真菌細胞壁の内層は,キチンやβ-グルカンから構成されており,細胞構造を維持する役割を担っている.細胞壁の外層は,α-1,3-グルカンや細胞外マトリクス等で構成されている.我々は,真菌細胞壁構成多糖を加水分解する酵素の探索を行い,その研究の過程で,Schizophyllum commune(スエヒロタケ)細胞壁を分解する事ができるBacillus circulans KA-304を得た.本菌は,様々な多糖分解酵素を生成するが,GH87 α-1,3-グルカナーゼAgl-KAとGH19キチナーゼCHI1がスエヒロタケ細胞壁の分解に必須な酵素であることが明らかになった.これら酵素はマルチドメイン構造を有する酵素であり,多糖結合ドメインを有することが明らかになった.また,Agl-KAとCHI1の多糖結合ドメインと緑色蛍光タンパク質の融合タンパク質(AGBD-GFP,ChiBD-GFP)は,真菌細胞壁に結合することも明らかになった.これら酵素以外にもLysobacter sp. MK9-1株からGH16 β-1,3-グルカナーゼBgluC16MK,Flavobacterium sp. EK-14株からGH87 α-1,3-グルカナーゼAgl-EK14を得た.本研究では,上記細胞壁多糖分解酵素を用いた表層多糖の分解と,各種多糖結合ドメインと蛍光タンパク質の融合体による蛍光染色を組み合わせることで,細胞壁表層の多層構造を解析できることを明らかにした.
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