AUDIOLOGY JAPAN
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最新号
February
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原著
  • 五島 史行, 和佐野 浩一郎, 濱田 昌史, 大上 研二
    2025 年 68 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー

    要旨: 聴覚過敏は, その発症機序の解明, 評価法, 治療法が確立していない。聴覚過敏に対する薬物治療の有効性を検討することを目的とした。対象はX年4月からX + 1年11月までに東海大耳鼻咽喉科を聴覚過敏を主訴に受診した15例, 男性9例女性6例, 平均年齢48.9 ± 17.5歳。罹患期間は19.7 ± 20.8カ月。これらに対して聴覚過敏の苦痛度, 抑うつ・不安, 原因疾患などについて検討し, 生活指導と初期薬物治療の治療効果について検討した。苦痛度, 抑うつ・不安は質問紙 (聴覚過敏スコア。(Hyperacusis Questionnaire: 以下 HQ スコア; カットオフ値16点), HADS 日本語版) を用いて評価した。治療にはアミトリプチリン, クロナゼパム, バルプロ酸を同時に投与した。4週間後に評価を行った。HQ スコアは治療前20.5 ± 7.1点が治療後14.1 ± 5.6点と有意に低下した。不安・抑うつは有意な変化を認めなかった。薬物治療によって抑うつ・不安の有無にかかわらず, 聴覚過敏症状そのものが改善した症例もあった。

  • 植草 智子, 高橋 優宏, 久保田 江里, 櫻井 梓, 小林 憲司, 古舘 佐起子, 岡 晋一郎, 小山田 匠吾, 岩崎 聡
    2025 年 68 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー

    要旨: 人工内耳 (以下 CI) と補聴器 (以下 HA) を併用するほとんどの bimodal 装用者は, 両耳聴効果による利点がある一方で, 音源定位において両側人工内耳及び両側補聴器装用者と比較して不良であると言われている5)。音源定位は, ILD (interaural level difference: 両耳間レベル差), ITD (interaural time difference: 両耳間時間差) が重要な役割を担っており, 今回は ITD における音源定位について検討した。bimodal 装用者では, CI と HA の信号処理速度の差異によって左右の時間差が存在する。すなわち CI 側では聴神経が直接刺激され HA 側と比較して処理速度が速くなるため, 音源定位において不利になると考えられる5)。CI (MED-EL) と HA の組み合わせの場合, CI 処理速度は通常, HA 処理速度よりも3~10ミリ秒早くなることが知られており6), 現在CI処理速度を調整する Bimodal Fitting システムが, マッピングソフトに導入されている。今回, 3症例に対して Bimodal Fitting システムを用いて, CI 処理速度の調整前後に方向感検査を実施した。誤答のずれ (RMS 値) で評価し, 音源定位能力の改善の可能性が示唆された。

  • 高山 渥也, 城間 将江, 坂本 圭, 小渕 千絵, 松田 帆, 池園 哲郎
    2025 年 68 巻 1 号 p. 56-64
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー

    要旨: 高齢難聴者の環境音聴取の実態を調べる目的で, 平均年齢が70歳代の補聴器群12名, 人工内耳群11名, 健聴者群15名を対象に環境音聴取課題を実施した。その結果, 補聴器および人工内耳群は, 健聴者群に比し正答率が有意に低下することが明らかになった。また, 補聴器群と人工内耳群の正答率に差はなく, 両群の環境音聴取には共通の特徴があると考えられた。環境音聴取と音響特性との関連性については, 補聴器群と人工内耳群間に類似性を認め, 音圧変動特性では間欠音が, 振幅包絡特性では緩徐音が良好であり, 音響特性の違いが環境音の識別に影響する可能性が示唆された。

  • 石川 一葉, 松本 希, 東野 好恵, 松永 健志, 野田 哲平, 中川 尚志
    2025 年 68 巻 1 号 p. 65-74
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/03/26
    ジャーナル フリー

    要旨: 聴覚情報処理検査 (APT) の正常聴力成人の年代ごと, および検査側ごとの参考値を設定した。20-59歳の正常聴力成人53名の APT 結果から10歳ごとに分けた年代群別に 2SD 法で参考値を算出した。片耳ずつ行う検査は項目ごとの成績の優位側と劣位側で参考値を算出した。年代群によって統計的有意差があると判定された検査項目は八田-太田版 APT の両耳分離聴検査単音節検査, マルチトーカーノイズ下単音節検査のシグナル/ノイズ比+15dB, +10dB, +5dB, 小渕版 APT の両耳分離聴単音節検査, 2倍速早口音声検査の語中, 複数音声下聴取検査であった。左右別の検査成績では, ほとんどの参加者が右利きであったにも関わらず検査成績の優位側は左右ほぼ同数であった。以上より, APT には年代ごとの基準値を設定すること, 片耳ずつ行う検査の基準値は検査項目ごとの優位側劣位側で分けて設定することが妥当と考えられ, 新しい参考値を提案した。

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