AUDIOLOGY JAPAN
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64 巻, 6 号
December
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 木下 智美, 阪本 浩一, 角南 貴司子
    原稿種別: 原著
    2021 年 64 巻 6 号 p. 529-537
    発行日: 2021/12/28
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    要旨: 聴性定常反応 (auditory steady-state response, 以下 ASSR) は周波数特異性のある他覚的聴力検査として臨床の場で広く用いられている。CE-Chirp® を用いた Interacoustics 社の Eclipse version 1.02は 40Hz 刺激と 90Hz 刺激の2種類の変調周波数で検査が可能で, 40Hz 刺激は覚醒状態で成人に, 90Hz 刺激は睡眠下で小児に施行することが推奨されている。しかし実際の臨床においては小児でも覚醒状態で検査が可能な場合もあり, また成人でも検査中に睡眠状態となることも有り得る。そこで我々は同一被験者に対して, 40Hz 刺激覚醒下, 90Hz 刺激睡眠下の両方の条件で ASSR 閾値を測定した症例を対象に, それぞれの結果について純音聴力閾値との関連について検討した。その結果, どちらの変調周波数で測定した ASSR の結果も純音聴力閾値との間に高い相関が見られた。さらに難聴程度別における検討を行ったところ, 正常群は純音聴力閾値より ASSR の閾値が高く, 高重度難聴群では低いという結果が全周波数を通じて得られた。

  • 山崎 朋子, 諸頭 三郎, 玉谷 輪子, 藤井 直子, 山崎 博司, 藤原 敬三, 内藤 泰
    原稿種別: 原著
    2021 年 64 巻 6 号 p. 538-544
    発行日: 2021/12/28
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    要旨: 本邦における小児両側人工内耳の症例数は増加傾向にある。両側の人工内耳手術は, 初回側手術 (1st CI) と反対側手術 (2nd CI) の間隔をあけて行う逐次手術と, 両側を一回の手術で行う同時手術に分けられる。当科では, 2015年7月より小児の両側同時人工内耳手術を開始し, 年々症例数が増加している。今回我々は, 両側同時人工内耳手術の効果を明らかにするため, 当科で両側同時人工内耳植込み術を行った同時 CI 例13名と 1st CI と 2nd CI の手術間隔が1年以上の逐次 CI 例13名の術後2年間の LittlEARS® 聴覚活用質問紙 (LEAQ) と新版 K 式発達検査の結果を比較した。LEAQ の得点は, 術後3カ月から15カ月まで同時 CI 群が逐次CI 群よりも有意に高い値を示し, 同時 CI 群が逐次 CI 群より聴性行動の発達が早いことが明らかになった。新版 K 式発達検査の言語・社会領域の発達指数 (DQ) は, 術後1年では同時 CI 群が逐次 CI 群より良好な結果を示したが, 術後2年で両群間の有意差は消失した。しかし, 認知・適応領域の DQ と言語・社会領域の DQの差は, 術後1年と2年のいずれも同時 CI 群が逐次 CI 群より有意に小さい値を示し, 術後少なくとも2年間は同時 CI 群が逐次 CI 群より認知面の発達に見合った言語発達に近づくことが示唆された。

  • 堀 明美, 細谷 誠, 忰田 かおり, 大石 直樹
    原稿種別: 原著
    2021 年 64 巻 6 号 p. 545-554
    発行日: 2021/12/28
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    要旨: MMN や P300 などの事象関連電位は, 聴覚中枢の評価が可能であり聴覚情報処理障害への応用などが期待されているが, 検査手技が煩雑で検査時間も長く一般的な聴力検査室への普及は進んでいない。今回我々は測定の短時間化を目的に, 従来の MMN 測定で多く使われる Fz と ABR と同一の Cz で関電極位置が潜時に与える影響を正常聴力成人6耳に対して検討するとともに, 関電極位置を Cz にして49耳に対して MMN と P300 を測定し, 安定的な記録に必要な加算回数の検討を行った。その結果, 関電極位置による振幅・潜時の有意な違いは認めず, MMN・P300 ともに200回加算が100回加算・300回加算に対し可測率が最も高かった。200回加算での測定時間は, MMN・P300 検査とも両耳測定でともに約12分であった。関電極を Cz・加算回数を200回とすることで MMN および P300 を実用的な臨床検査とすることができると考える。

  • 赤松 裕介, 廣田 栄子, 尾形 エリカ, 樫尾 明憲, 坂田 阿希, 山岨 達也
    原稿種別: 原著
    2021 年 64 巻 6 号 p. 555-564
    発行日: 2021/12/28
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    要旨: 人工内耳を装用する先天性重度聴覚障害児165例を対象に, 小学校就学期に聴覚単独条件と読話併用条件を用いて単音節聴取能を評価した。単音節正答率, 音節別正答率および, 関与する要因について検討し, 以下の結果を得た。

     1) 小児 CI 装用例の単音節聴取能は, 聴覚単独条件で平均60.7%を示し, 読話併用条件で平均5.1ポイント向上した。

     2) 母音部正答率は聴覚単独条件で平均87.1%であり, 全体正答率との相関を認めた。また, 母音部正答率が90%以上と高いものの全体正答率が60%未満と低い例を認めた。

     3) 構音様式別には, 無声音は有声音に比し正答率が高く, 摩擦音が良好であった。半母音は単独母音や他音節に比し正答率が高く, 同一音素内の個別の音節間に差を認めた。

     4) 全体平均値より-1SD 未満の低値群 (26例) では, 内耳奇形や蝸牛神経低形成, 発達の障害, 4歳以降の CI 装用, これらの重複例が89%を占めた。

     5) 上記要因を除いた標準例における単音節聴取能は, 聴覚単独条件で75.7%に達した。重回帰分析では単音節聴取能は, 人工内耳装用年齢と動作性知能の要因の関与が認められた。

  • 赤松 裕介, 廣田 栄子, 尾形 エリカ, 樫尾 明憲, 坂田 阿希, 山岨 達也
    原稿種別: 原著
    2021 年 64 巻 6 号 p. 565-574
    発行日: 2021/12/28
    公開日: 2022/01/20
    ジャーナル フリー

    要旨: 内耳奇形例や蝸牛神経低形成例, 発達障害例を除き4歳未満に CI 手術を受けた先天性重度聴覚障害児50例の単音節聴取能について, 小学校就学期と学童期の発達変容について検討し, 以下の結果を得た。

     1) 小児 CI 装用例における学童期の単音節聴取能は平均84%と良好な結果を示し, 小学校就学期に比し平均11.5ポイントと, 概ね改善を認めた。

     2) 母音部正答率は, 学童期に平均99%に達し, 多くの例で100%に達した。

     3) 音節別正答率では無声音は有声音に比し高く, 2時期に共通していた。とくに, 摩擦音と半母音は良好であり, 単独母音や他音節に比し良好であった。

     4) 同一音素を有する音節群でも正答率, および学童期の改善に多様性を認めた。

     5) 異聴先は/n/・/k/・/m/が多く, 同一構音様式内での誤りは通鼻音と破裂音に多く見られた。

     6) 学童期の改善ポイントは, 就学期の VIQ 及び単音節聴取能と有意な負の相関を示した。就学期に言語能力に課題を示す児では,学童期の聴取能の改善を注視する必要がある。

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