AUDIOLOGY JAPAN
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August
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総説
  • 白石 君男
    2019 年 62 巻 4 号 p. 261-275
    発行日: 2019/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 日常生活における音源定位は,音の刺激が両方の耳に与えられるような音の聴取状態である両耳聴 (binaural hearing) の重要な機能の一つである。これまで, 両側性小耳症・外耳道閉鎖症などの伝音難聴では, 骨導補聴器は片側装用されることが多かったが, 両耳に骨導補聴器を装用すると健聴者と同程度の方向感の精度をもたらさないものの, 方向感を有することが明らかとなった。骨導補聴器の両耳装用は, 小耳症・外耳道閉鎖症などの幼児では聴覚系の発達を促し, 成人の伝音難聴では日常生活の不便さを減少させるものと思われる。

原著
  • 塚原 恵, 小渕 千絵, 中川 尚志, 城間 将江
    2019 年 62 巻 4 号 p. 276-281
    発行日: 2019/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 本研究は, 高齢者を対象に, 両耳融合能の一つである両耳交互聴検査を行い, 両耳融合能に対する加齢や難聴の影響を明らかにした。さらに, 両耳交互聴検査の結果と年齢, 聴力, 最高語音明瞭度との関係について検討した。対象は, 60歳以上の31名の高齢者で, 左右聴力差 15dB 以内, 最高語音明瞭度左右差15%以内の者とした。課題は, 150ms ごとに分割した文を両耳に交互に提示する両耳交互聴検査と, 何も加工しない文を良聴耳側のみに提示する片耳での文聴取検査を実施した。この結果, 高齢者では両耳交互聴検査で有意に低下した。両耳交互聴検査の成績低下は, 最高語音明瞭度, 聴力, 年齢 (-.10) の順に関与し, 最高語音明瞭度との関係が最も強かった。加齢により, 両耳からの情報が十分に統合されにくいことが示唆されたが, その要因については今後更に検討を重ねる必要性があると考えられた。

  • 山本 弥生, 小渕 千絵, 城間 将江, 麻生 伸
    2019 年 62 巻 4 号 p. 282-289
    発行日: 2019/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 聴覚障害児者の語音聴取能には時間分解能が関係しているとされている。本研究では, 聴覚障害乳幼児の時間分解能について検討するため, 聴覚障害乳幼児32名 (6カ月~6歳4カ月) を対象に, 振り向きやボタン押しなどの反応様式を用いたギャップ検出閾値課題を実施した。その結果, 聴覚障害乳幼児においてもギャップ検出閾値測定は可能であった。また, ギャップ検出閾値については, 裸耳聴力や装用閾値とは関係せず, 課題への集中度および年齢と有意な関係を示し, 正確な測定が可能となるまでには時間を要した。反応様式は3歳以降で自覚的応答へと移行して閾値が安定しやすく, この頃のギャップ検出閾値上昇は, 難聴による時間分解能への影響が示唆された。

  • 佐藤 紀代子, 杉内 智子, 城本 修, 辛島 史織, 根岸 歩
    2019 年 62 巻 4 号 p. 290-298
    発行日: 2019/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要旨 : 中等度難聴者4名を対象として, 聞こえにくさと聴覚障害の意識について半構造化面接を用いて検討し, 当事者の視点で分析した。面接の叙述から中等度難聴者の聞こえにくさと聴覚障害の意識に関する30種の概念がコード化され, 聞こえにくさと対処法, 聴覚障害の意識の変容について個別の経緯を検討した。語音聴取が良好でも他愛無い雑談などの聴取に困難を感じており, 会話方略の使用, 自らの情報収集などによって対処していることに共通点を認めた。また, 聴覚障害への意識は個々の成育歴や環境によって異なっていたが, 共通して聴覚障害の受容よりも否定的な意識の方が多く, どのようなライフステージにおいても常に聴覚障害の受容, および否定的な意識が混在していることが示された。当事者の発達段階に応じて医療や教育の場において情報提供することや, 当事者が障害を開示し社会に配慮を求める姿勢を形成するなど, 長期的な支援の必要性が示唆された。

  • 松井 祐興, 伊藤 吏, 窪田 俊憲, 新川 智佳子, 千葉 寛之, 米澤 裕美, 欠畑 誠治
    2019 年 62 巻 4 号 p. 299-306
    発行日: 2019/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要旨: Alport 症候群は, 腎炎, 眼症状に加えて, 緩徐に進行する両側性感音難聴をきたす症候群であるが, 聴力経過や個々の症例について検討した報告は少ない。そこで, 聴力経過と病歴および補聴器装用の有無について検討した。今回, Alport 症候群において, 耳鼻咽喉科で長期に経過観察した症例は男性3例であった。観察期間は, 8年 (3-11歳), 13年 (4-17歳), 7年 (11-18歳) であった。2例は比較的低年齢から難聴が発症し, 難聴の進行を比較的早い時期に認めた。1例は, Alport症候群の診断が早期につかなかったため, 耳鼻咽喉科で聴力検査施行時にはすでに難聴を認めた症例であった。3例のいずれも経時的に聴力が緩徐に低下した症例であったが, いずれも本人が補聴の必要性をそれほど感じなかったため, 1例では補聴器を導入するも授業中のみの使用であり, 2例では補聴器の導入に至っていなかった。

  • 亀井 昌代, 佐藤 宏昭, 米本 清, 小田島 葉子
    2019 年 62 巻 4 号 p. 307-314
    発行日: 2019/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要旨: frequency lowering (以下 FL) 機能は主に高音障害型感音難聴における高音域の補聴に用いられることが多い。FL の処理方法には linear frequency transposition (以下 LFT), non-linear frequency compression (以下 NLFC), frequency translation (以下 FTl) or high-frequency speech feature's replication などがある。今回, FL 機能が内蔵された補聴器3機種を対象とした。FL 機能 off, on の各条件下で, 雑音下語音明瞭度の測定と生活文の印象評価を, 健聴例および高音急墜型感音難聴症例に対して行い検討した。

     健聴例の雑音下語音明瞭度は LFT と NLFC では機能 on の条件下で有意に低値であった。印象評価は補聴器非装着時に比較しすべての FL は相対的に低値であった。感音難聴症例では, FL on は off に比較し語音明瞭度が高値であったが, 印象評価は on, off に関わらず処理方法により評価が異なる傾向がみられた。

     高音急墜型感音難聴症例では, FL 機能はどの症例でも聞き取りが改善する傾向がみられた。

  • 御子柴 卓弥, 新田 清一, 中山 梨絵, 鈴木 大介, 坂本 耕二, 島貫 茉莉江, 岡田 峻史, 藤田 航, 鈴木 法臣, 大石 直樹, ...
    2019 年 62 巻 4 号 p. 315-325
    発行日: 2019/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 音楽幻聴は, 外部からの音刺激がないのに歌や旋律が自然に聞こえる現象であり, 耳鳴患者の中にも稀に存在する。2011年1月から2018年10月までに当科を受診した耳鳴患者のうち, 音楽幻聴を訴えた23例の臨床像を検討した。このうち11例に対し耳鳴について詳細に説明した上で補聴器による音響療法を行い, 治療効果を検討した。音楽幻聴症例は, 高齢者・女性に多く1例を除く全例で感音難聴を認めた。全例で病識が保たれており, 精神神経科疾患の合併を認めなかった。治療後に Tinnitus Handicap Inventory の合計値, 耳鳴の自覚的大きさ・苦痛の Visual Analogue Scale は有意に改善した。本検討から, 精神神経科疾患の合併がなく難聴が主病因の音楽幻聴に対し耳鳴の説明と補聴器による音響療法が有効な治療である可能性が示唆され, 耳鼻咽喉科医が中心となり診療に携わることが望ましいと考えられた。

  • 湯浅 哲也, 加藤 靖佳
    2019 年 62 巻 4 号 p. 326-333
    発行日: 2019/08/30
    公開日: 2019/09/12
    ジャーナル フリー

    要旨: 本研究では, 聴覚特別支援学校出身で音声言語を主なコミュニケーション手段として用いる重度聴覚障害者を対象に, 発話速度の特徴及び速度調節の方略を明らかにすることを目的とした。異なる3種の速度での発話の持続時間について音響分析を用いて, 健聴者との比較検討を行った。その結果, 重度聴覚障害者の発話速度は健聴者より速度低下が見られ, ポーズ時間に差が見られなかったことから, 重度聴覚障害者は構音にかかる時間が延長していることが示された。ただし, 個人差が大きく, 重度聴覚障害を有していても, 健聴者と近似した発話をする例が見られた一方で, 速く発話することが厳しい例も確認された。そして, 異なる発話速度間では, 発話時間とポーズ時間の比率から, 健聴者及び重度聴覚障害者ともに, 文中・文間ポーズ時間の増減によって, 速度を調節して発話していることが明らかになった。

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