すったもんだの挙げ句,やっとのことで年金改正法が成立した.厚生省内にプロジェクトが設置されたのは1996年の夏のことであるから,4年近くかかったことになる.1999年3月に自民党の了解を得るも,思わぬ紆余曲折があり,与党案として国会提出となったのは同年7月,そして改正法が成立したのは,なんと2000年3月という案配であった.それだけの大改正であった.厚生年金の改正スローガンは「将来の保険料負担を年収の2割程度に抑えるため,制度内容を見直す.」というものである.本稿では,まず公的年金の制度運営における数理の役割を説明し,続いて,改正案の数理的な観点からの位置付けをご紹介する.
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