本研究の目的は,看護学教員の看護実践能力維持・向上に関する研究の動向を解明し,その結果を基に,看護学 教員の看護実践能力維持・向上の実現に向け,取り組むべき研究課題を検討することである. 医学中央雑誌を用い「教員」,「看護実践」をキーワードとし,1983年から2015年に発表された国内文献で,研究の 種類を「原著論文」,「会議録」として検索した.その結果,看護学教員の看護実践能力維持・向上に関する18件の研究 を検索でき,これらを分析対象とした.データ化は「研究数と年次推移」,「研究の種類」,「研究内容」等により構成さ れた分析フォームを用いた.Berelson,B.の内容分析の手法を用いて,各研究の目的・方法・成果をコード化し,コー ドの意味内容の類似性に基づいてカテゴリ化した. 分析対象とした研究は18件であった.年次推移は毎年1~3件,研究の種類は質的研究が55.6%を占めた.対象研 究18件から20内容コードが抽出され,5カテゴリが明らかになった.5種類の特徴を持つ研究内容は,教員の看護継 続教育の現状と評価,教員の自己認識,教員特性との関係の3つの側面から研究が行われていることを示唆した. 具体的な教員の行動,教員に必要な看護実践能力,組織的な取り組みに関する研究が行われておらず,その必要性 を示した.今後の研究課題として≪看護学教員の看護実践能力維持・向上のための行動の解明≫など3点を示唆した.
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