AUDIOLOGY JAPAN
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49 巻, 1 号
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  • 2006 年 49 巻 1 号 p. 1-40
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
  • 安野 友博, 工藤 典代
    2006 年 49 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    乳幼児の難聴は「早期発見に続く早期療育が重要である」ことが一般に広く認識されてきた。乳幼児聴力検査法の発達と補聴器性能の向上があり, さらに療育機関との連携が組織的に成立してきたことで, その態勢が整ってきている。
    現在では新生児の聴覚スクリーニングが可能になり, 1歳6ヵ月検診, 法制化された3歳児聴覚検診により, 乳幼児期に難聴が発見されるようになった。それと同時に以前にも増して乳幼児聴力検査に対する関心が高まってきた。このような機運を背景に, この論文では第一部は日本での難聴児教育と乳幼児聴力検査のレビュー, 第二部では今日の乳幼児聴力検査の実際と言語発達遅滞, 難聴診断後の対応について述べた。
    乳幼児の聴力検査を行うには児の全体的な発達を見ることが重要である。児の月齢や発達段階を考慮すること, BOAやCOR, play audiometry を行う際の観察のポイントや検査の手順についても述べた。
  • 川崎 美香, 森 寿子, 黒田 生子, 藤本 政明
    2006 年 49 巻 1 号 p. 51-62
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2歳でCI装用 (A群: 3例)・6歳6ヵ月でCI (HAは2歳1ヵ月で) 装用 (B群: 3例)・1歳3ヵ月でHA装用 (C群3例) の先天性聾児9例の語彙理解能力 (以下VA) を追跡調査し, 以下の知見を得た。
    1. A群は3歳5ヵ月時にはCA相応のVAを獲得し, 発達速度やそこへ到達するまでの期間は健聴児とほぼ同じであった。親子関係もその時点で著明に改善した。
    2. B群は, HA装用時の6歳3ヵ月でCA相応のVAを獲得していた。親子関係はCI術前には問題があったが, CI装用後はほぼ安定した。
    3. C群は1歳3ヵ月でHAを装用し, 7歳1ヵ月でCA相応のVAを獲得したが, そこへ到達するまでに5年10ヵ月の長期間を要し, 親子関係はその時点でも問題が残った。
    4. 1~2歳頃までに言語学習のための諸条件を満たし, 体系的な言語訓練を就学時まで6年程度実施すれば, 聾児でもHA装用でVAはCA相応に獲得できた。その場合には6歳以降のCI装用でも問題が無かった。
  • 熊田 千栄子, 新正 由紀子, 加我 君孝
    2006 年 49 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1997年~2003年に出生し, スクリーニングを受けておらず生後6ヵ月以降に発見された難聴児31名 (男15名, 女16名) についてどの時点で発見されたか, その経緯を調べ今後の課題について検討した。発見時の年齢は1歳半以上が80%以上をしめた。発見が生後6ヵ月以降になった理由として病院で様子をみるようにいわれた児が52%と最も多く, 次に健診で見逃された児が39%であった。その他国際結婚が近年増加しており, 日本に定住せず, 健診も受けずに難聴が見逃されている場合があった。今回の我々が調査の対象とした症例は全て新生児聴覚スクリーニングを受けていなかった。今後スクリーニングが普及すれば生後6ヵ月以降に発見される難聴児が減少することが期待される。今回の調査結果より難聴児の早期発見には医師・保健師の難聴児に対する正確な知識が不可欠であり, スクリーニングの普及とともに今後一層の啓蒙活動が必要である。
  • 橋本 かほる, 能登谷 晶子, 小林 智子, 荒舘 宏, 伊藤 真人, 古川 仭
    2006 年 49 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    金沢方式による言語訓練を受けている聴覚障害幼児の中で, 2歳~4歳代に人工内耳埋め込み術を受けた5例を対象に, 術前後での言語の獲得経過と, 人工内耳装用後の理解語彙を中心に検討した。言語の獲得経過では, 人工内耳術前は文字単語や手指法による理解語彙数が優勢であったが, 術後, 文字は語彙数が伸びたが, 手指法は停滞した例もあった。また, 術後の語音聴取が成立する過程で, すでに獲得している手指法や書字で聴き誤りの語の同定が可能であった。その結果, 聴覚障害幼児の語音聴取の傾向をとらえることができ, その後の聴覚理解訓練に有効な情報が得られることがわかった。これより, 術前から聴覚障害幼児が表出しやすいコミュニケーション手段を獲得させておくことが術後経過を評価する上で有益であることがわかった。
  • 橋本 大門, 佐野 肇, 小野 雄一, 上條 貴裕, 岡本 牧人
    2006 年 49 巻 1 号 p. 74-81
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    突発性難聴に対する高気圧酸素療法 (以下, HBO) の有効性を retrospective に検討し, HBOの適応基準について考察した。
    1998年9月から2005年7月まで北里大学で治療をした突発性難聴198症例を対象とした。対象のHBOあり群 (124症例) はHBOとPGE1, ステロイド, 循環改善薬, ビタミンで治療したものとし, HBOなし群 (コントロール, 74症例) はHBO以外で治療したものとした。HBOと聴力改善との関係についてロジスティック回帰分析を行った。
    HBOあり群の Grade 4には治癒した症例が存在したが, HBOなし群の Grade 4には存在しなかった。HBOの有無に関してはいずれの群においても有意性を認めなかった。
    Grade 1~3の症例に対してはHBOを積極的に行う必要はない。Grade 4の症例に対しては患者が希望すればHBOを行うのが妥当である。
  • 中西 重夫, 矢部 多加夫, 馬場 美雪
    2006 年 49 巻 1 号 p. 82-85
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    新生児聴覚障害には早期発見・早期支援が重要であり, 各地で新生児聴覚スクリーニングが実施されている。東京都においては立川市と豊島区で平成15年1月1日から平成17年3月にかけて行われた。今回立川市におけるモデル事業の結果について報告した。期間中に出生した児に, 生後1ヵ月以内に指定の産婦人科3施設にて自然睡眠下自動聴性脳幹反応 (AABR) による検査を行った。精密検査が必要となった児は, 指定の耳鼻咽喉科にて精査とした。期間中の対象新生児数は3,414名, 初回検査実施者は1,506名 (44%) であった。再検査が必要だった児は14名で, 両側9名, 片側5名であった。再検査で精密検査が必要だったのは4名で, 両側1名, 片側3名であった。これらの児はすべて当科を受診した。精密検査の結果, 両側中等度以上の難聴は1,506名中1名 (0.066%) と従来の報告とほぼ同じであった。今後の課題として, 精密検査施設受診後の保護者への説明・対応, 早期療育 (訓練)・治療 (人工内耳), 事業の継続が挙げられる。
  • 教室の音響環境を考慮した補聴システムの選択のために
    洲脇 志麻子, 立入 哉
    2006 年 49 巻 1 号 p. 86-92
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    聴覚障害児が学ぶ教室の音響環境を改善するために, 補聴システムが必要である。FM補聴システムのようにSN比, 残響時間を改善するものをはじめとし, 指向性マイクロホンシステム等が検討されている。これらの補聴システムを選択する際, 各システムの特徴を考えると, SN比のみならず, 残響時間の改善をパラメータに加える必要がある。
    本研究ではSN比, 残響時間が音声聴取に及ぼす影響について, RASTIを指針として文章了解度, 主観的評価という2つの観点から考察した。
    結果, 両群共にRASTIの向上に伴って文章了解度が向上すること, 残響時間の改善によって主観的評価が向上することが明らかになった。この点からは, 補聴システムを選択する際, SN比のみでなく, 残響時間を含め, 複合的な評価が必要であることが示唆できた。
  • 北川 可恵, 黒瀬 誠, 新谷 朋子, 氷見 徹夫
    2006 年 49 巻 1 号 p. 93-100
    発行日: 2006/02/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    運動障害を伴う重複障害児603例に聴性行動反応聴力検査 (BOA), 条件詮索反応聴力検査 (COR), 聴性脳幹反応 (ABR), 耳音響放射 (OAE) を用いて聴力評価を行い, 18例に補聴器を装用して推定聴力の経過と補聴効果を検討した。高度難聴群ではABRとCORの結果が一致し, 聴力は変動しなかった。中等度難聴群ではABRとCORが乖離し, 心身発達に伴う聴性行動反応の改善例を認めた。補聴器は18例中17例が装用可能で, 補聴効果ありが9例, 補聴効果なしが4例, 聴性行動の改善に伴い補聴器装用を中止したのが4例であった。補聴効果を認めなかった4例中2例は人工内耳埋め込み術を受けた。心身発達や発声発語器官の問題で音声言語表出が困難な症例が多いが, 補聴器や人工内耳による聴覚補償はコミュニケーションの発達援助に有効であった。正常発達の難聴児では補聴器の早期装用が勧められるが, 重複障害児では体調や発達を十分に考慮する必要があった。
  • 2006 年 49 巻 1 号 p. e1
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
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