石川県が新たに開発した「石川酒68号(百万石乃白)」の精米歩合別の試料を調製し,澱粉,胚乳貯蔵蛋白質及び遊離アミノ酸について分析するとともに,「山田錦」,「五百万石」,及び「石川門(石川酒52号)」についても同様の分析をした.各品種の玄米について比較してみると,「石川酒68号」と「山田錦」のToは「石川門」及び「五百万石」と比較して5°C低かった.また,各精米歩合の試料においても「石川酒68号」と「山田錦」のToは「石川門」と「五百万石」のToに比べ3–4°C低かった.各品種の玄米の粗蛋白質含量は6.2–7.0 g/100 gであったが,精米が進むにつれて減少し,50%精米した「石川酒68号」と「山田錦」は3.1 g/100 gであり,「石川門」及び「五百万石」は3.3 g/100 g及び3.4 g/100 gであった.各精米歩合別に品種間の胚乳貯蔵蛋白質の構成比を比較したが,いずれの品種も37–39 kDaグルテリン及び26 kDaグロブリンと22–23 kDaグルテリン(塩基性)が他の胚乳貯蔵蛋白質と比較して多く含まれていた.「石川酒68号」の玄米における遊離アミノ酸含量は他の品種の玄米と比較してAsp, Asn, Glu, Arg, Lys, His,及びTyrの含量が有意に低かった.
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