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Print ISSN : 0919-2719
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Regular Article
  • 前田 元, 馬場 美鈴, 馬場 則男
    2023 年 31 巻 p. 1-17
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/30
    ジャーナル フリー
    電子顕微鏡像の画像解析において、機械学習によるセグメンテーションは非常に有効な手法となっている。しかしながら訓練データの作成には一般に長い時間と労力を必要とする。本論文で取り上げる生物超薄切片の電子顕微鏡像から細胞小器官の輪郭抽出によるセグメンテーションにおいても、画像処理手法による抽出法は様々あるものの実際には手描き入力で行っていることも多い。したがって、手描きによらず容易で正確な輪郭抽出法が望まれている。また、このような手法はそれだけで即座の小規模な画像解析データを提供することに役立つ。我々は、これを目指した、独自のガボールウェーブレットによる輪郭抽出法を考案した。従来のガボールウェーブレットの実用式に深刻な欠点を発見し、これを完全に排除した直流成分ゼロのガボールウェーブレットによる、リッジライン、ステップエッジ、パターン境界の輪郭抽出法である。この手法により、電子顕微鏡による超薄切片像に現れた細胞小器官など様々な形態の輪郭が不明瞭であっても抽出が簡易な人為的操作だけで正確に行えることが分かった。これらについてはシミュレーションによって検証した。本論文では、酵母の液胞の陥入によって生じた複雑な糸巻き状の形態を示す液胞膜の輪郭抽出などに応用し、本手法の有用性を示した。
Review
  • 小俣 大樹, 宗像 理紗, 丸山 一雄, 鈴木 亮
    2023 年 31 巻 p. 19-25
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/31
    ジャーナル フリー
    治療(Therapeutics)と診断(Diagnostics)を一体的に行うセラノスティクス(Theranostics)は理想的な医療を提供しうる技術として注目されている。診断を適切に行うために、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography, CT)、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging, MRI)、 陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography, PET)、術中蛍光診断(Intraoperative Fluorescence Imaging)や超音波造影(Ultrasound Imaging)は、臨床において欠かせないイメージング技術となっている。なかでも、超音波は安全性が高く長年にわたり診断に用いられてきた。また、脳中枢神経系疾患の一つである本態性振戦の治療に強力集束超音波が利用され、超音波の治療への応用が進められている。そのため、超音波はセラノスティクス構築のための有望な外部エネルギーとして期待されている。近年では、超音波造影剤(マイクロバブル:気体を脂質などで覆い安定化した微小気泡)を組み合わせた血流イメージングなどを用いて、より精度の高い超音波診断が行われている(図1A)。さらに、超音波とマイクロバブルを用いた薬物送達や焼灼治療などへの応用が期待され、活発に研究が進められている(図1B)。そこで本稿では、我々が進めてきた超音波セラノスティクスの実現に向けたマイクロバブルの開発と薬物送達法の構築に関する研究について紹介する。
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