Bird Research
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12 巻
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
原著論文
  • 山本 正岳, 佐野 光彦
    2016 年 12 巻 p. A1-A17
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/26
    ジャーナル フリー
     2014年8-9月,2015年4-5月,8-9月に,東京湾奥域の北部の干潟(ふなばし三番瀬海浜公園と谷津干潟)と西部の干潟(多摩川下流部と河口部)において,底質環境やマクロベントス量がシギ・チドリ類の種数や個体数密度に与える影響について調べた.シギ・チドリ類は北部の干潟に多く分布し,その違いは,採食方法が異なる3つのグループ(視覚・連続つつき型,視覚・立ち止まりつつき型,触覚・連続つつき型)のうち,視覚・立ち止まりつつき型と触覚・連続つつき型が北部に偏って分布していたためであることがわかった.視覚・立ち止まりつつき型と触覚・連続つつき型のなかで特に優占していた種は,それぞれダイゼン Pluvialis squatarol とハマシギ Calidris alpina であった.一般化線形混合モデルによる解析を行なったところ,ダイゼンでは大型多毛類,ハマシギでは大型,小型多毛類の個体数密度が重要な分布規定要因であることが示唆された.このことから,北部に偏ったシギ・チドリ類の分布は,食物となる多毛類,特に大型多毛類の個体数密度によるところが大きいと考えられた.
  • 平田 祐介, 三上 修
    2016 年 12 巻 p. A19-A29
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/26
    ジャーナル フリー
    都市部に生息する2種のカラス,ハシブトガラス Corvus macrorhynchos とハシボソガラス C. corone は,しばしば家庭から出たごみ袋をつつき,あたりにごみを散乱させ,悪臭や景観を悪くする問題を引き起こしている.そこで,どのような出し方をされたごみが荒らされやすいかを函館市において調査した.2015年12月と2016年1月に,函館市内において,計20か所の調査地域を設定し,それぞれ100件のごみ収集かごのデータを得るまで徒歩で調査を行なった.合計2,000件のデータを解析した結果,一軒家よりも集合住宅で出されたごみが荒らされやすいことが明らかになった.これは,一軒家では,ごみを荒らされた場合,当人が清掃などの片づけをしなければならないため,しっかりと管理をするが,集合住宅では,責任の所在が曖昧となるため,ごみの出し方がいい加減になるためと思われる.ごみ収集容器の形式では,容器なしとネットおよびブルーシートで覆われたものの被害が起こりやすいことがわかった.これらの出し方をしないことで,被害を抑えることができると考えられる.また,金属製のメッシュ容器については,メッシュの隙間からカラス類がごみをつつくので,網目からごみに嘴が届かないように板を設置するなどの付加的な対策をすることで,ごみの散乱を抑えることができることが示唆された.
  • 多田英行
    2016 年 12 巻 p. A31-A40
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/20
    ジャーナル フリー

     チュウヒ Circus spilonotus とハイイロチュウヒ C. cyaneus のねぐら環境について,2011年10月から2015年9月にかけて,岡山県の錦海塩田跡地で調査した.チュウヒ類の寝床環境として,下層植生としてスゲが生えていたヨシ環境,ヨシだけが生えていた環境,風によって広範囲に倒れたヨシ環境が観察された.ヨシだけが生えたねぐら環境は,調査期間を通じて多くのチュウヒとハイイロチュウヒが利用していた.一方,チュウヒが利用したねぐら環境には季節的な変化が見られ,7-10月には下層植生のある環境の利用が減少し,風によって広範囲に倒れた環境の利用が増加した.ねぐら環境の利用に季節的な変化が見られた理由として,気温や捕食者,そして植物の生育密度の要因が考えられる.

  • 植田 睦之, 福田 佳弘, 高田 令子
    2016 年 12 巻 p. A41-A46
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/07
    ジャーナル フリー

    北海道ではオジロワシ Haliaeetus albicilla の風車への衝突事故が問題となっている.食物の存在がバードストライクを誘発するかを検討するために,2014-2016 年に北海道で給餌実験を行なった.オジロワシ,オオワシ H. pelagicus ともに食物があると下を向いて飛ぶ頻度が増加した.また,他個体からの干渉の頻度も増加した.下を向いて飛んでいると,ワシ類は正面にある風車を視認できないと考えられている.また,他個体の干渉が原因と考えられる衝突事故が起きていることから,食物の存在がバードストライクを誘発する可能性が考えられた.

  • 関 伸一
    2016 年 12 巻 p. A47-A54
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/28
    ジャーナル フリー

    先島諸島の宮古島,石垣島,竹富島,小浜島,黒島,波照間島,西表島,与那国島におけるアカヒゲLarvivora komadori の冬期の分布を,さえずりの再生音をもちいた定点観察により調査した.すべての島でアカヒゲが確認され,樹林地周辺に任意に設定した853地点のうち300地点において合計364羽が記録された.目視観察できた53羽はすべて亜種アカヒゲL. k. komadori に特徴的な羽衣を持つ個体であった.これまで先島諸島でのアカヒゲの観察記録が少なかったのは,冬期には地鳴きやさえずりの頻度が低く,植生が密な場所を好むため,通常の鳥類調査での発見率が低かったためと推測された.渡り個体群の主要な越冬地が先島諸島地域に限られ,常緑広葉樹林だけでなくその他の森林や集落内の樹木のある小面積緑地にも生息していることから,多様な樹林地を含めて生息地の管理を行なう必要があると考えられた.

  • 姉崎 悟
    2016 年 12 巻 p. A55-A64
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/28
    ジャーナル フリー

     2014年1月から2015年9月まで,愛知県篠島に18回渡島し,58種の鳥類を確認した.このうち留鳥は18種,夏鳥は1種,冬鳥は20種,旅鳥は13種であった.留鳥のうち10種は,島内の広い範囲で記録された。これらの種はさまざまな場所あるいは環境を利用することで,島で安定して生息できている可能性が考えられた.新たに留鳥となったコゲラとハクセキレイは,2000年代に愛知県本土で留鳥としての分布域を拡大させており,その拡大が篠島にまで及んだ可能性が考えられた.クロサギは本土側ではあまり記録されておらず,愛知県では本土よりも離島を選好して生息しているものと推察された.

  • 高橋 雅雄, 磯貝 和秀, 古山 隆, 宮 彰男, 蛯名 純一
    2016 年 12 巻 p. A65-A71
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/31
    ジャーナル フリー

    2014-2015年冬期と2015-2016年冬期に,関東地方の都市部と農村部の計32か所の湿性草原でオオセッカの生息調査を行ない,13か所で計94個体を確認した.そのうち4か所は都市部に位置し,住宅地等で囲まれて孤立した環境だった.また3か所では耕作放棄田で,別の3か所では自然生態観察公園で生息が確認され,これらの環境も越冬地として利用されることが確かめられた。さらに,オオセッカは多様なタイプのヨシ原環境で確認され,従来考えられていた以上に多様な植生環境を利用する可能性が示唆された.

短報
  • 籠島 恵介
    2016 年 12 巻 p. S1-S5
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/02
    ジャーナル フリー
     沖縄本島において, 南米原産のコガネノウゼン Tabebuia chrysotricha に対するメジロ Zosterops japonicus の吸蜜および盗蜜行動を観察した.メジロは嘴が短く,またホバリングができないため,本来のポリネーターのハチドリとは違って,枝に留まって盗蜜をしていた.メジロは主に萼と花弁の隙間に嘴を入れる盗蜜,および花弁を裂いて行なう盗蜜をしており,後者では送粉が行なわれていると思われる. コガネノウゼンの蜜の糖度は,メジロが良く利用するハイビスカス Hibiscus rosa-sinens およびカンヒザクラ Cerasus campanulata の平均値および最大値を上回っており,食物として大きな価値を持っているように思われた.しかし,本行動は2011年には頻繁に観察されたにも関わらず,2012年,2013年,および2014年には全く観察されなかった.このことは,この植物がメジロの蜜利用を忌避させる可能性のあるフェノール配糖体およびナフトキノンを含んでいるためかもしれない
  • 福田 篤徳, 池長 裕史, 伊丹 英生, 片山 秀策, 小山 慎司, 深川 正夫, 前田 敦子, 前田 崇雄
    2016 年 12 巻 p. S7-S11
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
     2012年5月20日の石川県輪島市舳倉島にて,カンムリカッコウと思われる声を録音した.この声の声紋を確実な記録と思われるカンムリカッコウやチャイロジュウイチのものと比較することによって,この声がカンムリカッコウのさえずりであると判断した.これは,日本での初めての録音及び記録と思われる.
  • 多田 英行
    2016 年 12 巻 p. S13-S18
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/30
    ジャーナル フリー

    岡山県南部におけるオオセッカの越冬期の生息状況について,2014年3月から2016年4月にかけての越冬期に調査した.調査は錦海塩田跡地,児島湖湖岸,倉敷川河口の3か所のヨシ原で行なった.オオセッカの生息確認にはプレイバック法と定点調査をもちいた.オオセッカは11月下旬から4月中旬に各調査地で1-3羽が確認され,3月下旬から4月中旬には飛翔を伴わないさえずりが確認された.生息環境はスゲなどの下層植生のあるヨシ原で,ヨシの高さは1.9-2.2m,ヨシの生育密度は48-58本/㎡だった.本研究の結果,岡山県南部はオオセッカの越冬地として継続的に利用されていると考えられた.

テクニカルレポート
  • 三上 かつら, 植田 睦之
    2016 年 12 巻 p. T1-T8
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/08
    ジャーナル オープンアクセス
     亜種サンショウクイと亜種リュウキュウサンショウクイの音声を比較し,両亜種の違いを記述するとともに,簡便な計測および判別方法を開発した.7つの音声要素に着目し,両亜種の平均値を比較したところ,先頭の周波数,第1音素の最大周波数,最高周波数,最大音圧の周波数,最初の音素の最大周波数から最後の音素の最大周波数を引いた値,計5つの要素で有意な違いがみられた.亜種サンショウクイに比べ,亜種リュウキュウサンショウクイのほうが,全体的に音が高く,音色がフラットまたは尻下がり調子になる傾向があるといえる.線形判別関数の利用および特定の変数の値と95%信頼区間を比較するという2つの方法で、判別方法の実用性を確認した.神奈川県で録音された4例の亜種不明サンプルをこれらの方法で判定したところ,4例すべてが亜種リュウキュウサンショウクイであると判定された.今回用いた方法は録音状況があまり良くない音声記録にも用いることができ,サンショウクイ2亜種の判別に有効だと思われる.
調査データ
  • 大澤 剛士, 和田 岳
    2016 年 12 巻 p. R1-R8
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/21
    ジャーナル オープンアクセス
     市民参加型の生物調査は広域,多点を対象とした調査が可能である反面,誤同定が混入しやすいという問題がある.同時に,調査場所がアクセスしやすい場所に偏る,調査労力が一定にならないといったサンプリングバイアスの問題も発生しやすい.身近な普通種であるツバメを対象とした,鉄道駅における営巣調査は,これらの問題を解決できる理想的な調査である.なぜなら,1) 駅は,市街地から郊外まで,ある一定以上の間隔を置いて配置されている,2) 規模には違いがあるものの,駅舎は基本的にコンクリートで作られたオープンな建物であり,物理環境が類似しているといったサンプリング上の偏りを排除するために有利な条件に加え,3) 公用地である駅舎は私有地に比べて人がアクセスしやすいという,一般人が調査を行いやすい条件もそろっている.本稿は,2012年5月から7月にかけて実施された近畿2府4県を対象とした駅におけるツバメの営巣調査の結果概要およびデータ公開を通し,市民参加型調査の有効性について論じた.なお,全てのデータはCreative Commons CC-BY 4.0国際を付与し,オープンデータとして公開する.
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