短直鎖糖質(Short Linear Maltodextrin, SLMD)は,澱粉を原料に製造される,鎖長が短く揃った直鎖状の糖質である.澱粉由来の直鎖状糖質を工業的規模で生産する方法はこれまでになかったが,枝作り酵素と枝切り酵素の組み合わせ反応で,短い直鎖状の糖質が製造できることを発見し,工場での製造に落とし込み,粉末水あめとして製品化が実現した.SLMDは重合度6–12の糖が多く含まれ,ゲル浸透クロマトグラフィーでは単一ピークとなる.SLMDの水溶液は保存中に結晶を含む凝集物を生じやすく,また濃度が高いと結晶化に伴って全体が固形化するというユニークな特徴があった.凝集物や固形物のX線回折分析のピークパターンは澱粉と類似しており,結晶化の条件によってA型やB型の結晶の作り分けが可能であった.SLMDの粉末は非晶質であるため,水に溶かし,食品の製造中に結晶化させて物性を大きく変えるという使い方が可能で,固形化の他にも白色化,保形性向上,離水防止,食感改善といった様々な効果が得られる. SLMDは結晶化の他にも澱粉との相互作用や包接といった機能があり,様々な分野に展開可能であると考えており,今後も検討を続けていく.
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