目的 小児・AYA世代がん患者・経験者は治療中だけでなく、治療後も様々な課題に直面しているが、その現状は広く知られていない。本調査は、小児・AYA世代がん患者・経験者の抱える課題の認知度について、横断的調査を実施した。
方法 2016~2022年度にかけて東京都食育フェア一般来場者を対象に、大学生と小児がん患者会が連携して、レモネードスタンドとアンケート調査(無記名自記式質問紙法/Web方式)を実施した。質問内容は①「AYA世代という言葉」、②「治療後の晩期合併症の可能性」、③「希少疾患であるために治療開発が遅れていること」、④「小児がんは約7~8割が治ると言われていること」の4項目とし、認知度を評価した。
結果 認知度アンケート調査に参加同意した年齢・性別が明らかな計3,413名を対象に分析した。認知度は質問①10.8%、質問②6.6%、質問③7.1%、質問④15.0%であった。
結論 ①~④の質問項目の認知度が15%以下で、小児・AYA世代がん患者・経験者が抱える課題について十分に理解されていない現状が明らかになった。長期にわたり、安心して継続的に支援が受けられるように、小児・AYA世代がん経験者・患者会、医療・教育関係者、企業、行政機関がともに協力し、医療、心理、教育、就労、福祉などの様々な領域での支援や政策を整え、今後も社会の理解を進めるために、この現状を周知する必要がある。
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