AUDIOLOGY JAPAN
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50 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • SVR, MLRを中心に
    市川 銀一郎
    2007 年 50 巻 6 号 p. 627-641
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    聴性誘発反応 (Acoustically evoked potentials: AEPs) のうち, 聴性中間反応 (MLR), 頭頂部緩反応 (SVR) を中心に, 各種反応の連絡性, さらにはその臨床応用に関し, 著者らの経験並びに文献的な考察をふまえ概説した。
    聴性誘発反応には聴性脳幹反応 (ABR) の他にも臨床応用可能な反応がある。最新のIT機器を駆使して, まだ解決をしていない高位中枢由来の聴性反応の安定性と再現性の向上に取り組んでみる必要がある。これらは他覚的聴力検査として如何に画像検査が進歩しようと, 中枢病変の補助診断法としての意義は変わらないと信ずる。
  • 小山 由美, 田中 美郷, 芦野 聡子, 熊川 孝三, 針谷 しげ子, 浅野 公子
    2007 年 50 巻 6 号 p. 642-650
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    1999年に田中は人工内耳適応児の言語指導法として, 伝統的な聴能訓練をベースにした方法とは異なるトップダウン方式を提唱した。この方法は補聴器活用に併せて手話と指文字を言語指導に導入し, 言語の意味論レベルの機能の発達を促し, これをベースにトップダウン方式で脳内にことば (speech) の聴覚的辞書を作ることを目的としている。2004年4月以降この方式で指導し, 人工内耳を装用させて2年以上経過を観察してきた17例のうち, 15例は人工内耳装用によって手話コミュニケーションが聴覚口話に自然に移行または移行しつつある。残り2例は聴神経発育不全や slow learner などの問題が関係してまだ満足な成果が得られていないが, このような問題を除けば, これまでの成績は手指法は注意深く導入する限り, 聴覚口話の発達を妨げないことを示している。
  • 中川 雅文
    2007 年 50 巻 6 号 p. 651-657
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    健聴者7名および難聴者5名を対象として有意味単語 (親密度の高い4モーラ音) と無意味単音 (語音聴力検査用音源 57S) を用いて音場での聴取能の比較評価を行った。健聴群では有意味単語およびそれを構成する有意味単音いずれの正答率も無意味単音よりも高値を示した。難聴例では, 健聴例同様のパターンを示すものと有意味単語と有意味単音いずれも低下するケースを認めた。親密度の高い有意味単語を用いた検査は, 脳内の処理資源 (ことばの記憶・イメージ) の活用や不足する音素を類推・補完するトップダウン処理を定量的に評価する手法として今後の臨床応用が期待できる。
  • 鈴木 美華, 柏村 正明, 武市 紀人, 小原 修幸, 福田 諭
    2007 年 50 巻 6 号 p. 658-664
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    北海道内の人工内耳装用児を取り巻く教育環境の実態を把握し, 今後の課題について検討する目的で, 聾学校・難聴学級・難聴通級指導教室学級担任の質問紙調査を実施した。調査の結果から, 人工内耳装用児が在籍する聾学校と医療機関との連携については, 術前からの定期的なカンファレンスの実施が機能していると考えられた。一方で, 難聴学級・難聴通級指導教室と医療機関との連携は不十分であることが明らかになった。また, 装用児の就学に関して, 聾学校学級担任・難聴学級・難聴通級指導教室担当教員と医療機関の連携が必須であり, 就学先の環境整備が人工内耳装用児の通常学級就学の重要な要件であると考えられた。今後, 聾学校との連携を継続するとともに, 難聴学級・難聴通級指導教室を対象に連携を拡大し, 環境整備を含めた装用児の支援体制の確立に取り組む必要があると考えられた。
  • 仲野 敦子, 工藤 典代, 有本 友季子
    2007 年 50 巻 6 号 p. 665-670
    発行日: 2007/12/28
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    2000年から2004年12月までに, 新スク後に精査目的に当科を受診した80例 (男児52例, 女児28例) を検討した。紹介状への記載も不十分で, 新スクの説明がきちんと行われていない症例が多く見られ, 20例 (25%) は検査方法が不明であり, そのうち7例は検査結果の詳細も不明であった。80例中両側難聴24例 (30%), 一側難聴22例 (28%) が発見された。一側 refer 37例中の1例は両側難聴であった。ABR検査日に受診していない症例が対象80例中10例 (13%) で, 両側 refer 3例と一側 refer でありながら両側難聴であった一症例が含まれていた。新スクから両側難聴の診断がついた症例は, 早期から補聴器の装用, 療育機関への紹介を行えていたが, 診断確定前に通院が途絶えている症例が予想以上に多く, 精査機関における説明や経過観察方法にも再検討の必要があると思われた。
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