。これらの症例では, CI装用後の日常生活のコミュニケーションや言語能力の発達に, 音声言語に加え視覚モードの補助的使用が必要だった。
  • 中村 陽祐, 硲田 猛真, 福元 儀智, 長谷川 賢作, 北野 博也
    2005 年 48 巻 4 号 p. 260-265
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    デジタル補聴器には, その特性上必ず信号処理時間に伴うディレイタイムが存在する。われわれはこのディレイタイムも一因と思われる補聴器不適合例に遭遇した。その訴えは, 補聴器を装用するとエコーのような変な音が聞こえる, というものであった。ディレイタイムを測定すると, この補聴器では10.2msであった。中国補聴器センターより販売された同型補聴器には他にも返品例があり, これらの症例の聴力像などを検討した。その結果, 難聴の程度が軽い周波数領域がある患者では, ディレイタイムの影響がありうると考えられた。このような症例での補聴器のフィッティングにはディレイタイムも考慮する必要があると考えられた。
  • 阿部 靖弘, 青柳 優, 伊藤 吏, 渡辺 知緒, 千葉 寛之, 鈴木 豊
    2005 年 48 巻 4 号 p. 266-273
    発行日: 2005/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    MASTER®の覚醒時成人に対する他覚的聴力検査法としての有用性を検討するため, 正常聴力成人11名 (22耳) と難聴症例3例に対して multiples imultaneous stimulation technique と40Hz付近のMFによる正弦波的振幅変調音 (SAM音) を用いたASSRと純音聴力検査を行った。 CFとMFの組み合わせは, 右耳では0.5kHz/32Hz, 1kHz/36Hz, 2kHz/40Hz, 4kHz/44Hz, 左耳では0.5kHz/34Hz, 1kHz/38Hz, 2kHz/42Hz, 4kHz/46Hzとした。
    正常聴力成人, 難聴症例ともにASSR閾値のパターンはオージオグラムと比較的良く一致していた。 正常聴力成人におけるASSR閾値と聴力レベルの差の平均は, 16.4dB (0.5kHz), 19.1dB (1kHz), 16.6dB (2kHz), 18.9dB (4kHz) であり, 単独MFのSAM音によるASSR閾値と聴力レベルの差より約5dB大きかった。
    これらの結果は, 40Hz付近のMFによるSAM音を用いた multiple stimulation technique は覚醒時成人に対する他覚的聴力検査法として有用であり, 周波数特異性が高くオージオグラムをある程度推定できることを示唆している。 しかし, 臨床応用にあたっては, 比較的大きな誤差を見込まなければならない。
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