日本ベントス学会誌
Online ISSN : 2186-4535
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1995 巻, 49 号
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  • 関口 秀夫, 内田 径孝, 酒井 明久
    1995 年 1995 巻 49 号 p. 1-14
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    河口が隣接しているにもかかわらず,2つの河川のそれぞれの河口干潟の二枚貝類群集,とくにその主要種は著しく異なっていた.これらの河口干潟の主要種3種類(イソシジミガイ,アサリ,ホトトギスガイ)の浮遊幼生,着底稚貝r稚貝および稚貝大型個体の4年間にわたる調査結果をもとに,両河川の河口干潟の二枚貝類群集の特徴あるいは相違が幼生の着底以前に決定されているのか,あるいは着底以降に決定されているのかを調べた.両河口干潟の二枚貝類群集の相違は,大体において,幼生の着底以降の諸過程,特に大型個体(殻長1.0mm以上)に成長以降に生じていた.しかし,年によっては,幼生の着底直後(殻長0.3mm未満)に,あるいは稚貝(殻長0.3mm以上,1.0mm未満)の段階で,この相違が生ずることもあった.
  • 小林 哲, 松浦 修平
    1995 年 1995 巻 49 号 p. 15-28
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    福岡県宗像郡津屋崎町における採集・飼育結果をもとに,モクズガニEriocheir japonicusの海域における繁殖生態を明らかにした.モクズガニは雌雄とも9月初旬から7月初旬にかけて採集された.雌は全て成体であり,抱卵個体は全ての月にみられた.採集個体の甲幅組成は,生きている個体と斃死個体の間に差は認められなかった.飼育個体は雌雄とも,脱皮・成長せず8月までに全てが死亡した.死亡には11月から12月にかけてと4月から6月にかけての2回のピークが認められ,海域で斃死個体が採集された時期とほぼ一致していた.以上の結果により,9月以降海域へ回遊してきた個体のうちほとんどが,繁殖活動後脱皮・成長せず8月までに死亡することが推定された.雌には最高3回の産卵と孵化が観察され,卵塊の量は産卵回数を重ねるに従い減少する傾向が認められた.また産卵および死亡の時期が異なる2群の存在が示唆され,早期に海域に出現する個体が大型である傾向が認められた.
  • レイモンド 中村, 田中 雅生
    1995 年 1995 巻 49 号 p. 29-37
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    九州天草西岸において,潮間帯に棲息するカメノテ,Capitulum mitellaの集団内の個体を1年間にわたり追跡し,サイズと生存の有無を記録した. サイズの指標として峰板の先端と嘴板の先端の距離を測定した.成長曲線については,ロジスチック,ベルタランフィ,ゴンパーツ,指数の4つの曲線を使って適合度を検討したが,指数式が最も合いがよかった.指数式を使って検討を行ったが,成長は集団の内側の個体と外側の個体とで統計的な有意差はみられなかった.内外個体を込みにした指数式のパラメータの値a=1.2902,b=0.008843,t0=80.73であった.1年間の生存率をみると,内側と外側の個体で有意差はみられなかった.内外個体込みの生存率は0.804であった.
  • 岩崎 望
    1995 年 1995 巻 49 号 p. 39-50
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    日本栽培漁業協会百島実験地(広島県)のマダイ種苗生産池で,底棲性かいあし類ハルパクチクス類の微細分布に関する研究を1980年7,8月の昼間に行った.調査には,内径16mmのチューブを49本束ねた(7×7本)コアサンプラーを用いた.2回の調査で,それぞれ主要種7種を解析の対象とした.主要種は,集中分布をしていた.また,主要種それぞれについて各コアを平均よりも分布密度が高いコアと低いコアに分けた場合,それらはランダムに混ざりあって分布していた.主要種間には,互いに排斥しあって分布する傾向はなく,重なり合って分布する傾向が見られた.同一種内では,抱卵雌と生殖連結をしている雌雄が分布密度の高いコアに出現する傾向が見られた.これらの結果は,生殖期間中にはパッチを形成する主要因は種間競争ではなく,生殖活動であることを示唆している.
  • 1995 年 1995 巻 49 号 p. 55-64
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
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