AUDIOLOGY JAPAN
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51 巻 , 4 号
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  • 立木 孝
    2008 年 51 巻 4 号 p. 253-262
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    心因性難聴の聴力検査には, 1) 純音オージオメトリー 2) 自記オージオメトリー 3) 他覚的聴力検査の3者が必要である。ただこの中で, 3) の他覚的聴力検査については, 本紙の他の著者の総説の中で詳細に述べられているので, ここでは省略することにした。ここでは1) 純音オージオメトリー 2) 自記オージオメトリーの2者について総説する。
    心因性難聴では, 純音オージオグラムの“閾値”は真の閾値ではない。しかし“でたらめ”でもなく, 内在する“大きさの感じ (loudness)”によってきめられる。従っていろいろの現象がでたらめではなく, ある傾向によって定められて行く。ここが本症の診断で重要な点である。自記オージオグラムも, 閾値 (きこえる, きこえない) ではなく, ある“大きさ (loudness)”を目当てに記録が行われるので, 断続音は断続条件によってレベルが上昇していく。これが心因性難聴の診断に大きな役割を果たすことになる。本稿はそれらを中心に解説した。
  • 長南 浩人, 齋藤 佐和, 大沼 直紀
    2008 年 51 巻 4 号 p. 263-269
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    本研究は, 5歳児から小学校の2年生の補聴器装用児47人と人工内耳装用児56人を対象として, 聴覚障害児の音韻表象を規定する要因を検討することを目的に行われた。方法は, 音節抽出検査とした。材料は, 3文字語と5文字語からなる名詞が用いられ, 視覚的要因として音節可視度や語を構成する音韻の位置, 語の長さとした。その結果, 補聴器装用児の反応は, 音節可視度が音節抽出に効果を及ぼしていることを示唆しており, この傾向は年少時においてより顕著であった。一方, 人工内耳装用児は語中音の正反応率が低いなど, 健聴児と類似した反応が見られた。これらの結果より, HA児は, 音節可視度という視覚的イメージを手がかりとして音韻分析を行っていることが推察された。
  • 坂本 夏海, 佐々木 亮, 欠畑 誠治, 二井 一則, 南場 淳司, 新川 秀一, 高橋 一平, 松坂 方士
    2008 年 51 巻 4 号 p. 270-278
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 多人数の町民を対象とした岩木健康増進プロジェクトの一環として, 20歳以上の弘前市の旧岩木町民のうち956名に対して, 聴覚検診とアンケート調査を行い, 年代別聴力像と種々の検査項目との関連について検討した。
    年代別平均聴力閾値は年代順に上昇しており, 特に高音域でその上昇幅が増大していた。また, 男女別聴力像では, 1,000Hzにおいては男女間に有意差を認めなかったが, 4,000Hzにおいては50歳代以降の男性が女性に比べて有意に閾値が上昇していた。男性の騒音暴露の機会が多いことが誘因と考えられ, 農業従事者が多いという調査地域の特性がその一因ではないかと考えた。
    さらに, 耳鳴, 耳閉感, 難聴については, それぞれ32.2%, 15.9%, 36.9%の人が自覚していた。難聴を自覚する人は70歳代以降で多くみられたが, 耳鳴を訴える人は80歳代で減少した。
  • 増田 佐和子, 臼井 智子, 鶴岡 弘美, 宮本 由起子, 花房 伸子, 坂田 典子, 小林 留美
    2008 年 51 巻 4 号 p. 279-285
    発行日: 2008/08/31
    公開日: 2010/08/05
    ジャーナル フリー
    三重県では平成18年度から中等度難聴児への補聴器購入費用助成事業が行われている。対象期間に新規に補聴器を装用した25名中13名が身障非該当で, このうち7名が本制度による助成を受けた。新生児聴覚スクリーニングによる発見例は6名で乳児期早期に診断を受けていたが, 装用開始年齢には幅があった。補聴器の活用状況は概ね良好であり, 保護者は複数回の助成や増額を求めていた。一方年齢や聴力, 所得制限のために本制度を利用できなかった児は6名で, 助成条件の緩和など制度のさらなる充実が必要であると考えられた。また難聴の発見や補聴器装用までに時間がかかる症例は依然存在し, 新生児聴覚スクリーニングや健診の充実, 療育機関での継続した保護者支援, 保護者への情報提供が必要と考えられた。一方, 医療機関での早期診断と補聴器装用時期の判断の難しさも示された。今後も関連機関が協力して長期的な展望を持ち地域における難聴児療育を発展させていくことが望まれる。
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