Bird Research
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原著論文
  • 植田 睦之, 三上 修
    2025 年21 巻 p. A1-A10
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/05
    ジャーナル 認証あり

    日本では1970年代以降,スズメが減少している.しかし,2010年代に行なわれた広域調査から,スズメの生息環境として不適と考えられていた都心部での個体数の増加が示唆されている.そこで,東京都鳥類繁殖分布調査のデータおよび現地調査のデータから,スズメの1990年代から2010年代の個体数の変化とその原因について検討した.その結果,東京では,スズメが郊外で減少し,都心部で増加していることが明らかになった.スズメの採食地となる緑地も郊外では減少し,都心部では増加していたことより,土地利用の変化がスズメの増減に影響していると考えられた.しかし,都心部においてスズメが多くなったにもかかわらず,2010年代の緑地面積は,依然として都心部よりも郊外の方が広く,緑地面積だけではスズメの変化を説明できないこともわかった.営巣場所がおもに電柱であるのは郊外も都心部も一緒で,営巣可能な場所による説明も考えにくい.捕食者である猛禽類は,都心部で少なかったので,捕食者の分布が影響している可能性が考えられた.巣立ちヒナ数は1羽の場合が多く,繁殖成功率は都心部の方が低かった.営巣場所となる電柱の多さや捕食者の少なさから都心部にスズメが集まったものの,繁殖成功度が低いというエコロジカルトラップになっている可能性もあるが,複数回繁殖の多さでそれを補っている可能性もある.そうしたことを明らかにするためには,より詳細な個体群動態の研究が必要である.

  • ―音声モニタリングの市民参加に向けて―
    小川 結衣, 深澤 圭太, 長渡 真弓, 増渕 翔太, 寺山 佳奈, 熊田 那央, 吉岡 明良
    2025 年21 巻 p. A11-A25
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/26
    ジャーナル 認証あり
    J-STAGE Data

    摘要 録音音声による鳥類のモニタリングは,シチズンサイエンスにおける有効な手法として認識されているが,録⾳された鳴き声のみを頼りに種判別することは⼀定の技能を要する.著者らは先行研究にて,鳥類音声種判別技能向上を目的としたクイズ形式のオンライントレーニングツール「とりトレ」を開発した.そして,とりトレが効果的に種判別技能を向上させ,野鳥への関心を高めることを明らかにした.とりトレが実際のレクリエーションの場において有効なツールであることを示すため,鳥類に興味のある一般市民を対象とし,2024年にとりトレ体験イベントを開催した.本論文では,イベントの開催報告に加え,1.参加者のクイズトレーニングの回答履歴に基づくトレーニング中の正解率の変化 2.アンケート調査による鳥類への関心や意識 3.今後の課題を明らかにすることを目的とする.イベントには14名が参加し,4つの班に分かれて50分間とりトレを実施した.結果,トレーニング中の正解率向上,野鳥への関心の向上,およびとりトレに対する肯定的な評価が確認された.イベントの信頼性や準備コストなど一般的な課題は残るものの,本研究は野鳥を覚えるためのイベントにおいて,参加者の関心,満足度等を維持しながら種を覚えてもらうための知見を提供できた.本研究は,シチズンサイエンスの拡大と一般市民が取得するデータの質の向上に貢献することが期待される.

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