バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集
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社会科学研究会バイオフィリア リハビリテーション学会研究部会
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編集記事 バイオフィリアリハビリテーション学会研究部会社会科学研究会
バイオフィリアリハビリテーション学会研究部会社会科学研究会ご挨拶
  • 牛澤 賢二
    p. 655-656
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

    社会科学、リハビリテーション研究になぜ社会科学がかかわるのか、疑問に思う人が多いでしょう。私もその一人でした。

    私が最初にかかわったのは、当時産能大学といった私の所属大学の松岡幸次郎教授からアンケート分析を頼まれたのがきっかけでした。その後滝沢さんと交流するうちに、医学面の治療効果評価の統計的検定を実施しました。既実施の統計的検定に不備があり、私が再検定して、その効果を明らかにしたのです。

    リハ医学は、これまで「障害の受容」という諦めさせることに重要な視点がありました。実施した統計検定を通じて、この点を改善させられる可能性が開けたのです。

    このことから、経営学視点で、虚弱高齢者の社会生活を守ることができれば今後の高齢者増に社会が対応できるのではないかと、平成14-15年度で「高齢者及び軽度痴呆高齢者の消費者教育の実際と将来像調査研究」を実施しました。

    今日ではこうした科学研究は文部省関連のWEBサイトから研究内容が明らかになりますが、当時はこうしたことがおこなわれていませんでした。月日を経ても、我々の研究結果は社会にまだ反映されていることはなく、内容は陳腐化していません。

    今回、バイオフィリアリハビリテーション学会と横浜国立大学のご協力で、我々の研究結果が予稿集という形で世に問われることになりました。

    またリハビリテーション医学のパラダイムシフトを目的としていることから、リハビリテーション医学分野の研究費はこれまで、一度も取ったことがないと聞いています。

    私は2012年定年で産業能率大学教授を辞しましたが、今回の研究会を良い機会として、新たな社会科学分野の関係者の参画を得られるよう願っています。

    それぞれ担当者から行う報告内容は次に示すとおりです。

    1. 平成17-18年度 文部科学省科学研究費補助金(萌芽)(新潟医療福祉大学牧田光代教授):介護保険出来高報酬制度の可否と変更する場合の諸要件の研究(17651094)

    2. 平成14-15年度 文部科学省科学研究費基盤(C)(産能大学牛澤賢二教授):高齢者及び軽度痴呆高齢者の消費者教育の実際と将来像調査研究

    3. 平成13-14年度 文部科学省科学研究費基盤(C) (産能大学松岡幸次郎教授):寝たきり高齢者削減に向けたリハビリテーション手法普及に関する研究

    4. 平成13年度 中小企業総合事業団課題対応新技術研究FS調査:創動運動用上肢訓練器兼用リフト機器開発に関する研究調査(滝沢茂男バイオフィリア研究所教授)

    リハビリテーション研究の発展のためには、社会科学的視点も欠かすことができません。これまでの研究成果を踏まえて、一層の社会貢献が図られるためにも、皆様のご協力が必要です。本研究会へのご参加をお待ちしております。

平成13-14年度文部科学省科学研究基盤(C)寝たきり高齢者削減に向けたリハビリテーション手法普及に関する研究概要
  • 平成13-14年度文部科学省科学研究
    松岡 幸次郎, 家本 晃, 滝沢 茂男, 牛澤 賢二
    p. 657-660
    発行日: 2013年
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

    1993年福祉中心に転換した場合の社会保障給付費の厚生省による2025年における推計額は375兆円程度としていた。1997年に行われた同推計では274兆円程度とされた。2000年では同じく207兆円としている。介護を必要とする高齢者は同年において、520万人であり内寝たきり老人は230万人とした推計は一貫して変更なく維持されている。社会保障給付費はGDPの伸びの変化、年金医療制度の改定等に伴って改訂されているが、要介護者数は医療・福祉の手法進歩に従った改訂がなされていない。リハビリテーション(リハ)医学において、新たな手法、新たな器具の提供により、寝たきり老人の内30%が歩行を獲得し、さらにその内に日常生活が自立している患者もいる。今後このリハの普及が前述の要介護老人数削減に大きな効果を上げる可能性がある。現在前述の障害を持つ高齢者の生活自立に資するリハの研究が医学的、工学的な視点から進められている。このリハ手法普及に資するマーケティングの研究により、国民生活向上、国家財政確立に資する目的で本研究を行う。二年間の研究を実施し、当該リハ手法の普及を促進し得るものにするべく努力した。バイオフィリアリハビリテーション学会、神奈川県中小企業センター異業種交流グループ「自立社会構築のための機器普及プロジェクト」・高齢市民が活躍するための社会技術研究会の2NPOが本研究から派生したことを特記したい。

寝たきり高齢者削減に向けたリハビリテーション手法普及に関する研究報告
  • 寝たきり高齢者削減に向けたリハビリテーション手法普及に関する研究
    松岡 幸次郎
    p. 661-662
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

     リハビリテーション医学において、新たな手法、新たな器具の提供により、寝たきり老人の内30%が歩行を獲得し、さらにその内に日常生活が自立している者もいる。

     このリハビリテーション手法普及に資するマーケティングの研究により、要介護老人数を削減し、国民生活向上、国家財政確立に資する目的で研究を行った。当該リハビリテーション手法の普及を促進するため、二年間の研究を実施した結果を報告する。

     介護から自立に向けた社会構築の必要性は認識されているはずが、現状では社会的な認識が乏しく、リハビリそのものに対しても必ずしも自立支援型とはいえない状況にあるとみられる。その中にあって、本研究の対象とした自立支援型リハビリ手法「タキザワプログラムによる創動運動 Takizawa Program for Rehabilitation」は、寝たきり高齢者の30%を歩行可能にした実績にかかわらず、普及が遅々としている。

     ソーシャル・マーケティングからのアプローチは社会的問題解決をめざす立場にあるが、その成果であるイノベーションの普及研究をこのリハビリ手法の普及に応用して、本研究を進めた。

  • 平成13年・14年度文部科学省科学研究研究課題番号:13680538
    松岡 幸次郎, 滝沢 茂男
    p. 663-688
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

    研究責任者

    産能大学経営学部教授

    松岡幸次郎

    連絡先

    研究分担者

    バイオフィリア研究所研究員 滝沢茂男 発行2003年3月

平成13年度中小企業総合事業団課題対応新技術研究調査事業研究調査 創動運動用上肢訓練器兼用リフト機器開発に関する研究調査
  • 滝沢 茂男
    p. 689-
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

    事業化に向けた市場調査に関して、現状と法整備の関連について、調査した。

    「4.リフトを利用していますか」に対する利用していないは「76.3%」に上る。「3.将来在宅で利用すると考えますか」に対する利用しない「否定回答」は「10.8%」に減少する。そして「どちらともいえない」が「77%」に増加する。「2.上肢訓練機を利用していますか」に対する利用していないは「83.1%」に上る。「1.将来在宅で利用すると考えますか」に対する利用していない「否定回答」は「14.7%」に減少する。そして「どちらともいえない」が「80.6%」に増加する。

    労働基準法において、女性労働に際し、重さに関する基準(危険有害業務への就業制限等)がある。例えば満18歳以上の女性で、継続作業の場合20Kg以上の重さの作業が禁じられている。

    これに関し除外規定がある。医師、看護婦の業務・家庭内家族労働が除外されている。すでに諸外国は法規制がなされており、我が国でも同様に将来は巨大な市場となる。 リフトの利用により、イギリスでは、腰痛が減少し、医療費の削減につながったとの研究報告の通り、今後の研究による商品化は、社会福祉の向上に大きく貢献する。

創動運動用上肢訓練器兼用リフト機器開発に関する研究調査報告
  •  アンケート調査結果(復刻)
    滝沢 茂男
    p. 690-713
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

    調査にあたり、東京都、大阪府、愛知県及び京都府に所在する指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、訪問看護ステーション及び指定介護療養型医療施設(寝たきり老人病院)の2000施設にアンケート用紙を2001年10月1日より15日までに送付した。回収総数は120通、回収率は6%であった。記名回答66通にはこれまでの研究報告書を送付した。

    また、10月25、26日に、沖縄県宜野湾市で行われたリハビリテーション・ケア研究大会においてアンケート用紙を配布し、31件の回答を得た。記名回答22通にはこれまでの研究報告書を送付した。学生や空欄の多い5通を除外し、26通を有効とした。

    各々別々に集計し、対比しながら分析を試みた。

    このアンケート調査は、事前の聞き取りから、今回のアンケート調査目的である、「リフトと上肢訓練機」の利用は著しく少ない事を前提とし、将来において、新規の「創動運動用上肢訓練器兼用リフト機器」がどのように期待されるかを研究調査目的とした。

    そのために、アンケート表は以下の様に構成した。調査票の内容に従った結果は5頁から19頁にまとめた。

平成14-15年度文部科学省科学研究基盤(C)高齢者及び軽度痴呆高齢者の消費者教育の実際と将来像調査研究
  • 牛澤 賢二, 滝沢 茂男, 長澤 弘, 青木 信夫
    p. 714-716
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

    米国勢調査局,国連人口局は今後半世紀のうちに,世界の60歳以上の高齢者人口は,3倍以上にふくれ上がる,現在の約6億600万人が20億人近くにまで増加する,と予測している.我々は持続可能な高齢社会の構築のためには,高齢者による適切な消費が欠かせないと思慮してる.我々の持つこの問題意識の重要性は認められ、平成14-15年度科学研究費「高齢者及び軽度痴呆高齢者の消費者教育の実際と将来像調査研究」(前研究)の実施にいたった.高齢者の消費が増加することはよい影響を社会経済に与えると共に,生活にも好影響を与える.この研究では、高齢者や軽症痴呆高齢者にどのような消費者教育が行われているか,また必要なのかを調査した.

    医療面では、軽症痴呆患者への治療側面を持ったトレーニングも見られるようになったが、高齢者の消費に関する事故についての相談は近年増加しているにもかかわらず、満足な教育は行われておらず、その手法も見当たらないことがわかった.

    前研究に於いて,これまでなら骨折から寝たきりになっていた高齢者が,タキザワプログラムと創動運動により,日常生活動作を維持し,自立生活可能になった事実を明らかにした.このリハビリテーション手法により30%近い寝たきり老人歩行再獲得の事実を,研究に基づき,これまで多方面で報告している.我々は自立が可能になり,自宅復帰ができるようになってから,患者が引き続き自立を維持するためには,リハ医学をはじめとして看護学・福祉介護関係学・運動学等の融合が必要として,バイオフィリアリハビリテーション学会を設けた.

    また、我々はこの研究を契機に、今後どのような教育システムが必要なのか、また先進諸国ではどのような実態であるのかを含め、研究を続けていきたいと考えている.

高齢者及び軽度痴呆高齢者の消費者教育の実際と将来像調査研究報告
  • 平成14 年度、15 年度 文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(C)課 題 番 号:14580493
    牛沢 賢二, 滝沢 茂男
    p. 717-768
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

    現在日本は、高齢化が急速な勢いで進んでおり、それとともに要介護の高齢者数も増加の一途を辿っています.少子化も原因して、将来的な社会福祉関連の財政は破綻寸前であるとも危惧されています.

    私たちはそのような社会情勢をただ看過するのではなく、実情を正しく見極め、適切な対策を講じるための基礎的な研究の必要性を思い、自立型社会の構築を目指していくつかの研究に取り組んでいます.

    プログラム化したリハビリテーションの実施により高齢障害者の自立生活を可能にするため、そのリハビリテーションの効果に関し、歩行自立、生活自立の実際を明かにする研究や、その機序解明、また一層の機器開発を実施してきました.

    その一環として、高齢障害者が自ら消費できることでの自立生活を可能にするため、高齢者や回復の可能性のある軽度痴呆高齢者に対する消費者問題や消費者教育に関する研究に取り組んでいます.

    日本の労働人口は年間65万人減り、日本経済は今後50年間縮小し、世界経済に占める生産高の割合は現在の3分の1に落ち込むとの予測もあります.

    我々は持続可能な高齢社会の構築のためには,高齢者による適切な消費が欠かせないと思慮しています.

    我々の持つこの問題意識の重要性は認められ、平 成14年 度~平 成15年 度科学研究費「高齢者及び軽度痴呆高齢者の消費者教育の実際と将来像調査研究」の実施にいたりました.

    高齢者の消費が増加することはよい影響を社会経済に与えると共に,生活にも好影響を与えます.

    この研究では、高齢者や軽症痴呆高齢者にどのような消費者教育が行われているか,また必要なのかを調査しました.

    医療面では、軽症痴呆患者への治療側面を持ったトレーニングも見られるようになりましたが、高齢者の消費に関する事故についての相談は近年増加しているにもかかわらず、満足な教育は行われておらず、その手法も見当たらないことがわかりました.

    我々の研究の内容を報告し、もって社会経済の発展に資することができることは研究代表者として快欽とするところです.

    また、我々はこの研究を契機に、今後どのような教育システムが必要なのか、また先進諸国ではどのような実態であるのかを含め、研究を続けていきたいと考えています.

平成17-18年文部科学省科学研究(萌芽研究)介護保険出来高報酬制度の可否と変更する場合の諸要件の研究
  • 牧田 光代, 滝沢 茂男
    p. 769-770
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2017/07/21
    会議録・要旨集 フリー

    介護保険制度の持続については様々な面から危惧の念がでております。それは主として財政的な問題でもありますが、従来、要介護高齢者は社会的弱者として扱われることが多く、そのために「してあげる介護」が底流をなしていることもその原因と思われることです。社会からは要介護高齢者は良くならないとして考えられているように見受けられたり、また介護者側にも要介護高齢者の側にも、機能改善を望んでいないような面もみられます。

    そこで今回、制度本来の理念や目標に照らし、要介護高齢者の機能改善を果たした場合に成功報酬を出すことを要介護高齢者の周囲の職種はどう考えているかを調査することにしました。それにより介護報酬を成功報酬の出来高制に移行することの可否とそれに移行する場合の要件を考えるためです。

     私たちの基本的な姿勢は要介護高齢者といえども機能改善の見込みはあり、改善に対して努力することは高齢者自身の尊厳を守り、その人らしい自立した質の高い生活を送ることができるというものです。さらに機能改善に向かうことにより介護保険制度の維持存続にも寄与できると考えています。

介護保険出来高報酬制度の可否と変更する場合の諸要件の研究報告
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