Bird Research
Online ISSN : 1880-1595
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ISSN-L : 1880-1587
5 巻
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著論文
  • 三上 修
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 5 巻 p. A1-A8
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    近年,日本においてスズメ Passer montanus の個体数が減少している可能性が指摘されている.その減少要因について,いくつかの仮説が提示されているが,何が原因かわかっていないのが現状である.減少原因のひとつとして都市環境において,スズメの繁殖がうまくいっていないことが考えられる.そこで,都市部と農村部において,「幼鳥の比率」および,「ひとつがいが面倒をみている巣立ちヒナ数」を比較した.その結果,どちらの値も都市部において低く,予測した通り,スズメの繁殖は,都市部においてうまくいっていないことが示唆された.さらに,後者の値は,都市部において 1羽程度と少なく,都市部では,スズメの増殖率がマイナスになっている可能性も考えられた.都市での繁殖の不振が,スズメの個体数の減少の一要因になっているのかもしれない.
  • 植田 睦之, 島田 泰夫, 有澤 雄三, 樋口 広芳
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 5 巻 p. A9-A18
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    電子付録
    全国31か所で2001年から運用されているウィンドプロファイラという風を観測するためのレーダーに渡り鳥を中心とした鳥からのエコーが映ることが知られている.そこで,2003年 8月から2007年12月の記録を使って,全国的な渡り鳥の状況について記載した.いずれの地域でも 4月から 6月にかけての春期と 8月から11月にかけての秋期の夜間に「鳥エコー」が多く記録された.またその時期は地域によって異なっており,北の地域は南の地域と比べて春は遅く,秋は早かった.渡りは日没 1~3時間程度後から活発になる日が多く,夜半過ぎからは徐々に少なくなった.春の渡りは秋に比べて,日没後に活発になるまでの時間が早く,秋の渡りでは季節の進行に従って,活発になる時刻の日没後の経過時間が短くなる傾向があった.地域的にみると,春の渡りは日本海側で多く,秋は太平洋側も多いという違いがあった.国外では,レーダーをもちいた渡り鳥の生息状況のモニタリングが行なわれているが,日本でもこのウィンドプロファイラを使うことでそれが可能になると考えられ,標識調査等の情報と合わせることでより意味のあるものにできると思われる.
短報
テクニカルレポート
  • 平野 敏明, 植田 睦之, 今森 達也, 川崎 慎二, 内田 博, 加藤 和明, 金井 裕
    原稿種別: テクニカルレポート
    2009 年 5 巻 p. T1-T13
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/03/23
    ジャーナル フリー
    鳥類の生息状況のモニタリングにおけるスポットセンサスの有効性を検討するために,越冬期と繁殖期に各13か所の森林で,ラインセンサスとスポットセンサスによる,鳥の種数・個体数の把握状況の比較を行なった.その結果,越冬期・繁殖期ともにスポットセンサスは,ラインセンサスより多くの種を記録し,しかも記録率も短時間で高くなった.記録された個体数は,越冬期・繁殖期ともにスポットセンサスとラインセンサスのあいだに正の相関がみられたが,越冬期は両手法で記録された個体数の差が大きかった.繁殖期のスポットセンサスの各定点の最大値の合計値とラインセンサスの最大値は極めて近い値をとり,個体数のおおまかな比較も可能と考えられた.以上の結果から,鳥類の生息状況のモニタリング調査のために,スポットセンサスは効率的な方法と考えられた.
  • 高木 憲太郎, 佐藤 達夫
    原稿種別: テクニカルレポート
    2009 年 5 巻 p. T15-T22
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/06/01
    ジャーナル フリー
     鳥類の移動を追跡する方法として,発信機などを背中に背負わせて,その位置を追跡する方法がある.カワウに衛星追跡用の送信機をハーネスによって装着した場合,翼膜がハーネスと擦れて傷になることがある.テサテープにより背中の羽根へ接着することによる送信機の装着であれば,この問題は起きないが,目的の調査期間外れない耐久性があるかどうかはまだわかっていない.そこで,ダミーの送信機をもちいて,この装着方法の耐久性を試験した.半飼育下のカワウ 6羽と,餌付いていた野生のカワウ 4羽に送信機模型を装着し,その装着状態を不定期に観察して脱落までの日数を調査した.その結果,10羽中7羽について10日以下の記録誤差で結果が得られ,最長でも81日であった.したがって,この装着方法では,衛星追跡調査に必要な 3か月から 1年という持続期間を得ることはできなかった.頻度分布を見てみると,30日未満と60日以上の 2山に分かれた.この結果には何らかの個体差が影響したことが考えられるが,原因は明らかにできなかった.換羽期直前の 5,6月に装着した半飼育下の 3羽のうち 2羽で,5日未満という短期で脱落しており,野生個体で換羽期を避けて装着を行なえば装着持続期間を延長できる可能性が示唆された.
  • ―ラインセンサス法との鳥の記録率の比較―
    植田 睦之, 平野 敏明, 川崎 慎二, 黒沢 令子, 村濱 史郎, 青木 則幸, 今森 達也, 福田 佳弘, 馬田 勝義, 金井 裕
    原稿種別: テクニカルレポート
    2009 年 5 巻 p. T23-T32
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
    鳥類の生息状況のモニタリングにおけるスポットセンサスの有効性を検討するために,越冬期と繁殖期に各10か所の草原で,ラインセンサスとスポットセンサスによる,鳥の種数・個体数の把握状況の比較を行なった.その結果,有意な違いはないものの,越冬期・繁殖期ともにスポットセンサスの方がラインセンサスよりも記録率が高かった.記録された個体数は,越冬期・繁殖期ともにスポットセンサスとラインセンサスのあいだには有意な正の相関がみられた.スポットセンサスあるいはラインセンサスのみで記録された種の特性を見ると,草原性や草原/灌木性の種をスポットセンサスでしか記録できなかった例が多かった.以上の結果から,草原環境での鳥類の生息状況のモニタリングにおいてスポットセンサスはラインセンサスと同程度に,あるいはより効率的な方法と考えられた.
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