Bird Research
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6 巻
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
原著論文
  • 関 伸一
    原稿種別: 原著論文
    2010 年 6 巻 p. A1-A11
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/16
    ジャーナル フリー
    2009年7月22日に起こった皆既日食の際に,トカラ列島中之島における鳥類の音声行動の変化を調査した.森林内の3地点にデジタル録音装置を設置し,皆既となる6分間とその前後各1時間の2時間6分間の録音を行ない,1分あたりのさえずりまたは地鳴きの回数を種ごとに記録した.また,日食の前日および翌日の同じ時間帯における録音記録(各2地点)と,日没および日出の時間帯における録音記録(各1地点)との比較を行なった.鳴き声や記録された種は17種で,昼行性の鳥類のさえずりや地鳴きなどの音声行動は,調査地点や天候による記録頻度の変動はあるものの日中は継続的に観察され(平均16.4回/分),2分以上にわたって途切れることはなかった.しかし,皆既となる時間帯を含む平均7分49秒間には昼行性の種の鳴き声が全く記録されず,1地点では夜行性のリュウキュウコノハズクが記録された.このような現象は皆既日食にともなう明るさの変化の影響による可能性が高いと推測された.皆既前後の行動と日出・日没時の行動とでは類似点はあるものの異なる部分も多く,日出前後に見られる明るさの変化につれて優占して鳴く種が交代する現象や,日没時刻の約10分前のまだ明るいうちに昼行性の小鳥類の鳴き声が希になってフクロウ類が記録されるようになる現象などは皆既日食前後には観察できなかった.
  • 高木 憲太郎
    原稿種別: 原著論文
    2010 年 6 巻 p. A13-A28
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/13
    ジャーナル フリー
    ミヤマガラスは日本には冬鳥として渡来する.九州地方とその周辺のみに渡来していたが,その後分布が広がり,その分布域の前線にあたる地域で関心が高まり,目撃記録が地域ごとに調べられている.しかし,日本全体の経緯についてのまとまった報告はまだない.そこで,野鳥関係のメーリングリストや雑誌などにアンケートを掲載し,ホームページ等を通じてミヤマガラスの情報を集めるとともに,既存の文献等の記録を収集し,日本におけるミヤマガラスの渡来地拡大の経緯を調査した.アンケート調査と文献調査によって,19道府県について初記録もしくはそれに準じる記録の情報を得ることができた.ミヤマガラスの分布は1970年代末には九州地方と山口県,島根県であったが,1980年代半ばから分布が広がりはじめ,日本海側を西から東へと拡大していった.1990年代には東日本で北から南へと分布が拡大し,2006年12月までに東京都を除く全道府県に分布が拡がった経緯が明らかになった.日本海側では積雪が分布拡大を助けた可能性があるが,影響は地域的だと考えられた.有機塩素系化合物や有機水銀系薬剤が使用された時期,海外でのミヤマガラスのこれらの物質に対する暴露の事例,極東のミヤマガラスの個体数と分布の変化から考えて,有機塩素系化合物や有機水銀系薬剤による環境汚染が改善されたことによる東アジア全体のミヤマガラスの個体数の回復が日本における分布の拡大のひとつの要因として考えられたほか,農業形態の変化による食物条件などいくつかの要因が影響したことが考えられる.
  • 平野 敏明, 遠藤 孝一, 野中 純, 川田 裕美, 内田 裕之, 堀江 玲子, 長野 大輔, 船津丸 弘樹, 植田 睦之
    原稿種別: 原著論文
    2010 年 6 巻 p. A29-A42
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/13
    ジャーナル フリー
    渡良瀬遊水地に越冬するチュウヒ Circus spilonotus とハイイロチュウヒ C. cyaneus の個体数をモニタリングするために,1994年冬期から2009年冬期まで就塒調査を行なった.調査期間に,チュウヒは2~7か所,ハイイロチュウヒは1~4か所のねぐらで就塒した.両種とも,各ねぐらにおける就塒個体数は著しく変動した.これはヨシ刈りなどの人為的な撹乱や水位の変化などの環境の変化によるものと考えられた.ハイイロチュウヒのねぐらは,チュウヒと同様に,ヨシなどの高茎植物が疎らで,スゲ類などの下層植物が平均35cmの高さに繁茂する環境であった.しかし,就塒場所は両種の間で明確に別れていた.また.個体数の季節変動は両種で異なっていた.チュウヒでは越冬期初期の1月までに最多個体数が記録され,ハイイロチュウヒでは3月に最多個体数が記録された.16年間のチュウヒの平均最多個体数(±SD)は,30.44±6.90羽であった.一方,ハイイロチュウヒの14年間の平均最多個体数は,10.25±4.00羽であった.両種の個体数の間には有意な相関関係はなかった.調査期間中における就塒個体数の経年的な変動は,チュウヒでは2005年から2007年にかけて個体数指標が1.48から1.71に,ハイイロチュウヒでは2001年から2003年に個体数指標が1.86から2.14にそれぞれ変化した.チュウヒの個体数指標の年変化率は2.3%で増加傾向を示しているのに対し,ハイイロチュウヒの年変化率は-4.9%で,減少傾向にあった.現在,日本では本調査で得られた結果と比較できるこれら2種の長期的なモニタリング調査が行なわれていない.そのため,個体数の変動要因を解析できなかった.
  • 植田 睦之, 福田 佳弘, 高田 令子
    原稿種別: 原著論文
    2010 年 6 巻 p. A43-A52
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/30
    ジャーナル フリー
    風車との衝突事故(バードストライク)が多く確認されているオジロワシ Haliaeetus albicilla とほとんど確認されていないオオワシ H. pelagicus の飛行特性の違いについて,2007年から2009年にかけて北海道で調査を行なった.越冬期の飛行高度はオオワシの方がオジロワシよりも有意に高く,またバードストライクの危険性のある高さをオジロワシが多く飛んでいた.個体の飛行頻度もオジロワシの方が高かった.このことはオジロワシがオオワシよりもバードストライクにあう危険性が高いことを示している.また,秋の渡り個体と越冬個体を比べると渡り個体は飛行高度が高く,バードストライクの危険性のある高さをあまり飛んでいなかった.このことは,渡り個体の多くはバードストライクの危険性が低いことを示し,バードストライク対策を考える上では,留鳥や越冬個体など定着個体に重きを置くべきと考えられる.ただし,宗谷岬などの海を越えてきたばかりの場所や段丘の切れ目などでは飛行高度が低く,バードストライクの危険があるので注意が必要である.
短報
テクニカルレポート
  • 植田 睦之, 堀江 玲子, 内田 博, 遠藤 孝一
    原稿種別: テクニカルレポート
    2010 年 6 巻 p. T1-T9
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/18
    ジャーナル フリー
     オオタカは,森林内を移動するために,目視にて行動圏や重要な採食地を明らかにすることが難しい.そこで本研究では,巣の分布と植生や土地利用状況をもとにしたオオタカの行動圏の推定手法を開発し,ラジオテレメトリー調査で得られた位置データや行動圏により,その精度を検証した.
     推定方法は,行動圏は営巣地の分布から,ボロノイ分割(近接する点と点の垂直二等分線をもちいて区切る手法)を行ない,巣から3kmの円を描き,その重複する部分とした.重要な採食地は,行動圏を250m区画のメッシュで区切り,そのメッシュ内の林縁から150mの範囲の開けた環境(オオタカの採食地)の面積を計測した.この値を巣からの距離に応じて重み付けし,その値の上位25%を抽出した.この上位25%のメッシュで囲われた範囲を重要な採食地とした.
     この推定範囲が妥当なものかどうかを検証するために,推定された行動圏や重要な採食地と電波発信機調査により明らかにされたオオタカの利用地点やKernel行動圏との比較を行なった.
     推定行動圏内には86.7%の点が含まれ,この手法によりオオタカの行動圏をほぼ把握できていると考えられた.また,推定された重要な採食地に50%Kernel行動圏の平均92.1%が含まれており,この手法により重要な採食地もほぼ把握できているものと考えられた.
  • 三上 修, 三上 かつら
    原稿種別: テクニカルレポート
    2010 年 6 巻 p. T11-T21
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/01/08
    ジャーナル フリー
     近年,日本においてスズメ Passer montanus がサクラ Prunus sp. の蜜を吸い,その結果,花を落とす行動がよく見られるようになっている.これにより,サクラを愛でる個人や団体が不利益を被ることになる.そこで、,その程度を定量化する方法を考案した.その方法とは,サクラの樹の下に落ちている花を拾い,スズメによって落とされたものかどうかを判定するものである.本論文では,この方法の利点,問題点をまとめた.また,この方法を用いて評価する限り,盛岡市内および近郊の4つのサクラの名所では,スズメによるサクラへの害は軽微であることが示された.
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