電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン
Online ISSN : 2186-0661
ISSN-L : 1881-9567
11 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
小特集の発行にあたって
小特集 みんなをまもる見守りシステム
解説論文
  • 河西 奈保子, 小笠原 隆行, 中島 寛, 塚田 信吾
    2017 年 11 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    hitoe®*1は導電性高分子PEDOT : PSSとナノファイバとの複合材料であり, 布帛型の生体電極として, 心拍数・心電波形計測などのバイタルデータの取得を目的に開発された. hitoeを搭載したウェアを着用するだけで, 長時間負担なく生体情報を取得できることから, 疾病の診断や早期発見といった医療分野や, 健康状態の見守り, ストレスや睡眠状態の可視化など, 多くの分野でのバイタルモニタリングツールとしての活用が期待されている. 社会的に問題視されている労働者の心身の健康状態や安全状態の確認などにも利用できる技術である. また, スポーツの分野においても選手の技能や練習強度・疲労の可視化, 試合前の緊張レベルの可視化に有効であると考えている. 本稿では, hitoe開発の基となる導電性高分子 – 繊維複合材料について概説し, 更に最近の試みとして展開しているスポーツシーンでの利用や生体情報の推定, そして, hitoe作業者みまもりサービスについて解説する.
  • 大槻 知明
    2017 年 11 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    総人口の1/4以上が65歳以上の日本では, 高齢者の一人暮らしも多い. 高齢者も安心して暮らせる安全・安心な社会の実現は, 日本の喫緊の課題である. 65歳以上の高齢者の事故発生場所は, 住宅が最も多いことが知られている. 家庭内での見守りは, 生活空間での見守りであり, 特にプライバシーの保護が重要である. そのため, カメラなどの導入は好ましくない. プライバシーを保護しつつ家庭内での見守りを実現する技術として, 近年, 電波による見守り技術が注目されている. 電波による見守り技術は, 電波センサとも呼ばれている. 電波センサは, 人の存在や人の行動による電波伝搬の変動に基づき人の存在や人の行動を検出する. 電波センサは, カメラのような映像によるプライバシー侵害の心配がないため, 家庭への導入が期待されており, これまでに種々の電波センサが報告されている. 本稿では, 代表的な電波センサの幾つかを紹介する.
  • 青木 義満
    2017 年 11 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    本稿では,視覚センサによる見守りシステムに関連する画像処理技術として,見守りにおいて必要とされる要素技術である人物検出,姿勢推定,行動認識に関する技術について述べる.画像処理による見守りには,ほかのセンサよりも広域かつ非接触で対象人物の状態を把握できるという大きな利点がある.その一方で,体形や姿勢変動といった人物に起因する見えの変化,背景や照明条件等に起因する見えの変化に対して,頑健な画像認識を実現しなければならない.これらの課題に対応するための手法として,人物の見えの変動を人体形状モデルを用いて統計的に表現するアプローチと深層学習を用いた機械学習による手法を中心に解説を行う.見守りシステムを想定した広角カメラ映像を対象に,人物検出,姿勢推定を行った事例及び時系列ニューラルネットワークを用いた行動認識事例を紹介しながら,見守りシステムにおける画像処理技術の現状と課題について述べる.
  • 荘司 洋三
    2017 年 11 巻 1 号 p. 39-47
    発行日: 2017/06/01
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    筆者が提案する, 地域におけるWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)デバイスとスマートフォンの融合利活用による徘徊高齢者捜索支援システムについて解説する. Wi-SUNはスマートメータやHEMS(ホームエネルギーマネージメントシステム)等の応用を中心として, 今後地域の無線インフラとして広く浸透する次世代IoT(Internet of things)用無線通信規格である. 高齢者が携帯することを想定した, 小形の無線タグの発信信号をWi-SUN準拠の無線ビーコン(Wi-SUNビーコン)とすることで, 地域に散在するWi-SUN準拠の機器群を活用して構築可能な徘徊高齢者捜索支援システムを提案している. 同システムはWi-SUNタグを携帯する高齢者の活動エリアをリアルタイムに特定できることに加え, 行方不明高齢者等の捜索シナリオにおいて, 地域住民が参画・協力しやすいシステム設計としている. より具体的には, Wi-SUNビーコンを受信・処理可能な固定Wi-SUNルータと, USB型のWi-SUNモジュールをスマートフォンに接続するだけで実現可能なスマートフォン型モバイルWi-SUNルータを開発し, 誰でも簡単に捜索対象となっている高齢者の活動エリア特定に貢献できる仕組みを実現した. また, 「見かけたらタップ」ボタンを搭載したスマートフォン用アプリケーションを開発して, 直接高齢者に対して「声掛け」することに躊躇する住民であっても, 簡単に捜索に貢献できる仕組みを実現した. 最後に開発システムを活用して, 千葉県香取郡神崎町の住民参加の下実施された, 徘徊高齢者捜索模擬訓練の様子についても述べる.
私の技術者歴
子どもに教えたい通信のしくみ
街plus探訪
開発物語
留学生から学べ!
科学館・博物館めぐり
解説:技術と制度のおはなし
巻末言
編集後記
通信がみえる一枚の写真
feedback
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