AUDIOLOGY JAPAN
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49 巻 , 6 号
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  • 青柳 優
    2006 年 49 巻 6 号 p. 761-776
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    聴性定常反応 (ASSR) について, その歴史, 刺激音, 記録法, 解析法, arousal level による影響について解説した。また, 臨床応用に関して, 正常者と難聴者におけるASSR閾値の差, 報告ごとの差, 500Hzにおける聴覚閾値レベルの推定における問題点, 乳幼児における反応振幅の発達, 骨導ASSRにおける問題点について述べ, 将来の展望として電気刺激SSR, 及び母音によるASSR測定の可能性について述べた。
    臨床的に最も重要な点は, ASSRによって周波数ごとの正確な聴力を推定できるということであるが, そのほか有用な点には, multiple simultaneous technique によってABRより短時間に聴力評価が可能なこと, クリック音や振幅変調した白色雑音によるASSRは新生児聴覚スクリーニングにも利用できること, sweep technique や語音によるASSRは閾値上の聴力評価にも有用であり, 乳幼児や幼児における補聴器のフィッティングにも有用なこと, などが挙げられる。将来的には, 電気刺激を用いたESSRは幼児における人工内耳のマッピングに寄与する可能性があり, 母音によるASSRは失読症, 失語症などの診断に応用が可能である。
  • 野村 恭也
    2006 年 49 巻 6 号 p. 777-781
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    突発性難聴側頭骨病理報告の多くは難聴の回復しなかった症例に関するものである。今回はそれらの一部から蓋膜の病変 (rolled-up 像) について検討した。その結果, 同様の病変は既知のウイルス性疾患, 例えば麻疹, ムンプスなどにより難聴となった症例にも見ることができる。これらに共通した所見は歯間細胞が消失していることであった。
    また実験的ウイルス性内耳炎においても上記の病変を観察することができ, この場合ウイルス抗原は蓋膜の他に歯間細胞にも存在していた。
    以前に報告した突発性難聴症例を再検討した。蓋膜には rolled-up 像以外の様々な病態がみられるが, いずれも実験的ウイルス性内耳炎に類似している。
    以上のことから聴力改善のみられない高度な突発性難聴はウイルスが原因であろうと考察した。自験例では精神的なストレスが誘因となっており, これがウイルスの潜伏感染を再活性化したものと考えた。
  • 神崎 仁, 佐藤 美奈子, 松永 達雄, 熊埜御堂 浩, 神崎 晶, 小川 郁
    2006 年 49 巻 6 号 p. 782-788
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    突発性難聴の原因, メカニズムはなお不明であり, 予後予測の精度も必ずしも高くない。本稿では, 重症度分類の Grade 2と3の症例に限定して, 治癒率, 改善率を調べ, 治癒率に影響する因子を検討し, 本疾患における報告システムの必要性を提案した。治癒率を主に発症後7日以内と発症後8~14日以内の2群に分類して検討した。発症後7日以内に受診した例の治癒率は52.9% (文献報告37~60%) であった。Grade 2と3の症例では有意差はなかった。発症後8~14日以内になると36.6%であった (文献報告20~25%)。7日目の改善率が50%以上になった場合, 聴力固定時の改善率が75%以上になる率が高く, これらの例には自然治癒例が含まれている可能性が示唆された。
    以上から症例全体の治癒率は, (1) 発症後7日以内の症例数, (2) 同じく8~14日の症例数, (3) Grade 3a (めまいあり) の症例数, (4) 治療開始7日目の改善率, (5) 自然治癒率に依存していると考えられた。
  • 松平 登志正, 鈴木 恵子, 原 由紀, 佐野 肇, 岡本 牧人
    2006 年 49 巻 6 号 p. 789-797
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    骨導補聴器の音響機械特性と装用耳の聴力から補聴域値を推測する方法について述べ, その妥当性について検討するために, 聴力正常者の両外耳道に耳せんまたはイヤモールド作成用印象剤を注入した擬似難聴11例において, 音場で2種類の骨導補聴器の補聴域値を実測し推定値と比較した。両補聴器とも, 気導補聴器より大きい推定誤差がみられたが, 本法は骨導補聴器の仮選択時の調整には十分な精度を有すると考えられた。また, 骨導補聴器のフィッティングを容易にする上で, 骨導補聴器の性能の表示を, 現在の音圧レベル/力のレベル表示から聴力レベル表示に変えること, 補聴器メーカーがこの資料を提供することが必要であることを述べた。
  • 福田 章一郎, 問田 直美, 福島 邦博, 片岡 祐子, 西崎 和則
    2006 年 49 巻 6 号 p. 798-802
    発行日: 2006/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    人工内耳埋め込み後, 語音明瞭度の改善が顕著であった先天性感音難聴児9例の異聴傾向を検討した。人工内耳装用後, 適切なマッピングによる聴覚学習と療育を受けた結果, 57語表による語音検査で9症例の平均は85.1%となり非常に高い明瞭度が得られた。人工内耳装用児の異聴傾向は有声破裂音を除き難聴者とほぼ同じ傾向を示した。無声子音の明瞭度は有声子音に比し高かった。特に, 摩擦音の明瞭度が高かったがこれは人工内耳の場合は補聴器と比較し, 高い周波数まで聴取可能であるため明瞭度の向上が得られたことによると考えられる。人工内耳の語音聴取の改善には周波数分解能と同時に時間分解能が関与していることが示唆され, 個々の異聴傾向はそれぞれの複雑な組み合わせによるものと考えられる。しかしながら, 摩擦音, 破擦音では構音点が後方であるほど明瞭度が低下する傾向がみられ, 今後の検討課題である。
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