河口が隣接しているにもかかわらず,2つの河川のそれぞれの河口干潟の二枚貝類群集,とくにその主要種は著しく異なっていた.これらの河口干潟の主要種3種類(イソシジミガイ,アサリ,ホトトギスガイ)の浮遊幼生,着底稚貝r稚貝および稚貝大型個体の4年間にわたる調査結果をもとに,両河川の河口干潟の二枚貝類群集の特徴あるいは相違が幼生の着底以前に決定されているのか,あるいは着底以降に決定されているのかを調べた.両河口干潟の二枚貝類群集の相違は,大体において,幼生の着底以降の諸過程,特に大型個体(殻長1.0mm以上)に成長以降に生じていた.しかし,年によっては,幼生の着底直後(殻長0.3mm未満)に,あるいは稚貝(殻長0.3mm以上,1.0mm未満)の段階で,この相違が生ずることもあった.
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