AUDIOLOGY JAPAN
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53 巻 , 2 号
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第54回日本聴覚医学会主題演題特集号
「両耳補聴」 「特発性両側性感音難聴」
  • 森 尚彫, 伊藤 壽一, 森 壽子, 平海 晴一, 山口 忍, 石丸 満, 伊藤 恭子, 大西 晶子, 黒田 生子, 藤本 政明
    2010 年 53 巻 2 号 p. 111-119
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    人工内耳 (以下CI) と補聴器 (以下HA) の両耳装用児5例 (CI+HA群) とCIのみ片耳装用児5例 (CI群) のCI対側耳裸耳聴力, 装用閾値, 語音聴取能力を比較し, CIとHAの両耳装用児とCIのみ片耳装用児の差異点, HA装用・非装用の理由について検討し, 以下の知見をえた。
    CI+HA群は, CI対側耳の裸耳聴力が平均90dBHL台で, CI群より良好であり, CI+HA群のCIとHAの両耳装用では, CI単独に比べて語音聴取検査成績の改善を認めた。
    CI+HA群では, 児がCI対側耳へのHA装用を嫌がらず, きこえの改善を自覚しており, CI群では, 児がCI対側耳へのHA装用に対して否定的であった。
    CI対側耳へのHA装用は, CI対側耳がHA装用によって聴覚活用可能かどうかの裸耳聴力の評価と, CIとHAの両耳装用による補聴効果の評価が重要であり, 児の反応や変化をよく観察して装用指導する必要があると考えられた。
  • 高卓 輝, 高木 良明, 伊藤 元邦, 野口 栄冶, 片山 崇
    2010 年 53 巻 2 号 p. 120-128
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    感音性難聴で音声の明瞭度が低下する原因の一つに末梢聴覚における周波数・時間マスキングの影響の増大がある。これに対する補聴処理として, 入力音声を周波数軸上で左右耳に分割して提示する両耳分離補聴方式が期待される。本研究では先行母音による後続子音へのマスキングに対する本補聴方式の有効性を検証することを目的に, 先行母音のホルマント周波数を考慮した2帯域分割を適応し軽中等度の高音漸傾型感音難聴者27名に40種類のVCV音節を用いた明瞭度試験を実施した。分割周波数および高域/低域成分の提示側条件を変えた場合の明瞭度の変化を分析した結果, 以下のことが分かった。1) どの分割周波数条件においてもDichotic補聴効果が認められる。しかしながら, 各子音正答率の改善量は分割周波数による差が認められる。2) 異聴傾向として, 子音のみならず先行母音/u/, /i/, /e/も改善される。3) 高域提示耳は, 低域成分が提示される低域帯域の聴力レベルと高域成分が提示される高域帯域の聴力レベルを合計した聴力を, その相補的な帯域の聴力と比較し, より聴力の良い組み合わせを選択した場合に高い明瞭度改善効果が得られる。
  • 安井 拓也, 樫尾 明憲, 尾形 エリカ, 赤松 裕介, 鈴木 光也, 山岨 達也
    2010 年 53 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    両耳聴取の利点は様々認められており, 海外では両耳人工内耳により, 聴取成績の向上が報告されている。片耳装用しか認められていない本邦では, 人工内耳の対側耳に補聴器を装用することが一般的である。今回我々は, 対側補聴器併用の利点について, 日本人患者で検討した。静寂下条件では, 片側人工内耳装用と, 人工内耳と対側補聴器併用の場合との間に, 聴取成績に有意な違いはなく, 装用期間等ほかの要因を考慮しても違いはなかった。騒音負荷条件でも, 補聴器併用による有意な正答率の向上は認められなかった。今回の研究で, 対側補聴器の効果が認められない理由として, 人工内耳の適応条件が厳しいこと, 症例数不足により有意差が出なかった可能性, 日本語と欧米言語の言語的な特徴の違いによる要因などが考えられた。今回の結果から, 人工内耳装用者の聴取能力を向上には, 両側人工内耳装用などにより対側耳をより積極的に活用することが必要と考える。
  • 松永 倫子, 神田 幸彦, 城戸 由美子, 柿田 陽子, 伊藤 亜紀子
    2010 年 53 巻 2 号 p. 135-141
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    当施設で補聴器を適合した補聴器装用者924名の中で両耳装用について, 年齢別・聴力別傾向, 音場での補聴器装用閾値, 語音明瞭度, 雑音下語音明瞭度, 左右スピーカー別語音明瞭度について, 片耳および両耳装用者での検査結果の比較を中心に検討した。結果は装用閾値では両耳装用の優位性は顕著ではなかったが, 中等度~高度難聴群の語音明瞭度, 雑音下語音明瞭度において両耳装用は片耳装用のケースよりも装用後の検査結果が良い傾向にあり, 両耳装用の有効性が高いことが示唆された。また左右スピーカー別の語音明瞭度では両耳装用が音源の位置の変化に対応しやすい傾向がみられた。
  • 小野 雄一, 佐野 肇, 上條 貴裕, 猪 健志, 牧野 寛之, 岡本 牧人
    2010 年 53 巻 2 号 p. 142-149
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    10年以上経過観察できた特難107例を抽出し, 急速型 (51例) 緩徐型 (56例) に分け検討した。発症時年齢分布は緩徐型が10歳未満と40~70歳代に多く2峰性を示し, 急速型は40歳代をピークとした1峰性を示した。初診時聴力型は高音障害型が半数を占め, 低音障害型, 水平型が次に多く両型で差は認めなかった。初診時と最終時の聴力は, 緩徐型は初診時30~60dB, 最終時では60~80dBに分布し聴力の左右差が少ない症例が多く, 急速型は初診時10~60dB, 最終時50~110dBに広く分布していた。めまいを認めたものは急速型27/51例, 緩徐型17/56例, 複数回繰り返したのは急速型19/51例, 緩徐型14/56例であった。メニエール病鑑別のため急速型でめまいの反復例19例を検討した。初診時聴力型では高音障害型が増加し低音障害型, 水平型は減少した。聴力急性悪化時の周波数域は全周波数域の悪化が多く低音域は少なかった。めまいを伴う特難症例もあると考えた。
  • 伊藤 卓, 野口 佳裕, 大野 十央, 喜多村 健
    2010 年 53 巻 2 号 p. 150-157
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    遺伝性難聴を除外した特発性両側性感音難聴 (特難) の特徴を明らかにするため, 孤発例と家族例に分類し, 臨床所見の差異を検討した。対象は, 聴力検査にて難聴の進行を確認できた確実例群31例と, 自覚的進行のみの疑い例群159例とした。両群ともに, 性差, 発症年齢, オージオグラムの対称性, 初診時聴力レベルは, 孤発例と家族例の間で有意差を認めなかった。しかし, 従来特難の特徴とされてきた高音漸傾・急墜型, 水平型の聴力像を示す割合や両耳の難聴が同様に進行する様式を示す割合は, 家族例で有意に高かった。GJB2変異, ミトコンドリアDNA 1555A>G変異, 3243A>G変異についての遺伝学的検査では, 家族例にのみ2つのミトコンドリア遺伝子変異が同定された。従来報告されてきた特難の特徴は遺伝性難聴が示唆される家族例の病態を反映している可能性があり, 遺伝性でない特難の臨床像の解明には孤発例の特難に絞った病態解析が重要である。
  • 上條 貴裕, 佐野 肇, 小野 雄一, 猪 健志, 牧野 寛之, 岡本 牧人
    2010 年 53 巻 2 号 p. 158-163
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    10年以上観察できた特発性両側性感音難聴107例について疫学, 臨床像を検討した。発症年齢のピークは過去の報告と変わりはなく10歳未満と40歳代であった。若年発症型, 成人発症型と分けて比較すると若年発症型に家族歴が多く, 聴力障害も高度なものが多かった。めまいを訴え, また中にはめまいをくり返しメニエール病との鑑別が困難な症例もあった。初診時はGrade1 (両側70dB未満) と2 (一側70dB未満) で95%を占めていたものが最終受診時には半数近い46%の症例がGrade3 (両側70dB以上) となっており, 本疾患の社会的影響の大きさを示す結果であった。
  • 岡本 康秀, 松永 達雄, 泰地 秀信, 守本 倫子, 坂田 英明, 安達 のどか, 貫野 彩子, 山口 聡子, 仲野 敦子, 高木 明, ...
    2010 年 53 巻 2 号 p. 164-170
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/03
    ジャーナル フリー
    前庭水管拡大症 (EVA: enlargement of the vestibular aqueduct) は最も頻度の高い内耳奇形である。EVAが認められる疾患としては, 先天性で発症し進行する難聴やめまいを呈し, ヨード有機化障害による甲状腺腫を伴うPendred症候群が知られている。またPendred症候群以外の症候群性難聴や非症候性難聴で認められる場合もある。Pendred症候群の原因としてはSLC26A4 遺伝子変異が報告されている。これまで画像検査による前庭水管拡大の程度とPendred症候群に関連する臨床的特徴についての関係はまだ確立されていない。今回我々は両側性難聴を, 画像検査による前庭水管拡大の程度から確実例とボーダーライン例とに分類し, SLC26A4 遺伝子変異を含むPendred症候群に関連する検査所見を比較検討した。拡大確実例群において遺伝子変異が89%で認められ, ボーダーライン例群では33%であった。Mondini奇形は確実例群で67%に認めたが, ボーダーライン例群では33%であった。めまい症状は確実例群で33%に認め, ボーダーライン例の17%であった。甲状腺腫は確実例群で22%に認め, ボーダーライン群で17%であった。甲状腺機能低下は確実例群の成人例で1例を認めるのみであった。サイログロブリン (TG) の上昇は, 両群ともに検査症例中約50%に認め, その全例にSLC26A4 遺伝子変異が認められた。以上の結果は前庭水管拡大の確実例群とボーダーライン群では, 確実例群に遺伝子変異と強い相関を認め症例の病態の構成が異なることが予想されたが, 臨床症状には明らかな有意な差は認められなかった。
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