AUDIOLOGY JAPAN
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April
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会告
総説
  • 野口 佳裕, 西尾 信哉, 宇佐美 真一
    2018 年 61 巻 2 号 p. 129-135
    発行日: 2018/04/28
    公開日: 2018/07/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 現在遺伝子解析技術は欠かすことのできない診断法となり, 次世代シークエンサー (NGS) がその重要な役割を担っている。 NGS は, 超並列シークエンスにより迅速で網羅的な解析を可能する。 一方, 膨大なバリアントが検出されるため, その病原性の評価に専門的知識が必要となる。 保険診療での難聴の遺伝学的検査の後に行われる研究レベルでの63難聴遺伝子のターゲットリシークエンスでは, 1人あたり300~400個のバリアントが得られる。 最初に, アリル頻度, バリアントの部位・種類, in silico 解析によりフィルタリングする。次に, American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG) ガイドラインに準じバリアントの病原性を評価する。 研究での遺伝学的検査で得られた結果を保険診療に反映させることにより, 患者への還元が期待できる。

第 62 回日本聴覚医学会主題演題特集号
「発達障害を伴った難聴児をめぐる諸問題 」 「難聴・耳鳴治療に向けた聴覚基礎研究」
  • 天地 真顕, 柳井 真由美, 井口 郁雄
    2018 年 61 巻 2 号 p. 136-144
    発行日: 2018/04/28
    公開日: 2018/07/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 重複障害を有する難聴児に対する, 広島市こども療育センターの支援体制について検討した。過去5年間に当センター耳鼻咽喉科を受診し, 難聴と重複障害が判明した39名に対して以下の三形態の療育支援を行った。 ①重度の運動および知的障害をもつ14名に対して, 運動・知的障害のための療育と, 重複児対象の難聴療育を併行して実施した。 ②当センターに附属する難聴幼児通園施設の療育開始後に知的障害の診断を受けた9名に対して, 発達レベルに応じて療育内容を調整し, 4名については特別支援学校幼稚部への移行を支援した。 ③難聴療育開始後に自閉症スペクトラム障害 (ASD) 特性が明らかとなった16名に対して, 難聴療育の枠内で特性への支援を強化した。 各形態とも, 機関連携と障害特性に応じた支援が療育効果を高めたことがうかがえた。 ASD 重複群に関しては, 支援の遅れが特性を強めた疑いがあり, 保護者への告知のあり方にも課題が残った。

  • 泰地 秀信, 岡本 康秀, 神崎 仁
    2018 年 61 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 2018/04/28
    公開日: 2018/07/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 難聴・耳鳴で来院され, 純音聴力が正常で, 語音弁別能の低下および ABRⅠ波の振幅低下があり cochlear synaptopathy と推定される例があった。 ABR 振幅の個体内変動について正常聴力者と中等度感音難聴者を対象に検討した。 ABR の振幅のばらつきは背景雑音ではなく反応本体に起因すると考えられた。 ABRⅠ波振幅は正規分布をとるとみなせた。 加算回数が増えるとⅠ波振幅の標準偏差は理論通りに小さくなった。Ⅰ波の振幅変動と潜時のばらつきの関連が理論的に予測されたが明確ではなかった。 難聴群 (79dB) と正常群の ABRⅠ波振幅を比較すると, 正常 40dB との比較では難聴群の方が有意に大きく, 正常 80dB との比較では難聴群の方が有意に小さかった。 同じ閾値上レベル (難聴群と正常 40dB) での比較では難聴群の方が有意に CV (標準偏差/平均) が小さかった, いずれも高い音圧レベルでは lower-SR fiberが働き, 難聴者ではその機能が低下しているとして説明可能であった。

  • 杉浦 彩子, 寺西 正明, 内田 育恵, 中田 隆文, 曾根 三千彦
    2018 年 61 巻 2 号 p. 154-159
    発行日: 2018/04/28
    公開日: 2018/07/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 亜鉛欠乏による症状として耳鳴, 難聴, 抑うつ等が報告されているが, この3つを同時に検討した文献は渉猟しえた限りはなかった。 そのため, 一般地域在住中高年者1,429名において, ベースライン時の亜鉛欠乏の有無が, 4年後の耳鳴, 耳鳴による不快, 難聴, 抑うつに関連するかどうかの検討を行った。 ベースラインにおいては亜鉛欠乏の有無によって耳鳴, 難聴, 抑うつの頻度の有意差を認めなかった。 4年後の耳鳴, 耳鳴による不快, 難聴, 抑うつのそれぞれを目的変数としたロジスティック解析では, 亜鉛欠乏と有意な関連を認めたのは抑うつのみであり, ベースラインの抑うつの有無等を調整したオッズ比は1.66 (p=0.025) であった。亜鉛欠乏は抑うつとの関連が強く, 耳鳴・難聴患者において抑うつを伴う場合には亜鉛欠乏にも留意する必要があると考えられた。

  • 和家 尚希, 神崎 晶, 高橋 宏知
    2018 年 61 巻 2 号 p. 160-169
    発行日: 2018/04/28
    公開日: 2018/07/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 耳鳴の神経機序は, 耳鳴の診断及び治療に貢献しうる。しかし, 持続的な耳鳴の知覚を説明できる機序は確立されていない。 動物を対象とした電気生理実験の報告によると, 聴覚野の神経活動の同期は, 持続的な音知覚に関連する。 そこで本研究では,片耳音響暴露による耳鳴モデルラットを作成し, 行動実験から示唆される耳鳴症状と, 聴覚野の自発活動の同期強度との関係を調べた。 その結果, 暴露音の周波数領域と耳鳴が示唆された高音周波数領域との間で, 神経活動の θα 帯域の同期強度は, 暴露群では対照群よりも有意に高かった。 この同期強度は, 耳鳴症状の行動指標にも有意に相関した。 これらの結果から, 聴覚野の神経活動の同期現象は, 今後の耳鳴の診断や治療方法の開発に有用な示唆を与える。

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