pGreen-BSK+ プラスミドは,強い蛍光強度を持つ緑色蛍光タンパク質 (GFP) 遺伝子,gfp,を含んでいる. pGreen-BSK+ よりgfp を切り出し,大腸菌用タンパク質発現ベクターであるpET19b に挿入し,pGreen-ET19 を作 成した.pGreen-ET19b を大腸菌BL21(DE3) に形質転換し,大腸菌内でGFP が合成されることを確認した.基底レ ベルの大腸菌内のタンパク質の発現は 0.5-1% グルコースで阻害されること,サイクリックAMP (cAMP) によりタ ンパク質の発現が誘導されることが報告されている.そこで,0-100 mM グルコース,タンパク質発現誘導剤イソ プロピルβ-D-チオガラクトピラノシド (IPTG) 及びcAMP によるGFP の発現に対する効果を検討した.基底レベル のGFP の発現は,10 mM 以上のグルコースにより抑制された.IPTG は,0 mM グルコースでGFP の発現量の少な い大腸菌クローンにおいて,10 mM 以上のグルコースが存在する場合でもGFP の発現を誘導した.しかし,基底 レベルのGFP の発現量の多い大腸菌クローンにおいては,IPTG は大腸菌の増殖を抑制した.cAMP による付加的 な効果は確認されなかった.グルコース存在下におけるIPTG による大腸菌の増殖抑制は,予想外の結果であり, 今後の検討が必要とされる.
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