美味技術学会誌
Online ISSN : 2186-7232
Print ISSN : 2186-7224
15 巻, 1 号
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論説
論文
  • 柏野 泰章, 明貝 文夫, 難波 和彦, 門田 充司, 神崎 浩
    2016 年 15 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/10/15
    ジャーナル フリー
    シイタケ菌床栽培の培養工程における環境管理の最適化を目的として,温度とCO2濃度が収穫量へ与える影響を検討した。温度を20〜28℃,CO2濃度を1,700〜4,500ppmの範囲に設定して培養を行ったところ,温度は22〜24℃付近に発生数のピークがあった。一方CO2濃度は収穫量に影響を与えなかった。従来推奨されてきた温度は20℃で,CO2濃度は3,000ppm以下であったが,いずれもそれらより高い値であることが今回の結果から明らかになった。このことは,菌床を冷やすために冷房が必要な培養工程での省エネルギ化に加えて,換気回数の低減による空調の効率化により,さらなる省エネと栽培コスト低減が可能となると考えられた。
  • 堀江 祐範, 中川 智行, 杉野 紗貴子, 吉村 明浩, 奈良 一寛, 梅野 彩, 吉田 康一, 岩橋 均, 田尾 博明
    2016 年 15 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/10/15
    ジャーナル フリー
    近年,清酒の醸造を中心に地域から分離した微生物の食品産業への利用が試みられている。これら「地産微生物」は,すでにいくつかの応用例があるが,既存の微生物と比較検討した報告はなかった。本研究では地産微生物の応用を目的として,香川県内の遍路道の土壌より4株の Saccharomyces cerevisiae を分離した。この4株の野生酵母を用いて清酒の醸造を行い,きょうかい7号酵母と比較し,利用可能性を検討した。きょうかい7号酵母で仕込んだ清酒では,日本酒度が+10であったのに対し,野生酵母で仕込んだ清酒は-9.7~-19.2であった。さらに,きょうかい7号酵母に比べ,酢酸イソアミル濃度が低く,酢酸濃度が高かった。今回分離した野生酵母により醸造された清酒は,いずれも酸組成が特徴的であることから,醸造法の工夫や育種を加えることで,より嗜好性が高い清酒を造る,地域に特色のある「地産微生物」になりうる可能性を示した。
  • 張 菡, 佐野 純哉, 渡部 紀幸, 陳 介余
    2016 年 15 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2016/07/31
    公開日: 2018/10/15
    ジャーナル フリー
    貯蔵年数の異なる玄米およびその精白米の脂質含量と脂肪酸量の変化に着目し,貯蔵米の匂い発生特徴との関連性,および搗精による匂いの低減効果について検討した。ガスクロマトグラフィーにより分析した結果,長期間貯蔵に伴う玄米中の脂質含量は最大24.6%減少し,玄米表層部(赤糠層)から抽出された脂質中の不飽和脂肪酸量は最大約11.2%減少した。電子嗅覚システムの測定において,貯蔵3年以上の玄米には匂いの強さが明確に増加した成分が10個あり,歩留90%まで搗精した精白米では,それらの匂い成分の濃度は玄米の半値以下になり,搗精による長期貯蔵米の匂い成分の低減効果が確認された。
特別講演
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