バイオメカニズム
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24 巻
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  • 大田 哲生
    2018 年 24 巻 p. i-ii
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー
  • 鎌田 恭輔
    2018 年 24 巻 p. 1-4
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    われわれは課題により増加した高周波律動 (HGA) を認める電極をリアルタイムに検出・表示する脳機能マッピング方法を開発した. さらに本方法を脳腫瘍手術時の覚醒下手術に応用し, 脳皮質電気刺激 (ECS) を行わない言語機能局在法を報告した. ECSの結果と比較したところHGAマッピングは, 感度・特異度はともに85%程度であった (passive mapping). さらに同手術中に音声刺激story listening課題により誘発されたHGAにより側頭葉言語野を同定, 同部位を1Hz頻度の電気刺激をすることで, 機能的に結合している前頭葉言語野から皮質-皮質誘発電位 (CCEP) を検出し, 非侵襲的かつ安定した機能局在に成功した (super-passive mapping). また, てんかん患者において留置した硬膜下電極を用いてHGAマッピングを行い, 運動機能の偏位を電気生理学的に証明した. さらに, 4例のてんかん症例では側頭葉底部機能にも着目し, 視覚刺激認知機能局在を行った. 文字, 顔, 無刺激 (黒スクリーン) に関連したHGAマッピングのパターンの違いを明らかにした. Common Spatial Pattern (CSP)+Linear Discrimination Analysis (LDA) の組み合わせにより全例で上記3視覚刺激に対する脳機能パターンをほぼ100%の確率で読み出した.

1部 身体計測・評価
  • 市川 将, 武市 一成, 田川 武弘, 品山 亮太, 西脇 剛史
    2018 年 24 巻 p. 7-16
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    高齢者の歩行能力を基本属性による基準だけでなく, 観察者の主観評価も踏まえて評価する事は, 被評価者の歩行に対する意識を向上させ, 歩行能力改善への動機付けに効果的であると考えられる. 本研究は, 高齢者の歩行能力評価に有益な知見を得る事を目的に, 歩行姿勢に基づく見た目年齢評価式を開発し, その有用性について考察した. 観察者20名に幅広い年代の男女103名の歩行映像を観賞させ, その歩行姿勢に対して主観評価を実施した. その結果, 若く見える歩行姿勢の特徴は, 速く歩く, 背筋が伸びる, 腰が良く回転する, つま先が前を向く, 膝の向きの左右差を小さくする, 頭の前後や左右への揺れを小さくする, の7項目であった. 若年層歩行の特徴に加え, 女性歩行の特徴が若く見せる要因にもなる事が示唆された.

  • 畑田 宏貴, 林 豊彦, 田中 洋, 乾 浩明, 信原 克哉
    2018 年 24 巻 p. 17-26
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    肩関節の運動解析は, 上肢の動作解析には欠かせないが, 複合関節であるため精密な解析は困難である. 特に肩甲骨の運動は, 胸郭上を滑走するため, 体表面上の骨特徴点を用いた測定が困難である. その問題を解決するために, モーションキャプチャ・システムで測定した複数の体表面マーカの3次元位置から, ニューラルネットワークで肩甲骨の姿勢を推定する方法を開発した. 訓練データには, CT画像から再構築した3次元骨モデルと透視X線画像から推定した肩甲骨の姿勢および体表面マーカの位置の同時測定データを用いる. 5名の健常者を用いた精度検証実験から, 上腕側方挙上時の肩甲骨姿勢を3.0deg未満の平均RMS誤差で推定できることを明らにした.

  • 小野 誠司, 板谷 厚, 速水 達也, 大山 卞 圭悟, 木塚 朝博
    2018 年 24 巻 p. 27-36
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    多くのスポーツにおいて, 短時間に大きい力を発揮する能力はパフォーマンス向上のための重要な一要素となる. すばやい力発揮の能力を評価するために, これまでは力の増加率 (Rate of force development : RFD) が一般的な指標とされてきた. しかし先行研究において, RFDを算出する際にその算出区間や力レベルが統一されていないことに加え, 競技者においてはその値が天井効果を示すなどの問題もある. 一方, すばやい力発揮の特徴において, 力発揮時間を一定の値に維持しながら力の増加率をコントロールすることにより力発揮レベルを変えていることが見出されており, この発揮戦略はpulse height control (PHC) と呼ばれている. このPHCによって発揮される力レベルには限界があり, 個々によって異なる限界点を示すことが報告されている. そこで本研究は, PHC限界点を用いたすばやい力発揮特性の評価を試み, 競技者におけるすばやい力発揮特性の評価基準を再検討した. その結果, PHC限界点を考慮したRFDには競技種目間で有意な違いが認められ, すばやい力発揮の能力を評価するうえで, PHC限界点の算出が有効な手法となることが示唆された.

  • 金 承革, 田中 克己, 竹島 治生, 土持 宏之, 柴田 昌和
    2018 年 24 巻 p. 37-45
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    Lombardが提起した二関節筋の働きを確かめる目的で, 大腿二頭筋長頭と腓腹筋のレバーアーム長を1体の遺体を対象にして調査した. 大腿二頭筋長頭のレバーアーム長は, 股・膝関節での角度が変化しても, 常に股側で膝側よりも大きく, 股関節屈曲角度が増大するにつれて増大した. 腓腹筋のレバーアーム長は, 膝・足関節角度が変化しても, 常に足側で膝側よりも大きく, 足底屈角度が増大するにつれて増大した. 遺体の下肢骨形状を抽出し, 縮尺版の木製脚伸展模型を作製し, 大腿二頭筋長頭および腓腹筋を模したゴムを装着し, 脚伸展が生じるか否かを確かめた. 大腿二頭筋長頭のゴム, 腓腹筋のゴムのいずれも, 脚伸展を生じた. 腓腹筋のゴムの方で膝伸展角速度が大きかった. 大腿二頭筋長頭と腓腹筋は, 足が固定される立位では, 脚伸展に作用することが示唆された. 腓腹筋の膝伸展作用は, 木製脚伸展モデルの膝関節角速度のデータから, 強力であろうと推測される.

2部 生理学・運動学
  • 柴田 恵理子, 金子 文成, 奥山 航平
    2018 年 24 巻 p. 49-57
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    我々はこれまで, 視覚誘導性自己運動錯覚 (KiNvis) について, 生理学的評価手法を用いた基礎研究および脳卒中片麻痺症例を対象とした臨床研究を継続してきた. 本稿では, KiNvisが誘導されているか否かを検出するためのバイオマーカーを探ることを目的とし, 頭皮上脳波を用いてKiNvis中の神経活動を調べた一連の研究を解説した. 結果として, 頭頂間溝周辺におけるα周波数帯域の事象関連脱同期 (ERD) を指標とした場合, KiNvis中のみERDが生じ, 単に身体運動の動画を観察した場合との違いを検出することができた. この知見は, KiNvisをBrain-Machine Interfaceに応用する際のトリガーとなる神経活動として, 頭頂間溝周辺で生じるα周波数帯域のERDが利用できる可能性を示唆するものである.

  • 高橋 良輔, 金子 文成, 柴田 恵理子, 松田 直樹
    2018 年 24 巻 p. 59-67
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, 肩関節外旋運動反復トレーニングが肩関節外転運動中の棘下筋を支配する皮質脊髄路興奮性を増大させるのか明らかにすることである. 外旋反復運動をトレーニング課題として, その前後に外転運動中の皮質脊髄路興奮性を経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位で評価した. 外旋反復運動は15分毎に100回を3セット実施した. 運動誘発電位は外旋運動反復トレーニング前に2回, 各トレーニング直後, そして3回目のトレーニング直後から30分後と60分後に測定した. 棘下筋の運動誘発電位振幅は3回目のトレーニング直後から60分後まで有意に増大した. 本研究結果から, 肩関節外旋運動反復トレーニングによって, トレーニングと異なる運動である肩関節外転運動中に棘下筋を支配する皮質脊髄路興奮性が持続的に増大することが示された.

  • 板谷 厚, 木塚 朝博
    2018 年 24 巻 p. 69-78
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究は, 下肢体性感覚入力に対する重みづけの個人差と, 不安定板上でのバランス制御にかかわる動きの関係を検討した. 被験者の下肢体性感覚入力に対する重みづけは, フォームパッド外乱への感受性によって見積もった. 被験者は支持面の幅が15mmの不安定板上で可能な限り立位を保持した. 動作分析の結果, 不安定板が前後に傾斜動揺する場合 (Pitch課題) と左右に傾斜動揺する場合 (Roll課題) の両方で, 下肢体性感覚入力に対する重みづけが高いほど, 不安定板上での下半身と上体の動きはより緊密になることが明らかになった.

  • 森 仁, 八島 建樹, 小助川 博之, 出江 紳一, 高木 敏行
    2018 年 24 巻 p. 79-88
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    現在, 多くの脳血管障害患者や高齢者が, 嚥下障害により食物の経口摂取に困難を抱えている. 著者らは, 末梢神経磁気刺激により舌骨上筋群を反復的に収縮させることが, 嚥下機能の回復につながると考えている. 現在, 市販されている磁気刺激コイルは, 刺激範囲が広範なため, 舌骨上筋群刺激時に下歯槽神経などの不要な部位まで刺激してしまう問題がある. そこで, 著者らは, 磁性体コアを用いた構造を採用することにより, 磁気刺激時に局所的な渦電流分布が得られる狭い範囲の刺激に最適化したコイルの設計・試作を行った. また, 試作されたコイルを用いた磁気刺激により, 下歯槽神経を刺激することなく大きな舌骨上筋群の収縮が得られることを確認した.

3部 義肢・装具
  • 東原 孝典, 大島 徹, 大西 謙吾, 小柳 健一, 斎藤 之男
    2018 年 24 巻 p. 91-101
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    事故や疾病による両肩離断の者には, 動力義手の必要性が高い. 近年, 両肩離断の者に対して, 多自由度の電動義手を使用する試みがなされるようになってきた. しかし, これまでに実用化が進められつつある多自由度の電動義手は, 機構と自由度とその制御の相反する課題を根本的に解決していない. そこで, 腕部は体幹の残存機能を生かすことで5自由度とした装着型と, 2自由度の外部ターミナルを用いることでデスクトップ非装着型として使用できる油圧-電動ハイブリット型動力義手を提案し, その開発を進めている. この動力義手は, 電気制御の制御性と油圧の高出力性を両立する油圧バイラテラルサーボアクチュエータを使用し, 歯車減速機構を使用しない高剛性な関節機構であること, 上腕部は, シリンダ型のアクチュエータによりシリンダが上腕骨の構造体として機能すること, 二関節筋型により肩・肘の同時駆動, 独立駆動が可能であること, 前腕部は, ロータリ型のアクチュエータにより3自由度の高剛性な機構を満たすことにより, これまでのデザインコンセプトを大きく変えるものである. また, ハンドは各指が電動モータで駆動され精密な動きが可能であり, 手掌部はアーチ構造で対象物の形状に倣う受動的剛性調整機能を有する5自由度の電動ハンドである.

  • 樋口 凱, 昆 恵介, 早川 康之, 野坂 利也
    2018 年 24 巻 p. 103-113
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究は, 義足足部の足関節底背屈機能が定常歩行に与える影響を, 力学的エネルギー変換率の観点から検証することを目的とした. 健常者に単軸足部を底背屈機能変更可能にした模擬下腿義足を装着させ, 三次元動作解析システムを用いて歩行分析を実施した. 計測によって得られた身体合成重心の三次元座標情報から, 歩行の力学的エネルギー変換率を算出した. 立脚相を前後半にわけて足関節機能の各条件を比較した結果, 立脚相前半は足関節背屈方向可動性の影響が大きく, 背屈制限するほど歩行効率が向上した. 後半では底背屈両方の影響を受けるが, 足関節固定が最も良い結果となった. また, SACH足とエネルギー蓄積型足部を含めて比較すると, SACH足が正常歩行に最も近い結果となった. 義足歩行かつ定常歩行の場合, 足関節背屈機能を廃した方が良いことが示唆された.

  • 藤野 良太, 菊地 喬之, 小金澤 鋼一
    2018 年 24 巻 p. 115-123
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    近年, 国内や欧米では下肢切断者が年々増加しており, それに伴い義足の需要が増加している. 著者らがこれまでに開発した大腿義足実験機は広い足関節可動域を有しており, 加えて足関節の背屈と膝関節の伸展を連動させることで, 機械要素のみで交互歩行での階段昇段を可能としている. しかし課題として, 階段昇段開始時に手動での絞り弁操作が必要であり, さらに健常者の歩行にみられるダブルニーアクションなどの歩容の再現が不充分であることが挙げられた. そこで, 機構各部の改良に加え, 自動絞り弁機構を新たに開発し, 検証実験として平地・階段昇段・階段降段での足・膝関節角度測定をおこなった. その結果, 平地歩行では健常者と同等のダブルニーアクションが確認され, 階段昇段では安定した歩行が確認された. しかし, 階段降段では膝関節屈曲が不充分で不安定な歩行になることが確認された.

  • 昆 恵介, 春名 弘一, 小林 俊樹, 清水 新悟, 佐藤 健斗
    2018 年 24 巻 p. 125-136
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究は背屈可動域制限のある短下肢装具利用者に対し, 内補高を装具内に挿入することでロッカー機能が改善するかどうか身体合成重心の力学的エネルギー変換効率の観点から調査することを目的とした. 対象者は, ブルンストロームステージⅣの脳卒中片麻痺者14名とした. 実験プロトコルとして内補高介入期間を1ヶ月としたシングルシステムデザインABAとし, 計測には三次元動作解析を行った. 結果として内補高介入によってエネルギー変換効率, 歩行速度が上昇することを明らかにした. また外的妥当性評価としてシングルケーススタディを実施し, 内補高装具がロッカー機能を改善することを明らかにした. 本研究は前半部分の脳卒中片麻痺者を対象とした内補高の実験的研究と, 既発表である後半部分のALS症例のケーススタディをまとめ, 考察を加えた総合論文である.

4部 歩行・走行・スポーツ
  • 小林 吉之, 保原 浩明, 中嶋 香奈子, 橋詰 賢, 持丸 正明
    2018 年 24 巻 p. 139-148
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    近年, 主成分分析を用いて時系列データ全体を包括的に比較評価する手法が, 歩行に関するバイオメカニクス研究でも広まりつつある. しかし, 各被験者から複数試行計測したすべてのデータを主成分分析にかけた先行研究では, 歩行特徴について個人差の要素と再現性の要素とを適切に分析できていないことが指摘できる. そこで本研究では, この課題を解決する分析手法を提案し, 先行研究で実施した転倒経験者と非経験者の歩行特徴の比較研究を題材として提案手法の妥当性を検証することを目的とした. 本研究の結果, ①従来手法と提案手法の分析結果はおおむね一致すること, 及び②提案手法は従来手法に比べてPCAの結果が極めて安定することの2点が確認された.

  • 中村 祐貴子, 魏 綾那, 安達 和彦, 野田 光昭
    2018 年 24 巻 p. 149-157
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    高齢女性被験者CT画像から, 寛骨・軟骨・大腿骨近位部・インプラントから成る左股関節に対する骨接合術後の有限要素モデルを新たに作成した. 筋骨格モデルで推定した歩行時の股関節反力および関節回りの筋力 (中殿筋, 大殿筋, 内転筋, 大腿筋膜張筋) の時刻歴波形を動荷重条件とし, 歩行時の大腿骨近位部の屈曲・伸展運動を変位境界条件とした. これら条件下で被験者固有モデルの応力を解析し, 歩行動作下での大腿骨近位部の時々刻々の応力の変化を可視化した. 本解析は, 術後再骨折リスク評価に有用となる.

  • 仲谷 政剛, 大窪 伸太郎, 野々川 舞
    2018 年 24 巻 p. 159-167
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, 簡便に足部剛性を定量化する手法を提案すると共に, 走動作中の着地衝撃との関係を検討することである. 被験者は成人男性13名とし, 座位および立位における舟状骨高および鉛直方向地面反力を測定した. 両姿勢における荷重変化を舟状骨高変化率にて除した値を足部剛性とし, 体重の38.575% (足部および下腿部質量, ならびに大腿部質量および質量中心位置より算出) を舟状骨変化率で除した値を簡易足部剛性として, それぞれ算出した. その結果, 足部剛性と簡易足部剛性は良く一致することが確認できたと共に, 簡易足部剛性と着地衝撃との間に正の相関関係が確認できた (r=0.889, p<0.01). 本結果から, 足部の形状変化から得られる足部剛性の評価により, 走動作中の着地衝撃の大きさを予測可能であることが示された.

  • 木村 健作, 藤井 範久
    2018 年 24 巻 p. 169-179
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究は, 長距離走による足部内側縦アーチの形状の変化と, アーチ部の変形に寄与する走行フォームの要因および足圧中心点との関連性を明らかにすることを目的とした. 被験者は10km完走経験のある男性7名とした. 試技は, 加工した靴を用いて反射マーカーを足部へ直接貼付した状態でトレッドミル上にて10km走行し, その前後の走動作を地面反力計と3次元動作分析装置で計測した. 結果として0km地点と10km地点の比較では, アーチ高率の最小値 (以下, 最小アーチ高率) が増大した被験者, 減少した被験者, 変化が極めて小さい被験者がみられた. 典型例3名の最小アーチ高率の増減に寄与する要因について, 接地時と最小アーチ高率になる時点の走行フォームに着目し, 身体重心位置と各セグメント重心間の距離, 体幹と下肢の身体セグメント角度の項目に対し主成分分析を行った. 結果として, 最小アーチ高率になる時点の左前足部の左傾角度, 下腿の左傾角度, 支持期中の身体重心位置に対する足部重心位置の3項目が, 身体セグメントを側方に倒すまたは移動させる要素であり, 最小アーチ高率の増減に寄与していると考えられた.

  • 田中 伸吾, 呂 隆徳, 春名 弘一, 小原 和宏, 大田 哲生
    2018 年 24 巻 p. 181-189
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/01
    ジャーナル フリー

    車いすフェンシングの攻撃動作における手すりの有無・高さの違いが身体の最大移動距離, 速さ, 加速度, 最高の速さに到達するまでの時間に及ぼす影響を検証することを目的とした. 健常者のフェンシングを行っている健常学生5名を対象とした. 2種類の手すりの高さと手すりなしの3条件における攻撃動作を実施. 3次元動作解析装置にて動作を撮影し, 上記項目について解析した. 攻撃時の最大移動距離に有意差はなかった. 速さ・加速度は手すりがある方が有意に速く, 最高の速さに達するまでの時間は有意に短かった. 手すりの高さに関してはすべての項目において有意差はみられなかった. 手すりの使用は最高の速さを上げ, 最高の速さに達するまでの時間を短くすることができた. 攻撃や守備で素早い動きや切り返しが必要な車いすフェンシングにおいて手すりの使用は重要であることが示唆された.

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