国際的にアドバンス・ケア・プランニング (ACP) が普及する中、わが国のがん医療の現場においてもACPの導入が進められており、AYA世代がん患者のACPにも関心が高まり始めている。
AYA世代がん患者において患者中心の医療を実現するためにインフォームド・コンセントやアドバンス・ケア・プランニングが取り組まれているが、両者の法的位置づけ、患者・医療者・家族の立場、配慮すべきことなどは異なることに注意が必要である。
アドバンス・ケア・プランニングの実践において、将来を正確に予測すること、自分の死について考えること、もしもの時に行ってほしい (ほしくない) 医療を自己決定することは必ずしも容易ではない。
そのため、意思決定能力を失った後の医療については事前の意思表示のみにとらわれるのではなく、医療者や家族が「この患者であればこの選択肢を選ぶだろう」と自信をもって患者の意思を推定することができ、そして患者が自分のことをよく分かってくれている人たちに安心して医療・ケアをゆだねられるように、以心伝心の精度を高めるプロセスが大切である。
以心伝心の精度を高めるための当院の取り組みとしては、電子カルテ上の「アドバンス・ケア・プランニング・シート」の医療者間での共有、ACPを意識したカンファレンスの開催、ACPファシリテーターの配置、患者本人が記入できる「私の治療日誌」、医療専用SNSの活用などがある。
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