MASTER
®の覚醒時成人に対する他覚的聴力検査法としての有用性を検討するため, 正常聴力成人11名 (22耳) と難聴症例3例に対して multiples imultaneous stimulation technique と40Hz付近のMFによる正弦波的振幅変調音 (SAM音) を用いたASSRと純音聴力検査を行った。 CFとMFの組み合わせは, 右耳では0.5kHz/32Hz, 1kHz/36Hz, 2kHz/40Hz, 4kHz/44Hz, 左耳では0.5kHz/34Hz, 1kHz/38Hz, 2kHz/42Hz, 4kHz/46Hzとした。
正常聴力成人, 難聴症例ともにASSR閾値のパターンはオージオグラムと比較的良く一致していた。 正常聴力成人におけるASSR閾値と聴力レベルの差の平均は, 16.4dB (0.5kHz), 19.1dB (1kHz), 16.6dB (2kHz), 18.9dB (4kHz) であり, 単独MFのSAM音によるASSR閾値と聴力レベルの差より約5dB大きかった。
これらの結果は, 40Hz付近のMFによるSAM音を用いた multiple stimulation technique は覚醒時成人に対する他覚的聴力検査法として有用であり, 周波数特異性が高くオージオグラムをある程度推定できることを示唆している。 しかし, 臨床応用にあたっては, 比較的大きな誤差を見込まなければならない。
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