データ分析の理論と応用
Online ISSN : 2434-3382
Print ISSN : 2186-4195
1 巻, 1 号
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論文
  • 西里 静彦
    原稿種別: 論 文
    2011 年 1 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/03
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    分類は科学の多くの分野で見られる操作のひとつでその方法論は多岐に亘ると共に,分類の対象になるデータも,数量のないものから量的なものまで様々な形をとる.種々のクラスター解析法では通常分類変数間の距離が定義され,距離の測度が分類の対象となる.測度の性質により変数間の距離の妥当性は必ずしも保障されない.というのはデータの収集に用いる測度は必ずしも演算に耐えうるものではなく,さらにデータの情報を十分にとらえることも出来ない.その際解析前に測度の変換が必要になる.データに最も忠実な測度は,データへの回帰として求めることが出来る.ここでは,この基本的,かつ重要な測度とデータ解析の関係を考察しよう.いまさら何故そのような初歩的な話をという見解もあろうが,再考する必要が十分あるように思われる.クラスター解析に先立つデータの事前処理である.

  • 足立 浩平
    原稿種別: 論 文
    2011 年 1 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/03
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    各クラスターに分類される個体の数,つまり,クラスターのサイズを所与の定数に固定して,個体× 変数の多変量データ行列の個体をクラスタリングする方法を提案する.このサイズ固定クラスタリングでは,各クラスターの重心ベクトルと,そのクラスターに分類される個体の変数ベクトルとの平方距離が最小になるように,データ行列の行(個体)の置換が行われ,重心ベクトルと置換行列を交互に推定する交互最小二乗法のアルゴリズムが使われる.ここで,置換行列を求めるステップは最小二乗置換と呼べるもので,新たなアプローチである.シミュレーションと実データへの適用によって,アルゴリズムの挙動が確認される.なお,提案するサイズ固定クラスタリングは,サイズ固定の制約を課したK平均法と見なすこともできる.

  • —データの科学の神髄—
    吉野 諒三
    原稿種別: 論 文
    2011 年 1 巻 1 号 p. 23-39
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/03
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    世論調査の「回収率の低下」が問題となって久しく,多くの議論が展開されてきた.しかし一方で,世論調査と他の調査との適正な分類や各調査の目的に応じた課題への対処がなされていない懸念がある.この背景には,各分野で調査に従事している人々が,先人が築き上げてきた調査の歴史と理論と実践の現場を必ずしも把握できていないことをあるのではと推察させる.

    本論文では,調査方法論を根本より再考することにより,世論調査と他の調査を区別し,今日の調査研究の課題を考える上での示唆を試みる.1 節で問題提起をする.その問題の解決を念頭に,2 節で世論調査の歴史を振り返り,3 節で海外の世論調査の方法について概観する.4 節では確率論の基礎の数学的定義を確認する.これらを考慮しながら,5 節では調査に関する用語の意味を再確認し,6 節では調査の分類に応じた課題に対して提言を試みる.最後に7 節で将来の展開へコメントする.

  • 井上 寛
    原稿種別: 論 文
    2011 年 1 巻 1 号 p. 41-52
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/03
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    この論文の目的は悪質性の観点から犯罪の順序あるいはクラスを識別することと,そのための異なる方法を吟味し測定問題を論じることである.ここでは社会調査によって得られた序列法データに慣習的な集計方法を,一対比較データに多次元尺度構成法の1 つとしてのMDPREF とファジー関係の方法を適用した.最終的にはいずれによってもほぼ類似の犯罪のクラスと順序を得たが,特にあとの2 つの方法から重要な情報が与えられた.MDPREF は,犯罪の悪質性を1 次元尺度として評価できることを明らかにした.ファジー関係をα-レベル関係に変換することによって,悪質性の優越の程度によって異なるクラス分割を得ることができた.実質的には,悪質性による犯罪の順序もしくはクラスは刑法の定めるサンクションによる順序と基本的には類似しているが,一方で,重要な特徴を示している.最も悪質な犯罪は殺人であり,それに続く放火,誘拐,強姦の間は無差別である.堕胎は特に女性のほうが男性よりも悪質と評価している.強姦は性別にかかわりなく,法的サンクションによる場合よりも悪質と評価される.限られた学生データによる分析であるが,もし一般的妥当性を仮定するなら,この集合意識は司法過程に対する圧力となるだろう.

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