センサネットワークのための低速無線PAN(WPAN:Wireless Personal Area Networks)として,物理レイヤに標準規格IEEE802.15.4を用いたZigBeeは知られているが,IEEE802.15.4の代替物理レイヤとして,ウルトラワイドバンド(UWB:Ultra-Wideband)技術を利用した標準規格IEEE802.15.4aが2007年3月に成立した.IEEE802.15.4aはUWB技術の特徴である超広帯域性と高い時間分解能を利用してデータ通信と高精度の測距・測位を同時にサポートできる仕様となっているため,低速無線PANの利用はいっそう加速されることが期待される.本論文では,標準規格IEEE802.15.4aの標準化プロセスを概観するとともに,同標準規格の必須仕様と主要オプションについて解説する.更に,同標準規格を利用する上での問題点と開発課題を議論する.
IEEE802.15.3c(TG3c)では,最低データレート2Gbit/s以上,オプショナルデータレート3Gbit/s以上を目指すミリ波パーソナルエリアネットワークの標準策定活動を進めている.2007年1月に行われたロンドン会議では標準方式の提案者が参照すべき,システム要求条件,選択条件,利用モデル,伝搬路モデルに関する文書がまとめられ,提案者を正式に募り,その意思表明を求めるCFI(Call For Intent)が正式発出された.その結果,総勢27社(名)からの意思表明があり,2007年5月会合にて各提案者の方式が示されることになっている.本論文では,IEEEにおけるミリ波WPANの標準化に話題を特化し,その標準策定の過程において重要となる利用モデル,伝搬モデルを中心に解説する.また早期ミリ波デバイスの国内普及を目指して,国内主要企業を中心に結成したミリ波実用化コンソシアムの活動概要ついても紹介する.
e-Japan,u-Japan戦略はICT(Information and Communications Technologies)社会の到来を加速した.ICT社会は,実空間と情報・ネット空間が融合する社会である.その社会の理想は,自由,平等,安全の確保と経済発展にある.それを実現するには,ICTの利便性,効率性,自由度の向上と,著作権や個人情報保護,情報の信憑性・信頼性などの安全性,との調和が必要である.それには技術と市場メカニズムの関係のみならず,社会・文化,法制度を有機的に連動させることが不可欠である.本文は,ICTを技術と市場の側面から分析し,技術開発課題とICT政策課題を導出する.ICT革新(ICT Innovation)を経済発展の原動力とするため,情報の量から質への変革,ユビキタス家電,情報文化力の強化など,分野と専門を超えた新たな連携や仕組みとしてのICT社会のガバナンスを提案する.