バイオフィリア リハビリテーション学会研究大会予稿集
Online ISSN : 1884-8699
ISSN-L : 1884-8672
第20回バイオフィリア リハビリテーション学会
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
大会長挨拶
  • 塚田 邦夫
    p. 1-
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/07/23
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    第 20 回バイオフィリア リハビリテーション学会大会長を仰せつかりました、医療法人社団研医会 高岡駅南クリニック院長の塚田邦夫です。

    障害を持つ方のリハビリテーションは、リハビリ室での運動だけでは効果はなく、主体的に患者自身が毎日実施することで良い結果が出ます。

    バイオフィリアとは、人に愛情を持って接するという意味があるようですが、リハビリテーションにおいては、患者や家族の思いを知り生きる目的や喜びを共有しながら行うことが求められています。

    そして、リハビリテーションの成果も、単に可動域が広がったとか筋力がアップしたという点だけで評価するのではなく、どれだけ生活が改善されたのかで問われるようになってきました。

    本大会では、高齢者や障害を持つ方に幸せを感じて貰えるリハビリテーションとはどのようなものであろうかという点をテーマにして、創動運動(健側運動主導で行うリハビリテーション)を中心に、最新のリハビリテーション理論と実践について研究を発表し、また議論する場を目指したいと存じます。

    これまでの大会と同様に、市民公開講座も設けたいと存じます。そこでは、大会長講演として、褥創(床ずれ)治療をライフワークとし、在宅でのケアを中心に行ってきた経験をふまえ、褥創ケアに絡めて栄養やリハビリテーションのあり方をお話ししたいと思います。

    高岡市は銅器などの伝統産業を持つ古い町ですが、戦災を免れたことからおもしろい町歩きも楽しめます。

    是非高岡までお出かけ下さり、本大会へ多くの方のご参加をお待ちしております。

新理事長挨拶
  • 田中 敏幸
    p. 2-
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/07/23
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     この度、バイオフィリアリハビリテーション学会の会長をお引き受けすることになりました、慶應義塾大学の田中と申します。リハビリテーション医学は、医工連携により多くの技術を残してきました。現在も技術革新が進み、効果的な装置や器具の開発が進められています。これはリハビリテーション医学のソリューションであり、多様な装置を開発することで多くのソリューションを生み出していると考えられています。しかし、実際にこれらの技術を利用できるのは、豊かな国の富裕層に限られます。これら富裕層に対するソリューションとは別に、一般の人たちが使うことのできる安価な装置や器具を用いたリハビリテーションがあってもよいと思います。それが一つの大きなソリューションであるはずですが、そのような考え方が浸透していかないのも事実です。バイオフィリアリハビリテーション学会では、医師、理学療法士、大学教員が協力し合って、富裕層ではない一般の人が日常的に行うことのできるリハビリテーションシステムの開発を目指しています。

     これまで、バイオフィリアリハビリテーション学会は、ポーランド、イタリア、ルーマニアなど海外の多くのリハビリテーション医学界と連携していく中で、海外でも同じ考えを持った大学教員や医師がいるということがわかりました。日本だけでなく海外の多くの国でも高齢化が進んでおり、リハビリは特殊な人に対する医療ではなく、一般の人全員に必要なものだと考えられています。国民全員がリハビリを受ける社会を考えると、富裕層にない人たちが利用できるもう一つのソリューションは必要不可欠です。現在、海外のいくつかの国とは密に連絡を取り合い、普遍的なリハビリテーションシステムの構築に向けて研究を続けています。

     このような背景の中、白澤卓二前会長の下で、国際化と海外との連携が強化されました。これを受けて、私の次の仕事としては、海外との連携のもとで、私たちが提案しているリハビリテーションシステムの有効性を示し、国内外に普及させていくことだと考えています。バイオフィリアリハビリテーション学会では、毎年、国際会議International Biophilia Rehabilitation Conference(IBRC)を開催しており、IBRC2016はスイスで開催となりました。IBRC2016にはWorld Health Organization (WHO)からも基調講演をいただき、この学会が世界的に評価されていることがわかりました。多くの国で急務となっているリハビリテーションシステムの革新を、バイオフィリアリハビリテーション学会から発信していきたいと考えています。

祝辞
  • 滝沢 茂男
    p. 3-
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
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     国際バイオフィリアリハビリテーション学会を代表して日本バイオフィリアリハビリテーション学会20回大会開催に当たり、一言ご挨拶申し上げます。

     2016年の国際大会を振り返ると以下の2つを目的としてジュネーブで開催されました。1.ジュネーブに本部のあるWorld Health Organization(WHO)へ障害の克服が可能であり、その手法の研究がすすんでいる事実を知らせること、2.今後「経験から科学へ」より一層その内容を高めるにあたり、WHOと共同して研究活動ができるように協調を働きかけることでした。

     我々は日頃ご指導、ご協力いただいている厚生労働省と同省関連法人のご期待にお応えできるよう、日々力を尽くしております。そして今回は厚生労働省のご支援を得て、WHOから講演者をお迎えすることが出来ました。第一の目的は達成できたと確信しています。

     国内大会は富山大会で20回を数えますが、我々はリハビリテーション(リハ)医学の再構築が必要との立場で、多年研究を続けてきました。歩行の再獲得や生活自立の再獲得事実を明らかにし、可能な限り機序の仮説とその証明を明らかにしています。

     7月のジュネーブ開催は、当初大会長を予定していた国際リハビリテーション医学会(ISPRM)女性健康委員長・タイ王国テラコンロン大学アリラット教授の希望でした。私たちは若く有能で、野心にあふれた彼女に期待していました。結果として何か事情があったようで大会長を務めきることができませんでした。しかしその間に、組織としてのISPRMへ対して、多年リハ医学の再構築を実現する研究を推進する団体があることを知らせ得たのは一面では大きな成果でした。

     今後ますます高齢者が増えます。人類史上初めて人口ピラミッドが逆転する時代になるのです。どのように扶養するか、高齢者が充実した生活をするためにはどうすべきか。社会保障における諸課題や、生命の自己実現の視点における課題も山積しています。

     私たちは高齢者がいつまでも自立生活ができるように、効果に疑問のある現在行われているリハ医学を改革するべく研究を続けてきました。冒頭に述べた第2の課題として、研究はリハ医学改革に限らず社会的課題の解決を目指した新たな次元へ進もうとしています。今学会の基調講演に反映されています。

     この学会の最初の大会は2002年開催で、北マリアナ諸島連邦政府との共同開催でした。そこでの私の基調講演は、「高齢者の増加を負の要因としない新たな文明の構築」が題名でした。開催した本年の国際学会と国内学会が真の意味で、この基調講演を可能にする大会になったと確信しています。

     本大会で新理事長が選出される予定です。今後の活動がリハ医学改革ばかりでなく、リハ医療の再構築の実現を基礎とした社会のあるべき姿を作る学会に進化することを期待しています。

     そして参加者にとり有意義であり、さらに人類に大きな貢献ができることを期待しています。

     既に開催済みの国際学会と共に20回を迎える国内学会の2016年の開催を皆さんと共に心から祝いたいと存じます。

次年度大会会長挨拶
  • 和田 里佳
    p. 4-
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/07/23
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     高齢者がいくつになっても、又これまでなら障害者と言われるような身体状況になっても活躍できる(自分のことは自分でできる)社会でなければならない。この学会はそうした視点で、リハ医学の重要性に着目し、活動してきました。

     多年、創動運動(器具を用い健側主導による両側同方向運動による患側受動運動)を中核としたタキザワプログラムによる、自律リハ手法を導入した施設の追跡研究を行ってきました。その結果、3割を超える寝たきり状態の患者(利用者)が歩行を再獲得するという成果を明らかにしてきました。この手法をリハビリテーション(リハ)医療に取り入れることは非常に重要であると考えております。

     私は勤務している施設で、タキザワプログラムを統合したリハを多年実施しています。その実際を多年にわたり研究に提供し、ともに研究を進めてきました。

     そうした実績ゆえか、2017年に横浜で開催する大会に大会長を務めるよう推薦を頂きました。そうした事実や、歩んできた足跡を皆さんにお知らせすることも責任の一つと覚悟して、大会長をお引き受けしました。

     これまでの大会を振り返ると、効果のあるリハ医療の実態の解明、その検証、さらにはその状況を可能にする機序の解明としての脳可塑性の検証を進めてきました。

     2017年の大会ではこれからの超高齢社会のリハ医療に求められる医療効果獲得を可能にする提案を広く求め、また私の経験もお伝えしたいと考えています。

     リハ医療は施設基準・配置基準による診療報酬システムを多年用いてきました。セラピストがどういう施設でどの時期に個別に何分治療したかで点数化された報酬(一生懸命治癒を目指した努力の治療もただ漫然とマッサージしていても同じ点数)これは医学に求められる治癒を基準にしない考え方で、違和感を覚える医師や関係者も少なくなかったことは事実です。

     また個別の治療時間ばかりが点数化されたため、それ以外の時間は転倒したら危険だから極力動かないでくださいと本人の動きたい(治りたい)意思を封印しなければならない医療施設内の事故防止問題があります。その結果治療と同時に廃用も起こってしまい、せっかくの自宅退院後間を置かず自宅での生活がままならなくなる事例が施設待ちの列に加わってますます施設不足に拍車をかけています。

     この本人の動きたい意思をいかに有効かつ安全に廃用防止につなげるか、虚弱な超高齢者にいかに安全に運動させ生活機能を維持させるか、多くの医業者に提案し考えるための大会にしていきたいと考えています

     同じような疑問、考え、提案をお持ちの方のご参加を期待し、歓迎します。

公開市民講座 基調講演
  • 塚田 邦夫
    p. 5-7
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/07/23
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    褥創(床ずれ)は、長時間の圧迫が原因となって発症する。対策として体圧分散用具の使用や体位変換が行われるが、不適切な実施ではかえって弊害が生じる。また在宅で発症する褥創のほとんどに栄養不良が関与している。栄養状態の改善は、摂食・嚥下能力に合わせておこなうが、同時に口腔ケア・口腔リハビリ・食事姿勢の整えが重要である。姿勢の整えに於いて大切なのは、形ではなく安楽であることが大切であり、不快な姿勢は拘縮の原因になっている。また褥創の治療や栄養改善・リハビリテーションを行う際は、患者の生き甲斐や大切にしていることを知ることから始めることが大切である。

  • 牛澤 賢二
    p. 8-
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
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     富山県が公開している統計データ(統計年鑑)にもとづいて、富山県内の15市町村(市町村の数は国内で最も少ない)の平成9年から26年までの推移を分析し、近未来の状況を推察する。

     昨年度の学会において、我々は、「統計データにもとづく神奈川県勢30年の追跡」と題し、財政、土地利用、人口、就業構造にかかわる35個の統計指標から4個の総合指標を構成して、2013年度までの約30年間の神奈川県勢の構造とその変化を追跡した。

    その結論が以下である。

    『すべての市町村で一様ではないものの、バブルの崩壊時期が、あらゆる側面で神奈川県勢の大きな転換点であり、リーマンショックはさらにその傾向を加速した。バブルの崩壊とともに神奈川県勢の成長は止まり、その後30年間同じ状態で停滞している。それと同時に、それまでは潜在していた少子高齢化の歳出構造が徐々に浮き彫りになり、その歳出構造は直線的な増加傾向を今も辿っている。このことによって、財政は自主的な財源構造から次第に国・県の支出金等への依存的な構造へとシフトし、すべての自治体の施策を硬直化させている。このまま成長が止まり、歳入構造が依存状態から抜け出せないで、少子高齢化型の歳出構造が進むとき、神奈川県勢の財政構造が破綻することは明白である。』

     富山県の場合は如何に。これが今年度のテーマである。我々は神奈川県と同様な状況が国内全域で生じている可能性が高いと危惧している。公開されている統計データは神奈川県の形式とは必ずしも同じではない。公開されているデータ形式に合わせて、改めて統計的な総合指標を構成し、18年間にわたる富山県勢の趨勢を明らかにしながら、近未来の姿について考察してみたい。

    (現在分析途上です。学会当日に詳細を報告いたします)

     なお、分析途上において、公開されているデータに関しては若干の問題点が発見されました。このことに関して、富山県に指摘した結果、たいへん丁寧に対応していただくとともに、データの誤りを正していただきました。ご協力が得られたことをここに付記してお礼を申し上げます。

研究発表 1
  • 森田 能子
    p. 9-
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
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    【初めに】

     創動運動は体力の低下した老人や片麻痺の麻痺側下肢の運動療法として効果が上がることは我々がこれまでfMRIやFNIRSを用いて大脳の活性化をもたらす事実をエビデンスとして提示してきた。当院の回復期リハ病棟では安全を理由に車いすでの座位を長時間取ってもらう入院患者がかなりみられる。特に下肢骨折後には下肢浮腫の頻度も高いためDVTのリスクは高いと警告されてきた。そこでDVT予防にパタを導入できないかを当院回復期リハ病棟で検討した。

    【方法と症例】

    入院患者で大腿骨頸部(転子部骨折を含む)骨折後を対象とした。急性期での治療後術後2~4週で転院してくるが既にDVTの合併率は約半数にみられ、患側下肢時には両側下肢に浮腫の合併がみられる。

    リハビリテーションを午前午後各1時間行うがベッド臥床していない時間は病棟では車いすに座っていることが多いので、その時間を利用してパタを導入した。

    導入にはリハスタッフが当たり、その維持は病棟の看護師・介護士があたった。道具の設定と声掛けを行う。回数や頻度・スピードは症例別にそれぞれに適正なものとし一定とはしていない。歩行可能となって車いすから卒業できれば終了とした。認知症を合併しているケースも骨折症例の3~4割を占めており、転倒リスクのため実用歩行より車いすで今後も生活を余儀なくされることが多いので単純な運動は継続しやすいと期待される。

    【結果】

    下肢の浮腫軽減には効果がみられた。DVTの予防や悪化にはワーファリンなどの投薬だけに頼らず回復期リハ病棟の強みである多職種間での協力体制を活用することは有意義である。下肢骨折術後のDVTの予防にパタコロを利用することは効果的であった。

    【考察】

    下腿三頭筋は第2の心臓であるといわれるほど下肢の静脈還流に大きな役割を果たしていることは周知の事実である。車椅子座位でパタを利用することでこの筋の活動を引き起こし合併症の早期改善に持っていけるので当病棟の患者のADLに良い転帰を期待できると確信した。今後さらに検討をしていきたい

  • 和田 里佳, 立花 敏弘, 滝沢 茂男, 武藤 佳恭
    p. 10-
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
    会議録・要旨集 フリー

    本報告は基盤研究(A)21249036で実施した研究の2012年、2015年に続く報告である。創動運動の効果を測定する機器が開発され、研究者によって、その効果測定が行われてきた。我々はリハビリテーションの現場で、リハビリテーション実施者により、効果測定を行い、運動量を測定するとともに、身体へ与える影響を血圧・体温・脈拍の変化測定で実施・報告した。昨年の足関節創動運動の報告に引き続き、その内15名について下肢(膝・足)関節運動用機器による運動の結果を報告する。

  • 鎌田 悠奨, 滝沢 茂男, 武藤 佳恭, 田中 敏幸
    p. 11-12
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
    会議録・要旨集 フリー

    近年, 脳卒中患者数の増加により理学療法士の負担が増加してきている. 私は患者が自ら行うことのできる創動運動が他のリハビリテーションよりも効果があることを示唆したいと考えた. 本研究ではその前段階として, 脳の錯覚を用いた新たな機能の獲得は可能かについて調べたいと考えている. そのため, ミラーボックスを用いたトレーニングの前後での書く能力の変化を測定し, 評価することで新たな機能は獲得可能かについて調べたい.

  • 權正 健太, 滝沢 茂男, 武藤 佳恭, 田中 敏幸
    p. 13-14
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
    会議録・要旨集 フリー

     脳卒中の国民医療費は第2位で65歳以上に限ると第1位となっている[1]。また脳卒中が起こると脳に麻痺が残ることが多く、リハビリの重要性が高まる。近年、高齢化社会と言われるように高齢者の人口が増えており、それに伴って脳卒中、リハビリ患者の数も増えている。一方、理学療法士の数は十分に増えていないため、負担に繋がっている。

     そこで理学療法士の負担を軽減することが出来る、また治療にかかるコストを抑えることが出来るという2つのメリットから創動運動によるリハビリテーションが注目されている。しかし、創動運動は明確な評価指標がないという問題点がある。

     本研究では創動運動によるリハビリテーションの効果を解析し、今後手法が一般的になっていくことを踏まえ、誰もが客観的・定量的にリハビリテーションを評価できるような回復度指標を構築することを目的とする。

研究発表 2
  • 牧田 光代, 青野 淳子, Pham Quang Hoa , Nguyen Thanh Son
    p. 15-16
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
    会議録・要旨集 フリー

    目的:

    我が国では2008年より経済連携協定(EPA)を通じインドネシア、フィリピン、ベトナムより外国人看護師・介護福祉士候補者を受け入れている。EPA制度や日本での就労についてのベトナム人看護学生の意識を知り、外国人医療従事者に対する教育支援の資料とする。

    対象:

    ベトナムのThai Binh Medical College(タイビン医療短期大学)の看護学科3年生(最高学年)478名(男性51名、女性427名)。

    倫理的配慮:NPO法人外国人看護師・介護福祉士教育支援組織の倫理委員会の承認を得た(承2014001)。

    方法:

    ベトナム語に翻訳した調査票を日本側が作成した。調査はタイビン医療短期大学側が実施し(2016年1月)、回答はexcelファイルに入力したものを日本側へメール送付された。データの解析は日本側が実施した。ベトナム語での記述式回答は、日本で日本語に翻訳した。

    統計処理:データの統計解析はχ2検定を用い、pが0.05未満を有意差ありとした。

    結果:

    調査対象者478名のうち397名(男性42名、女性355名)から回答を得た(回答率83.1%)。

    1. 日本語学習の経験:「あり」、42名(10.6%)

    2. 日本の文化や技術への興味:「あり」322名(81.9%)

    3. 日本の医療や看護についての学習経験:「あり」17名(4.3%)

    4. EPAについて:「知っている」217名(54.6%)

    5. EPA候補者になりたいか:「はい」153名(男性9名、女性144名)(38.5%)、「いいえ」101名(25.4%)、「わからない」143名(36.0%)。「はい」の回答者は女性が男性より有意に多かった。「はい」の回答者は「いいえ」の回答者に比し、③日本文化や技術への興味が有意に高かったが、④日本の医療や看護についての学習経験では有意差を認めなかった。

    6. EPA候補者になりたい理由(複数回答):「日本では働きたいから」77名、「日本の医療技術を学びたいから」62名、「日本文化に触れたい」56名、「給料」44名。自由記載として「就労環境・住環境がよい」、「もっと勉強したい」など。

    7. EPA候補者になりたい学生への質問

    1. 日本での就労希望年限:「3年以内」25名(16.3%)、「3~5年」44名(28.8%)、「5~10年」14名9.2%)、「永住したい」12名(7.8%)、未記入58名(37.9%)

    2. 日本で働くについての不安は何か(複数回答):「日本語」71名、「文化・風習の違い」44名、食事13名

    3. 日本で働く場合、希望すること(複数回答):「生活や仕事について相談できる場所が欲しい」68名、「ベトナム人との交流の場が欲しい」43名、自由記載として「自分が希望する給料であること」、「お金を稼ぎたい」、「日越文化交流をしたい」など

    考察:

    タイビン医療短期大学はハノイ近郊の地方大学である。第1陣ベトナム人EPA看護師候補者1名の出身大学であるので調査先として選択した。2016年1月に大学を訪問し、卒業生の国内での就職先が不足しているため海外にも就労先を求めている、日本での就労についてはEPA制度があるが、募集人数が限られているので他に就労の可能性が欲しい、日本語を第2外国語として学んでいる学生が合計70名ほどいるとの情報を得た。今回の調査結果によれば、学生の日本文化や技術に対する興味は高く(81.1%)、EPAの認知度も半数を超え、EPA候補者になりたい者も多く(38.5%)、学生の日本就労への関心の高さが明らかになった。

    EPA候補者には看護師候補者と介護福祉士候補者がある。学生が応募条件の違いをどの程度認識しているかについては質問していないので明らかでない。看護学においても日本とベトナムでは多少の違いがあるが、ベトナムでは介護は家族が担うものとされ日本のような介護専門職は存在しない。そのため学生は介護福祉士の業務などを知らないで応募する可能性がある。本調査においてもほとんどの学生が日本の医療や介護を学んだことがないと答えている。

    今後介護技能実習制度が実現すればさらに多くの外国人の受け入れが予測される。受け入れ側である日本の病院や施設は、来日するベトナム人の背景を理解し適切な対処をする努力が必要であろう。また、ベトナムの大学には日本の看護や介護についての基礎知識が得られる講義の提供が求められる。当法人でも支援を計画している。

  • 小原 滉平, 岩 祐生輝, 山科 吉弘
    p. 17-
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/07/23
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     【目的】咳嗽能力は感染防止機能の一つとされており、今回は咳嗽能力と肺機能の関係を明らかにする。【対象】健常中高年者16名を対象に身長・体重・Body Mass Index(BMI)・腹囲・肺活量・1秒量・CPFを計測した。【結果】PFの平均値は288.5±94.2L/minであった。CPFと肺活量との間には有意な正の相関(r=0.66)を認め、年齢との間には有意な負の相関(r=-0.59)を認めた。【考察】CPFは肺活量と相関を認めたことから咳嗽能力には吸気量が影響していることが考えられ、深吸気が重要であることが示唆された。また年齢と負の相関を認めたことから、加齢による変化を生じうる可能性が示唆された。

  • 岩 祐生輝, 小原 滉平, 山科 吉弘
    p. 18-
    発行日: 2016年
    公開日: 2017/07/23
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    【目的】 咳嗽能力は端座位から仰臥位になると低下することは知られている。しかし、咳嗽能力が低下する因子については十分に検討されていない。そこで、今回咳嗽能力と呼吸機能(呼吸筋力、肺活量)の姿勢変化(端座位から仰臥位)時の変化量を求め、それらの関係を調べた。【対象】対象者は健常成人男性19名とし、無作為に仰臥位、端座位の2姿勢で咳嗽能力(CPF)、呼吸筋力(最大呼気圧:PEmax、最大吸気圧:PImax)、肺活量(VC)を計測した。【結果】CPF変化率とVC変化率、PImax変化率との間に有意な相関を認めた(r=0.55、r=0.51)がPEmax変化率との間には有意な相関を認めなかった。【考察】端座位から仰臥位になった場合に呼気機能よりも吸気機能の低下が大きいものほど、よりCPFの低下が大きくなる可能性が示唆された。

  • 三田 隆広, 川澄 正史
    p. 19-
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
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    足指は歩行において重要な役割を果たしている.足指の可動制限すなわちMP関節の可動制限は歩行における推進力,姿勢制御能力に影響を与え,転倒などが発生する恐れがある.そのため,歩行中のMP関節の動作に着目することで歩行能力,転倒のリスクなどが評価できると考えられる.また,歩行のリハビリ分野の評価指標の一部になり得ると考える.以上のことから,本研究では,歩行中のMP関節可動域を計測するための装置に関する研究を行っている.

特別講演
研究発表 3
  • 田中 敏幸, 谷中 恵美, 滝沢 茂男, 武藤 佳恭
    p. 21-22
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
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    近年, 社会の高齢化に伴い脳卒中患者が増加している. 脳を損傷するとその損傷部位に応じた後遺症が残るが,損傷部位周辺を活性させることによって新たな神経回路の構築や機能回復が見込めると報告されている.損傷部位周辺の活性化にはリハビリが不可欠であり,そのリハビリが効果的であるか否かを脳機能計測装置により診断する方法が提案されている[1].脳の活動状態を非侵襲的に調べるにはNIRS (Near Infrared Spectroscopy)による計測が適しており,操作が簡便であることから様々な分野での応用が期待されている.しかし,空間解像度が悪く脳が活性した位置を正確に推定することができないことが,応用研究への妨げとなっている.この問題に対し,頭部における光の伝播を考え,NIRSの計測データから脳活動位置を推定し,空間解像度の改善を目指す研究が行われてきた[2].推定を行うには,膨大な計算負荷がかかるために簡易的なモデルでの推定が主であった.これは実用性を考慮すると必ずしも適していると言えない[3].本研究では,実用性を考慮して頭部モデルを正確に再現し,最小ノルム法を用い計算負荷の削減をした上での推定を行う.最小ノルムにより得られる解は広がりを持っているがその解に対して適切に処理を行うことで,複数の活性における活動位置推定の精度向上を目指す.

  • 滝沢 茂男, 家本 晃, 高田 一
    p. 23-
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
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    要旨

     総務省 関東総合通信局から平成28年度「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」研究費を得た。

    当研究所の研究に関し、一定の成果を見たので、報告する。

    研究の目的

     神奈川県内の地域ICT組織を基礎に置くシステム開発であり、ICTネットワークに組み込んだ下肢創動運動器開発により、自律的リハビリテーション(リハ)をICTにより施設内全域及び遠隔において実施・管理出来るシステムを研究開発する。超高齢社会を持続可能にするためのリハ医療効率化実現のため、開発システムの利用により、多くの高齢者が同時・個別に利用できる事及び大腿骨頸部骨折等の下肢骨折や脳血管障害後遺症等による介護を必要とする身体障害を克服出来る効果を臨床試験で明らかにする。本研究により、①リハ医療改革・効率化の実現、その結果から②治癒には至らないまでも障害を克服して現状の要介護高齢者増加を食い止める、さらに③高齢者が障害を得たとしても生活を自立する、の3点を実現に貢献する。

    対象

     本年度我々の課題は金属製の機器開発であった。そのために、センサーの選定、機器の作成を行った。

    方法

     ハードウエアのベースとなるマイクロコンピュータは Arduino MEG 2560 である。

    この基盤にペギーバック方式でイーサーネット2のシールドを重ね、更にその上にGPIOへのセンサー等の取りつけのための基板を重ねた。センサーはPING Ultrasonic Distance Sensor製の超音波センサーを用いた。

     独立型のコロコロの開発のために制約される、小型省電力の機器の搭載が求められため、ユーザーインターフェースとなるキーボードとディスプレイは、それぞれ4x4のマトリックスキーと2行16文字のLCDが搭載された。

    制御部を図1に示す。

    考察

     我々に課された機器開発は実施したが、各機関との調整の中で、最もセンサーとして期待できるフォトセル又はLEDの開発センサーを用いた機器はどの機関も開発できないことが明らかになったため、代替センサーの利用を含め、今後我々が開発に取組むことになった。

  • 尾澤 潤一
    p. 24-
    発行日: 2016/10/29
    公開日: 2017/07/23
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    仏教思想を背景として1,000年ほど前から救貧対策を主体とした部分的な厚生事業が展開されてきたが、国の制度として整備されるためには明治政府の発足を待たなければならなかった。それは、軍人や公務員に対する年金や貧窮対策の拡充、また一部財閥企業による退職者支援という形であり、まだ限定的なものにとどまっていた。第二次世界大戦後、新たな法制度の下で日本が求めた近代国家の姿については、特に、医療、年金、困窮者対策、関連支援という基本的な社会保障要素への志向を目指したものの、まだ完ぺきとは言えないものであった。1960年代に入り、念願であった国民皆年金、皆健康保険等の導入によりようやく我が国の社会保障制度の外形が整うこととなった。とは言いつつも、一般国民の間では老後のために自ら蓄えるという意識は当面続いた。

    その後、経済情勢や人口問題などにより、社会保障制度の改革や拡充が逐次行われるとともに、行政組織の改革が行われたが、常に新しい問題に直面すとることとなった。これは、膨大な社会保障財政(ストック)とそれを運用する関係行政機関、さまざまな民間事業者・専門職と制度の受益者などがさまざま目的や意識・無意識のもとに参画しており、問題解決や制御が困難になりつつあることが背景にあると考えられる。本稿では、日本の社会保障制度について概観するとともに、現在の問題やこれからの課題を概略示したい。 すでに、社会保障政策に関する資料、データ、論文は多数あり、またこの分野は細かく分化され、関係者は多岐にわたるが、ここでは次の主要な項目についてあらあら紹介するに留める。

    社会保障政策の大まかな変遷

    人口ピラミッドの変化と影響

    社会保障財政収支について

    トピックス:年金基金の活用状況

    これからの課題

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