Bird Research
Online ISSN : 1880-1595
Print ISSN : 1880-1587
ISSN-L : 1880-1587
17 巻
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
原著論文
  • 立石 淑恵, 高橋 雅雄, 東 信行
    2021 年 17 巻 p. A1-A9
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/29
    ジャーナル フリー

    青森県津軽地域で繁殖したチゴハヤブサについて,2018年の5巣と2019年の7巣を対象に,食痕とペリットの内容分析から採食内容を推定した.また,2019年には1巣について,巣内育雛期と巣立期の動画撮影から給餌内容を推定した.食痕から推定された食物は,鳥類21科32種,哺乳類1科3種,昆虫類14科24種で,鳥類と昆虫類が大部分を占めた.鳥類ではカワラヒワ(鳥類中18.3%),ツバメ(同17.9%),コムクドリ(同15.3%),スズメ(同14.1%)が多く,昆虫類ではセミ科(昆虫類中52.8%)とトンボ目(同44.1%)が多かった.また,哺乳類はすべてコウモリ類だった.動画撮影で推定されたヒナへの給餌では,昆虫類(145個体)が鳥類(23個体)を大きく上回った.これらの結果から,津軽地域のチゴハヤブサは営巣地周辺に多く生息する鳥類や昆虫類を主に利用していることが示唆された.

  • 三上 修, 三上 かつら, 森本 元, 上野 裕介
    2021 年 17 巻 p. A11-A19
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

    都市に生息する鳥類は,大量にある電柱電線を足場として利用している.その止まり方にパターンがあるかどうかを国内7都市で調査した.その結果,次のことが明らかになった.(1)止まる場所全体に対する電柱および電線を利用する割合は,種によって違っていた.(2)鳥類は,越冬期よりも繁殖期に,電柱および電線に頻繁に止まっていた.(3)体重が重い鳥種ほど,電線よりも電柱に止まる傾向があり,また,電線に止まる場合でも,電柱に近い部分に止まっていた.(4)多くの鳥種が最上段の線によく止まっていた.

  • 廣部 博之, 藤岡 健人, 三上 修
    2021 年 17 巻 p. A21-A29
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー

    ハシブトガラスとハシボソガラスは様々な環境で生息している.この2種の生息環境については,いくつか研究があるが必ずしも統一的な結果になっていない.そこで,函館市の都市部を中心に2種の生息環境,利用している空間の高さ,行動個体数について調査をした.その結果,ハシボソガラスは農耕地帯に,ハシブトガラスは山沿いに多い傾向が見られたが,2種の混在度合いは,環境により異なっていた.また,ハシブトガラスは発見時に複数でいることが多く,高い空間を利用していた.

  • 倉沢 康大, 平田 和彦
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 17 巻 p. A31-A44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/17
    ジャーナル フリー

    津軽海峡における海鳥の密度とその季節変化を明らかにするために,2006-2010年に津軽海峡で,函館(北海道)と大間(青森県)を結ぶ旅客フェリーからの海上センサスを行なった.周年にわたる計151回の調査の結果,11科51種の海鳥が記録された.渡り途中のミズナギドリ科(ハシボソミズナギドリ,ハイイロミズナギドリ)やアカエリヒレアシシギが飛来する4-5月に海鳥の密度が最も高かった.11-12月には種数が最も多くなり,越冬地への南下中と考えられるカモメ科やウミスズメ科が多く記録された.本研究により,津軽海峡は沿岸性から外洋性まで多様な海鳥が生息し,種によって本海域を利用する時期や密度が異なることが分かった.

  • 佐藤 晴香, 高島 鼓, 三上 修
    2021 年 17 巻 p. A45-A52
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/30
    ジャーナル フリー

     ゴルフ場では一般的に害虫駆除のために農薬が使われている.人体への被害や生態系への悪影響への懸念から,農薬の使用を抑えるための方法として,スズメ等の昆虫を食べる鳥類による生物防除がある.スズメによる生物防除を効果的に行なうためには,スズメが選好する巣箱を明らかにし,目的とするゴルフ場にスズメを誘致する必要がある.そこで本研究では,峯岸(2011)のデータを使用し,以下の2つを明らかにすることを目的とした.1)スズメは,どんな大きさの穴径,および高さの巣箱を選んで使用しているか,2)スズメが選んだ巣箱の穴径と高さは,繁殖に適した穴径と高さと同じか,それともずれているか.その結果,スズメは30.82mmの穴径の巣箱を好み,その穴径は,高い繁殖成功をもたらす穴径とほぼ同じであった.また架設された範囲内では巣箱の高さは,スズメの巣箱使用割合に影響を与えていないこと,そして繁殖成功にも大きな影響を与えていないことが推測された.これらのことから,ゴルフ場にスズメを誘致する際には,約140 cmから約370cmのあいだであれば巣箱を架ける高さは考慮する必要がなく,巣箱の穴径については30-31mmとすべきと結論づけた.

短報
調査データ
feedback
Top