要旨: 難聴児の療育と支援の問題点を調査し, 療育を充実させるための今後の課題を検討した。
対象は2011年4月から2012年4月までに山口大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を療育, または, 難聴の経過観察のために受診した難聴児のうち, 聴取能と言語発達の評価が可能であった20名とした。
対象児の療育上の問題点には, 難聴発見の遅れ, 受診や補聴器装用に関わる保護者の対応の問題, 療育経過中の難聴の進行があった。また, WISC-IV知能診断検査では, 言語理解指標の合成得点が80未満の児が5名, 言語理解指標の合成得点は80以上だが知覚推理指標の合成得点に比べると有意に低い児が5名認められた。これらの10名は学齢期の児であり, 言語発達の遅れは学校生活全般に支障をきたすと考えられるため, 就学後も定期的に言語指導を行うことが重要であると考えられる。
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