Wildlife and Human Society
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Case Report
  • Emi Toda, Kazuhiro Katoh, Takeshi Furuichi
    2021 Volume 9 Pages 1-13
    Published: 2021
    Released: September 18, 2021
    JOURNAL FREE ACCESS

     国際的な自然保護・保全のシステムのひとつユネスコエコパークの持つ地域振興を担うという役割を,地域住民が適切に認識しているのかを考察した.調査対象である屋久島町は世界自然遺産地域を有し,全域がユネスコエコパークでもある国内唯一の自治体である.拡張登録承認をまたぐ期間に現地で行った聞き取り調査を言語分析にかけ,ユネスコエコパークの機能「生物多様性の保全」「学術的支援」「経済と社会の発展」がどのように認識されているのか,回答者の発言内容と発語の類似性から検討し,考察を加えた.

     分析の結果,ユネスコエコパークは,自然保護,学術・教育に関心がある人に語られ,世界自然遺産はじめ保護制度と共に語られる傾向が認められた.ユネスコエコパークが口永良部島に対する支援策とされるため,島の目指す学術交流,人的交流が語られ易かったことも考えられた.総体として,ユネスコエコパークは,回答者に地域振興や生活に結びつけて認識される傾向は弱いと考えられた.理由として,世界自然遺産の経済効果が顕著であるためにユネスコエコパークとしての活動に地域住民の関心が向かないこと,また,地区ごとの産業形態や生活文化の多様性,保護制度の影響にも相違があり,地域振興の文脈が地区により異なることが考えられた.さらに,保護制度と観光との葛藤の存在に全島的な自然環境の管理体制の欠如も影響し,住民には保護制度が理解し難いと考えられた.そこに,ユネスコエコパークの保護制度としての役割が強調され,その地域振興の役割に対する住民の認識が阻害される可能性も示唆された.

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