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53 巻 , 6 号
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総説
  • 立木 孝
    53 巻 (2010) 6 号 p. 653-663
    公開日: 2011/01/27
    ジャーナル フリー
    ストレプトマイシンの発見以来, 我が国では結核の死亡率が著明に減少したが, 同時に副作用としての難聴が発生した。ストレプトマイシンによる難聴は個人差が大きく, 難聴になる人は少なくても, 高度の難聴になった。難聴の症例が増加するうちに, その中に同じ家族, 或は家系内に複数の難聴者が発生する場合が少なくないことがわかった。いわゆる家族性ストマイ難聴である。
    家族性ストマイ難聴症例の家系図を仔細に検討するうちに, 難聴者は必ず母系に発生する (母からのみ伝わり, 父からは伝わらない) ことがわかった。母系に遺伝する遺伝病として, ミトコンドリアの異常が検討され, その結果, ミトコンドリアDNAの1555変異によるものと判明, 家族性ストマイ難聴は遺伝疾患であると結論された。更に家族性ストマイ難聴の家系メンバーを詳細に検討して行くと, その中にはストマイを使用せずに同じような難聴になる人がいて, その数は必ずしも少なく無いことがわかった。その結果, ストマイ難聴は, 生まれながらの内耳の素因 (家族性内耳性難聴) を持つ者にストマイが絡んで生じたもの, という考えが生まれた。家族性内耳性難聴自体は必ずしも母系ではないので, 「ストマイ難聴が家族性にあらわれる母系の難聴」, 更に今後ストマイなき時代の家族性ストマイ難聴, はどう出現するのか, 臨床聴覚学のひとつの問題である。
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  • 沖津 卓二
    53 巻 (2010) 6 号 p. 664-676
    公開日: 2011/01/27
    ジャーナル フリー
    聴覚障害以外に他の障害を合併している重複障害児における聴覚医学的問題や留意点について概説した。最近は広汎性発達障害との重複が増えており, また以前多かった脳性麻痺から先天異常, および染色体異常への変遷が認められる。重複障害児においても聴覚検査はBOA, COR, ABR検査の併用が基本であるが, CORの閾値 (最小反応レベル) とABRの反応閾値は発達に伴って改善する例があり, 検査は継時的に行う必要がある。ASSRは閾値を周波数別, 左右別に他覚的に測定できるので, CORやABRの欠点を補う検査として期待されている。補聴器装用, 人工内耳埋め込み手術の目的は必ずしも音声言語の獲得のみにこだわらず, 何らかのコミュニケーション手段が獲得できればよいとする方向に変わってきている。少なからず手術侵襲を伴う人工内耳では, 目的を明らかにして過度の期待を持たせることのないようにインフォームドコンセントを十分行わなければならない。
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原著
  • 和田 匡史, 泉 修司, 窪田 和, 本間 悠介, 大平 芳則, 山口 富一, 高橋 姿
    53 巻 (2010) 6 号 p. 677-681
    公開日: 2011/01/27
    ジャーナル フリー
    最近10年間に小児発達障害専門施設より当科幼児難聴外来へ難聴を疑われて紹介された小児61例について検討を行った。初診時平均年齢は2歳7か月で, 同時期に当科で難聴の精査を行った小児の初診時平均年齢と変わりなく, 小児科医が言語発達遅滞の原因として早期に難聴の鑑別を行っていると考えられた。中等度以上の難聴は12例 (20%) に認め, 精神遅滞を合併した児に多かった。中等度以上の難聴児に対し, 補聴器の装用を勧め, 装用できた7例は聴覚活用により様々な発達を促すことができた。言語発達遅滞をきたす精神遅滞や広汎性発達障害などの発達障害を診る小児科医にとって, 難聴の有無は有用な情報であり, 双方向の良好なコミュニケーションがとれていることが分かった。一方で, 難聴の診断がつきながら補聴器を装用できない児や受診できない児もいるため, 保護者への難聴を含めた障害受容に対するアプローチ法を改善する必要があると思われた。
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  • 岡本 牧人, 佐野 肇, 上條 貴裕, 小野 雄一
    53 巻 (2010) 6 号 p. 682-686
    公開日: 2011/01/27
    ジャーナル フリー
    目的: 突発性難聴罹患者の治療成績と聴力固定期の難聴状況を検討した。
    方法: 1995年-2004年に北里大学で治療した突発性難聴の予後を検討し, 過去の全国疫学調査結果と比較検討した。健側聴力を含めて固定期の聴力を検討した。
    結果: 全646例で治癒例は44.1%, 発症2週間以内治療開始例で47.7%, 発症1週間以内治療開始例で49.8%であった。また, 固定時, 2.2%が両側40dB超の難聴であった。
    考察: 1973年以降, 治癒率は徐々に増加したが, 50%以上の患者に難聴が残存した。全国疫学調査 (2001) における推定患者数は35,000人であり, 約20,000人が難聴を残すと推定された。突発性難聴の平均罹患年齢は50歳台であり, 患者の平均余命は30年以上あることを考えると突発性難聴による難聴は数十万人に及ぶ可能性もあり, 難聴の成因としても重要と思われた。治らなかった患者に対して聴覚管理を含めた診療が必要である。
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  • 池田 卓生
    53 巻 (2010) 6 号 p. 687-694
    公開日: 2011/01/27
    ジャーナル フリー
    新生児聴覚スクリーニング後の精密検査のために当科を受診した児について, 聴覚発達チェックリスト (田中・進藤式) の経過を検討した。両側正常群の経過から到達月齢の成長曲線を作成した結果, 到達月齢の平均-2SDは実際の月齢-1ヶ月となり, 従来の判定基準と同様であった。一側難聴群の到達月齢は, 成長曲線の平均±1SDに入っていた。軽度難聴群では, ばらつきが多くなったが平均±2SDに入っていた。高重度難聴の到達月齢は, いずれも成長曲線から外れていた。中等度難聴については, 聴力60dBの1例は, 生後3ヶ月までは正常群と同様の経過であったが, その後成長曲線から外れた。一方, 聴力50dBの1例は, 精神運動発達遅滞を重複しているにも関わらず, 生後9ヶ月まで平均-2SDの範囲に入っており, 聴覚発達チェックリストで抽出できる聴力レベルの限界が示唆された。
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  • 伊藤 まり, 相馬 啓子, 池上 奈歩, 佐藤 永通子
    53 巻 (2010) 6 号 p. 695-701
    公開日: 2011/01/27
    ジャーナル フリー
    TRT (Tinnitus Retraining Therapy) はJastreboffによって1990年に提唱された神経生理学的モデルに基づいた耳鳴順応療法でカウンセリング (Directive Counseling) とSG (sound generator) (以下SG) を主とする音響療法からなる。聴力正常または軽度難聴症例においては音源として主にSGを用いたTRTを施行するのに対して, 中等度~高度難聴症例においては, SGの治療音を聴取しえないこともあり, 補聴器によるTRTを施行し外界音の入力によって耳鳴に対する順応をおこし, 耳鳴感を軽減することが勧められている。一方SG付き補聴器によるTRTでは, 補聴器による外界音の入力とともにさらにSGによる治療音の入力があり, より高い改善感が得られると推察された。平成16年4月から平成21年3月までの5年間に当院耳鳴難聴外来を受診しTRTを試みた耳鳴患者 183例 (男102人女81人) のうち, SG付きの補聴器 (HA) を用いてTRTを施行し, 耳鳴改善感が得られた2症例を経験したので報告する。
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