本研究の目的は、柔道選手の体幹筋力の角速度増加に伴う変化について検討し、軽量級と重量級の特徴を明らかにすることである。対象者は 33 名の大学男子柔道選手(軽量級 16名、重量級 17 名)と 17 名の一般健常男子学生である。等速性筋力測定装置 (CYBEX 770-Norm Trunk Extension/Flexion Unit) を用いて、体幹伸展カと屈曲カを測定した。測定角速度は、CYBEX TEF標準プロトコルに従い、30, 60, 90, 120, 150degree/s とした。
得られた結果を以下に示す。
1. 体幹の屈曲時および伸展時のピークトルクは、全ての角速度において、重量級、軽量級、一般学生の順で高値(Pく0.01)を示した。
2. 体幹の屈曲時および伸展力のピークトルクは、全てのグループにおいて 30degree/sで最大値を示し、角速度の増加に伴い有意(Pく0.01)に低下した。
3. 体幹伸展時ピークトルクについては、群と角速度の交互作用に有意性(Pく0.01)が認められた。
4. 体幹伸展時ピークトルクの角速度増加に伴う筋力低下率は、軽量級、重量級、一般学生の順で低値を示した。最大角速度(150degree/s)時において、軽量級が他の 2群に比し有意(Pく0.05)に低い値を示した。
以上の結果から、重量級では軽量級に比べ、体幹伸展力が高速度になるとより低下することが明らかとなった。
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